ホテルと集会所
昨日、二つ投稿出来てないような…
うん、気のせいだよね?
気のせいであってほしい…
「凄いニュースになってるぞ?」
「そりゃあそうでしょ。昇華者が殺し合いしてたんだもん。ニュースくらいにはなるよ。」
矢野ちゃんは、お父さんとニュースのことを話している。
ニュースの内容は、やはり私とアイナの喧嘩。
世界最強の存在である、昇華者が殺し合いをしたんだ。
ニュースにならない方がおかしい。
「先輩はどう思いますか?」
「私が悪いのか、アイナが悪いのか…アイナの挑発に乗ったのは私。でも、先に手を出してきたのはアイナ。」
「う〜ん…どっちも悪いんじゃないですか?」
そうなって欲しい。
私が悪いと言われれば、私の評価が落ちる。
アイナが悪いと言われれば、アイナの評価が落ちる。
それだけじゃない。
アイナの私に対する感情が、更に悪くなる。
一番嫌なのは、アイナが悪いと言われること。
「そうなれば、私が庇うしかないか…」
「庇ってあげるんですか?」
「周りの評価よりも、昇華者間の評価のほうが大事だからね。」
有象無象の評価よりも、同格の存在の評価のほうが重要だ。
人間が私に襲い掛かってきたところで、私の敵じゃない。
停止結界を使えば、核すら防げる。
しかし、昇華者は違う。
私の停止結界をやすやすと突破してくるのだ。
そして、私は昇華者になったばかりの新参者。
未だ、この力になれきっていない。
…主に、私が怠けてたせいで。
「ハワイ旅行に来たはずが、とんでもないもの見せられたね。」
「ですね。でも、昇華者の戦いを間近で見られるなんて、滅多にないことですよ?ハワイ旅行よりも貴重なんじゃないですか?」
「確かにね。ハワイ旅行なら、また天音が連れて行ってくれるけど、昇華者の戦いはなかなか見られないからね。」
意外と、誰もこのことを怒っていないらしい。
むしろ、珍しいものが見られたとして、満足している。
「ところで、さっき天音に噛み付いてたのは?」
「ルーマニアの昇華者、『アンナ・フローシュ』だよ。吸血鬼に昇華してる。」
「ルーマニア…吸血鬼…なるほどな。」
武さんは、何かに気付いたらしい。
「ルーマニアといえば、ドラキュラ伯爵の元になった、ヴラド三世が有名だな。それで、吸血鬼になったのかは知らないが、納得がいくな。」
「ふ〜ん。じゃあ、日本の昇華者が悪魔なのってどうしてなんだろう?」
私が天使だから?
でも、どうして日本に天使と悪魔の昇華者が生まれたのか?という疑問が出てくる。
「さあな。適任な国が見つからなかったから、ランダムで選ばれたとかじゃないか?」
「それなら、妖怪にすれば良かったのに。」
「確かにな。神様も変わったことをするもんだな。」
それだと、日本を優遇しているみたいになる。
すると、公平にするためには、各国の伝承の存在を昇華者にしないといけないから、昇華者の数が大変なことになる。
そうならないために、あえて妖怪にしなかったんだろう。
「着いたよ。ここが、この旅行で泊まるホテルだ。」
「立派なホテルだな…」
「流石アメリカ…沖縄のとは訳が違う。」
予約したホテルは、ハワイで一番高層なホテルだ。
「このホテルは、魔力で強化された素材をふんだんに使用して作られた超高層ホテルで、八十階まであるらしい。」
「八十!?」
「それに、ハワイ屈指の高級ホテルでもある。」
それと、全員で8人で来てるから、料金も馬鹿にならなかった。
「ちなみに、何処に泊まるの?」
「最上階にしても良かったけど、登り降りが大変だから二十階にしておいた。」
「なるほど…それと、いくらかかったの?」
「それは秘密。でも、高級ホテルらしい値段って事は言っておく。」
正直、ホテル代だけでダングレ共から奪っ、ゲフンゲフン!貰った金が消し飛ぶレベルの額はした。
まあ、これくらい大したことないんだけど…
「さてと、じゃあ、ここから自由行動何だよね?」
「そうだよ。私は、ダンジョンに行くから連絡つかないから。」
「こんな時にもダンジョン?」
「ちょっと潜ってくるだけ。明日からは一緒に観光する。」
ダンジョンに、“用事”があるんだ。
だから、私は今日は別行動をする。
まったく、あの海産物のせいで、せっかくのハワイ旅行が台無しだ。
「じゃあ、私はダンジョンに行ってくるから、ハワイ旅行楽しんでね。」
それだけ言って、私はダンジョンに向かった。
「へえ?全員揃ってるんだ。」
私がいる場所。
それはダンジョンではなく、昇華者達の集会所だ。
特に決まった名前はなく、私は『集会所』と呼んでいる。
集会所に、全員が揃うことは珍しい。
やはり、あの喧嘩はやりすぎたかな?
「取り敢えずアンナ、仲裁ご苦労と言っておきましょう。」
「はい〜。いっぱい血も吸えたし〜、次の吸血の予約も出来たから〜、私は凄く満足してるよ~」
「そうですか。では、二人は何か言いたいことは?」
「天音がやりました。」
おいおい…初っ端から責任転嫁ですか…
確かに、挑発に乗って勝負を仕掛けたのは私だけど…
でも、攻撃してきたのはアイナでしょ?
…その原因も、私からアイナを煽ったからなんだけど…あれ?
「で?どうなのですか?」
「私がアイナを煽ったからこうなった。」
「ん?つまり、先に手を出したのはアイナなのか?」
「ええ、でも私がアイナ煽ったのが原因だから。」
私がアイナを庇う姿勢を見せていると、アイナが目を見開いていた。
やめてよアイナ。
私の嘘がバレるでしょ!!
「つまり、天音が悪いということでいいか?」
「ええ。それであってる。」
チェンに聞かれて、私はそう答えた。
けど、どうもチェンには見透かされてるような気がする。
もしかしたら、さっきのアイナの姿を見たのか?
それは不味い…
「そうか…まあ、天使だからな。」
「天音は〜、天使だしね〜」
「天使が他の種族を煽るのはよくあることだからな。」
え、えぇ〜…
天使だからって…それでいいの?
これだと、私が攻撃仕掛けても許されそうなんだけど…
いや、挑発されて攻撃を仕掛けるなら納得できるのか。
けどな〜…それでいいのかな〜…?
「これって、天音を許す方向なの?」
「アイナ、お前もわかってるだろ?天使がどんな種族か。」
「まあ…知ってるけど…」
うわ〜、めっちゃ不満そう…
というか、私もこの流れいやなんだけど…
これだと何しても許されるから、敵を作ったときに凄い恨まれそう。
実際、アイナは私のこと睨んで…ない?
「これ以上何か話したい奴はいるか?」
「じゃあ私ね。」
すると、彩が立ち上がって私のところまで来た。
そして、
「ねえ?自分がしたことがどういうことか、分かってる?」
「えっと〜…喧嘩して世間を騒がせた?」
「うん、違うね。」
やばい…彩が怒ってる。
彩に嫌われると、家に入れてもらえなくなるからやばい。
「日本で暴れるなら、まだ良かった。でもね、貴女が暴れた所は外国なの。わかる?他所の国。」
「それがどうしたの?」
「自分の協力してる国でもない所で、また他所の国の奴と喧嘩するとは、何事かな?」
「それは…」
「旅行が終わったら、荷物をまとめて私の家に来なさい。そこで、常識というものを教えてあげるから。」
ん?
荷物をまとめて?
それってつまり、引っ越してこいってことだよね?
「私に、引っ越してこいって言うの?」
「ん?前から“自分で”言ってたじゃない。私の家で暮らしたいって。」
「あー…それはー」
私は、明後日の方向を向いて、彩から視線をそらす。
しかし、顎を掴まれて、無理矢理目を合わせられる。
「一般常識を教えてもらえて、願いも叶えてもらえる。素晴らしい提案でしょ?」
「いや、そんな「あ?」いえ、なんでもありません。」
私は、彩に提案されて、自分から同居することになった。
これには、アイナも同情の視線を向けていた。
…彩って、そんなにやばいやつなの?
「せっかくだし、今度私と勝負してみない?」
「え?」
「ほら、世間は天音が何者か気になってるし、昇華者は天音の力が気になってるし、天音は実戦経験が出来ていいでしょ?」
「一石三鳥ってこと?」
「そう。それに、一回天音と戦いたかったのよ。」
利益はわかるんだけど、最後に私情が混じってたのは気のせい?
まあ、わからなくもないんだよ?
私も、今誰と戦いたい?って聞かれると、真っ先に彩が思い付くからね。
彩と私は対象的な存在だ。
彩が悪魔で、私が天使。
彩は炎使い、私は氷使い。
彩は加速で、私は停止。
属性的だけで、これだけ対比してる。
それに、しばらく居候して性格的な面でもかなり対比してる事がわかった。
彩は真面目、私は不真面目。
彩は勤勉、私は怠惰。
彩は世のため人のために動き、私は自分と身内のために動く。
彩は人に手をあげない、私は平気で人を殺す。
彩は全体を愛し、私は身内だけを愛する。
彩は敵であっても情けをかけ、私は敵に容赦はしない。
私と彩はこんなにも対比してる。
「いいよ。私も彩と本気で殺し合ってみたかった。」
「へえ?それが貴女の本性?」
彩は、私の歪んだ笑みを見て興味深そうにしてる。
本性か…
「どうだろうね?私の本性はもっと歪んでると思うけど?」
「私の家でその顔しないでね?」
「善処するよ。」
昇華者達は、私の顔を見てニヤニヤしている。
私の本性がどういうものかわかったらしい。
私は、天使の中でもかなりひねくれている部類だ。
同族殺しに対する考えが薄い代わりに、身内が傷付くと怒り狂う。
それどころか、危害が及ぶかも知れないだけで、場合によっては相手を殺す。
私が沖縄でナンパ男を殺したのはそれが理由だ。
「じゃあ、私は帰っていいかな?」
「は?駄目に決まってるでしょ?」
「アイナ…」
すると、アイナが転移で私の席までやってきた。
「私のことを海産物とか、魚介類だとか言ってたこと、謝ってもらおうか?」
「まあいいけど…」
「待って!!」
私が謝ろうとすると、アイナが止めてきた。
そして、ニヤニヤしながら、
「せっかくなんだから、ジャパニーズDOGAZAしてみてよ。」
「は?」
アイナは憎たらしくニヤニヤ笑いながら、そう言ってきた。
あ、ふ〜ん?
そういうことするんだ?
やっちゃうんだ?
人魚って、やっぱりろくなやつじゃないね。
私は、土下座をする…ふりをして、
「は?」
「うるせぇカス。お前みたいなやつに、土下座してたまるか。」
私は、中指を立てて、目の前まで持っていき存在を誇張する。
すると、アイナの額に青筋が現れた。
「今のは聞かなかったことにしてあげる。だから、土下座して、私の椅子になったら許してあげる。…それ何をしてるの?」
「椅子が欲しいんでしょ?私の椅子だよ?貸してあげる。」
「ああそう…」
アイナの額に青筋が増える。
「椅子のことはいいわ。取り敢えず、土下座して謝って?」
「シネカス」
「あ?」
「人名だよ?架空の人物だけどね。」
「…」
アイナの額に、また青筋が増える。
「おいクソ羽虫。私は土下座しろつってんの?耳ついてねえのか?」
ついにキレたのか、アイナは私の胸ぐらを掴んできた。
「うるせぇ毒魚。お前なんかに土下座するか、バーカ。」
「なんですって?はぐれ天使のくせに、口だけはよく回るわね。」
「嫌味しか吐かない毒魚に、口が回るなんて言われたくないね。」
あぁ〜
大嫌いな奴に、面と向かって嫌味を言えるのは気持ちいな〜
まあ、私も結構キレてるんだけどね?
その後も、私とアイナは罵り合っていた。
「短気だね〜」
「短気というか、沸点が低すぎるだけでしょ?」
「それを、短気って言うじゃないの〜?」
「そうだね。けど、これは短気というより、レベルが低い…」
「だね〜」
アンナが、彩の血を吸いにやってきたみたい。
彩は、袖を捲くって腕を出す。
すると、アンナはそこに噛み付いて血を吸い始める。
「美味しい?」
「おいひ〜」
「良かった。」
「あはねほよひも〜、サラサラしへへ〜、のひやふい〜」
「なんて言ってるのか、分からないから、口を離してから喋って。」
私達の横では、微笑ましいやりとりが行われていた。
それに比べて…
「謝れつってんだよ性悪羽虫!!」
「誰が謝るもか!この嫌味毒魚が!!」
うん、アホらしい。
その後、吸血し終えたアンナと彩によって私達は、引き剥がされた。
アンナ「彩の血は、サラサラしてて美味しい。
天音の血は、ひんやりしてて美味しい。
アイナの血は、魚臭い。」
天音「だってwwwwww」
アイナ「海の藻屑にしてやろうか、クソ羽虫。」
天音「うわ~wこわ~いwww」
アイナ「あー、白い翼に墨汁溢しちゃったー」
天音「何してくれとんじゃクソ毒魚ー!!」
彩「小学生みたい。」
アンナ「だね〜」




