神氷の十字剣
誤字、脱字がありましたら報告していただけると幸いです。
「世界最強…」
「はい。これ、ダンジョンで手に入れた武器なんですよね?」
「そうだけど?」
ダンジョンで手に入れた武器…それがどうしたんだろう?
「ダンジョンで発見された武器で『神』がつく武器って何があります?」
『神』がつく武器?
確か…
「アメリカの巨人が持つ『巨神の戦鎚』、中国の竜が持つ『雲龍神水』、イギリスのエルフが持つ『神音の竪琴』、日本の悪魔が持つ『獄炎魔神』、ロシアのドワーフが持つ『武神の斧』、ルーマニアの吸血鬼が持つ『月神の闇』とかだよね。」
「香織…よく知ってるね。」
私は、『巨神の戦鎚』と『神音の竪琴』と『獄炎魔神』しか分からなかった。
「他にも、『日神の大盾』『神狼の牙』『天神の鈴』とかだねダンジョンで手に入る武器の名前に『神』が付くものは、とんでもなく強いんです。」
確かに、『神』がついた武器を持っているのは、殆どが『昇華者』だ。
「『神』がつく武器=『昇華者』の武器とも呼ばれてます。」
『昇華者』
ダンジョンで特定の隠し部屋をクリアすることで、人を超えた、上位種になることができる。
その、上位種に至った人の事を、『昇華者』と呼ぶ。
「白神先輩、この武器、どこで見つけましたか?」
「転移魔法陣で飛んだ先で見つけたけど…」
「やっぱり…白神先輩。」
矢野ちゃんは、私のことをまっすぐ見て。
「貴女は、『昇華者』になれる人です。」
「え?」
「はい、その転移魔法陣、他の人には見えませんし、使うこともできません。」
つまり、私専用って事なの?
そうだ、
「手を繋いでいると、一緒に転移できるって言うけど…」
「『試練の界』に入れるのは、白神先輩だけです。」
本当に私専用の転移魔法陣なのか。
ん?
「『試練の界』って?」
「あー、簡単に言えば、昇華者専用のダンジョンです。」
「え?あそこ別のダンジョンなの?」
「はい、別のダンジョンです。それに、そのダンジョンに入れるのは、白神先輩だけですね。なんなら他の昇華者も入れません。」
自分専用のダンジョンって、夢があるな〜。
でも、みんなで行けないのか…
「先輩、昇華者が外交のカードになっている事を知ってますか?」
「え?そうなの?」
「天音の家ってテレビ無いもんね…」
NHなんちゃらが来ないように、テレビが家にない。
スマホも必要最小限しか、使ってない。
「昇華者は、一国の軍隊と互角と言われてます。それに、少し前にアメリカの巨人がダンジョンで放った攻撃が、地震になったと言われてます。」
ダンジョンでの攻撃が地上に響くって、どんな攻撃したのよ…
「昇華者は、今や世界中の人気者ですよ?世界規模の富豪とか、国とか、国連とか色んなとこで呼ばれます。」
「昇華者が味方したってだけで、速報が入る程だからね…」
昇華者やばすぎでしょ。
というか、私がその領域に向かってるの?
ええ?
「とにかく、頑張って昇華者になって下さいね?」
「応援してるから。」
「う、うん…」
とんでもない事になったね…
「本当にここにあるの?」
「あるよ、今から使うね。」
私は、魔法陣を起動する。
「消えた!?」
「転移したんでしょう…」
「どんな反応してるのかな?」
きっと驚いてるに違いない。
ん?
私は、昨日とは部屋が変わっている事に気がついた。
「変わったのは部屋だけ…それと、あの丸いの。」
昨日剣があった辺りに、台座があり、そこに丸いものがある。
「これは…義眼?」
丸いものの正体は義眼だった。
「取り敢えず二人が待ってるし、持って帰ろう。」
私は、義眼を空間収納に入れて、魔法陣を起動する。
「あ!帰って来た!」
「よ、良かった〜」
「どうしたの?」
帰ってくると二人が安心から、座り込んだ。
「白神先輩がなかなか帰ってこないから、心配したんです。」
「ああ、ごめん。部屋が昨日と変わってて。」
「部屋ができました変わった?」
私は、空間収納から義眼を取り出す。
「昨日剣が刺さってた所にこれがあって。」
その時、義眼が飛び跳ねて、私の左眼に飛び込んでくる。
「え?」
ポカンとできたのは一瞬、
「ああああああああああ!!」
すぐに、左眼から激痛が走る。
「先輩!?」
「天音!?」
私は、しばらく激痛に悶えていた。