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旅行の最後に…

天音の配慮もあって、二人で水族館デートをすることになった私達。


「あ!クマノミ!!」

「こっちには、ナンヨウハギもいるよ?」

「ホントだ!!でも、一緒の水槽じゃないんだね。」


それは、映画の見すぎなんじゃないかな?

混泳出来る魚と、そうじゃない魚がいるらしいからね。

でも、カクレクマノミとナンヨウハギは大丈夫だったはずなんだけど…


「見て見て、こっちにはヒトデがいるよ!」

「うわっ、壁に張り付いてる。」

「えー、それが可愛いんだよ?」


え?

このもじゃもじゃが?

う〜ん、私にはよく分かんない。

それに、ヒトデって珊瑚を食べるから、沖縄だと厄介者なんじゃないかな?


「見て!クラゲ!!」

「これは可愛いね。ミズクラゲかな?」


クラゲって言われると、大体はミズクラゲを想像するんじゃないかな?

私もそうだし。

…次に出てくるのが、カツオノエボシっていう。


「クラゲって、プランクトンなんですよ?」

「え?そうなの?」

「はい。クラゲはプランクトン。覚えておいてくださいね。」


一応、知らなかったフリをしておこう。

それくらいなら、私でも知ってるけど、優花のために黙っておこう。

そう言えば、一メートル以上あるクラゲもいるんだっけ?


「うわ〜、おっきい…」


優花が見ている方に向くと、本当に1メートルくらいありそうなクラゲがいた。


「エチゼンクラゲって、言うらしいですよ?」

「確か、最大で2メートルくらいあるんだっけ?」

「確かに、そう書いてありますね。」


やっぱり、大きいね。

確か、クラゲって単細胞生物だから、コイツは世界最大の単細胞生物だったはず。

今は、キングスライムが最大だけど。

それは、モンスターだからね。


「あ!タカアシガニが居ますよ!!」

「これは…全部オスかな?」

「分かるんですか?」

「メスは、ハサミが短いからね。」

「なるほど〜」


タカアシガニって、美味しいのかな?

見た目の割に、中がスカスカだったりして…

かに味噌は…いらないかな。


「タカアシガニ…食べてみたいですね。」

「う〜ん、美味しいのかな?」

「さあ?」


さあ?って…好奇心だけで言ったな…

ん?あれって…


「やっぱり、スベスベマンジュウガニじゃない。」

「スベスベマンジュウガニ?それって、あれですよね?」

「そうだよ。食べる?」

「食べませんよ!!殺すきですか!?」

「冗談だよ。」


スベスベマンジュウガニ

猛毒を持つカニで、過去に何度被害報告のある、危険なカニだ。

名前と見た目は可愛いんだよ?けど、毒があるからね?


「白神先輩が言ってましたね。まんまるのカニがいたら、気を付けろって。」

「言ってたね。食べる?」

「だから食べませんって!!」


流石に冗談が過ぎたかな?

優花がそっぽ向いちゃった。

よし!


「うわっ!?なんですか急に?」


私は、後ろから優花に抱きついた。


「許してほしいな〜って。」

「別に怒ってないですよ?ただ、少し反省してほしかっただけなので。」


それを、怒ってるって言うんじゃ…


「恥ずかしいので離れてください。」

「はいはい…」


これ以上抱きついてると、また怒られそうだから離とこ。

でも、声は嬉しそうだったな〜

ん?

私は、鞄が引っ張られるような感覚を感じて下を見る。

すると、


「あ!?」


横から伸びた手が、私の財布を掴んで引っ張っていくのが見えた。

スリだ。


「おいお前!」


私は、スリをした奴を指差す。

すると、


「あっ!逃げるな!!」


スリは、人混みの中を逃げていった。

私も、スリを追いかけて走り出す。


「財布返せ!!」

「へっ、間抜けが…」

「なんですって!?」


私は、全力でスリを追いかけるが、ヤツの方が速い。

ダンジョンに行ったことがあるのか?


「きゃっ!?」


私は、人にぶつかってコケてしまう。


「だ、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫です。それよりも、スリが…」


スリは、既に遠くまで逃げていて、ここから追いつくのは不可能だろう。


「優花、ごめんなさい。これからあいつを追いかけに「大丈夫ですよ。」へ?」

「白神先輩に電話してあります。外に出れば、あの人にボッコボコにされますよ。」

「なるほどね…確かに、天音はカードに発信機をつけてたって言ってたね。」


それなら、遠くへ逃げたところで、天音に捕まって終わりね。

殺されるんじゃないかな?あいつ。

私は、天音が財布を持ってくるのを待つことにした。









    





冷凍庫のように冷たい部屋


「まったく…楽しいデートの邪魔をするとはね。死ぬ覚悟は出来てるんだろうね?」

「こ、ここはどこだよ!?」

「どこ?ん~、試練の界って所。」


私は、こいつを試練の界へ連れてきていた。

あっ、財布はもう返してあるよ?


「試練の界だと?それって昇華者の…」


私は、飛行の術で翼をだす。


「いつ、誰が私が人間だって言ったの?」

「しょ、昇華者…」


やつの顔が、みるみる青くなっていく。


「さて、処刑を始めようか。」


これは、北の国で使われている、冷凍拷問を元にした部屋。

試練の界の一室を、私の冷気で満たしたのだ。

部屋の温度は、マイナス40度。

このまま放置するだけで、コイツは凍り付く。

けど、そんな優しい事はしない。


「貴方の体を少しずつ削いでいく。大丈夫。怪我しても血が凍り付くから、すぐには死なないよ。」

「そ、そんな…さ、財布をスッただけだぞ!?人殺しをしたわけじゃないのに、ここまでする必要は!」


はあ?

コイツは…このクズは、大事なことがわかってないらしい。


「黙れクズ。財布を盗む以上に、お前は二人のデートを破壊したんだよ。私はそのことを許すつもりはない。だからこんなことをするんだよ。」

 

私は、冷気を放つ十字剣を取り出した。

これで、血液がすぐに凍結して、クズの失血死を防ぐ。

私は、まずはたるんだ腹の贅肉を削ぎ落とす。


「ぎゃあああああああああ!?」


クズが、醜悪な悲鳴をあげる。


「黙れクズ。まだ一回目だぞ?」


ちょっと削ったくらいで喚きやがって。

このくらい冒険者なら、何度も経験してるだろ。


「次はどこにする?腕か?脚か?それかもう一度腹の贅肉削るか?」

「い、嫌です…」

「そうか、イヤー(耳)だな?」

「ち、違いま、ぎゃあああああああ!!」


左の耳を削ぎ落とした。


「次は?」

「た、助けてください…」

「手?また変な所を選ぶのね。」

「手なんて言ってな、ぎゃあああああ!!」


取り敢えず、右手の肉…親指の下辺り?を削ぎ落とした。


「手か…指詰める?」

「つ、詰めません。」

「じゃあ、右手からね。」

「詰めないって、ぎゃあああああああ!!」


うるさいな~

男ならこれくらい我慢しろよ。

ムカつくから、全部切り落とすか。


「いやああああああああああ!!ごふっ!?」

「女々しい声出すなよ。気持ち悪い。」

「そんな…理不尽…」

「クズに、歯なんていらないよね?」

「え?」


私は、拳大の氷塊を作り出す。

それを握りしめて、


「取り敢えず、前歯にサヨナラって言っておいてね。」

「え?なにを、がぶっ!?」


私は、不用心に口を開いたクズの口に、氷塊を叩き込む。

すると、クズの前歯は綺麗に全て折れた。

歯が無理矢理折られた事で、歯茎から血が流れ出してくる。


「男前になったじゃん。もっと私と遊ぼうよ。」

「へ?しょんな…も、もうやめへくはさい…」


私は、氷塊をクズの左頬にフルスイングでぶつけた。


「日本語喋れよクズ。あと、私から逃げられると思うなよ?」

「ヒィィィィィ!」


三時間後、クズは低体温症や失血で息絶えた。














  


水族館のフードコート


「さっき、電話が繋がらなかったんですよね?」

「そうだね。多分、ダンジョンにいると思う。」

「帰ってこないって事は…」

「きっと、拷問でもしてるんじゃないの?」


あの人なら、全然あり得る。

人を殺すことを躊躇いを持たないあの人なら、拷問くらい簡単にやってしまいそう。


「これ見て」


香織が写真を見せてくれた。

そこには、さっきのスリが、見るも無惨な姿になった写真があった。


「か、体の肉を少しずつ削ぎ落としたのかな?」

「醜いというか、無惨な姿にされてるね…」


きっと、何度も何度も、肉を削り取られて死んでいったんだろう。

こんな死に方だけはしたくない。

白神先輩に嫌われないようにしないと…


「見てくれた?クソ野郎の末路。」

「「ひぃ!?」」


気が付くと、いつの間にか白神先輩が背後にいた。

本当、音もなく現れるから心臓に悪い。


「み、見ましたよ。なんというか…惨いですね…」

「惨い?二人のデートの邪魔をしたんだよ?あれくらい当然の罰だよ。」


ヤバい、やっぱりこの人は思考がイカれている…

これ以上、この話をするのはまずい…


「つ、次は、ひめゆりの塔に行くんですよね?」

「そうだね、時間的にもちょうどいいのかな?」


ここからひめゆりの塔に行くなら、もうそろそろいい時間帯のはず。

ご先祖さまの知り合いを祀るひめゆりの塔…

いったいどんなところなんだろうか?














「これが、ひめゆりの塔…」

「塔って言う割には、小さいような…」

「慰霊碑だからね。イメージするような塔とは違うんじゃないの?」


実際に見てみた塔は、思ってたよりも小さかった。

でも、近くにあった犠牲者一覧が、慰霊碑であることを教えてくれた。


「…」


私達は、手を合わせて、しばらく黙祷をしていた。

これで、少しでも犠牲者の慰めになるといいんだけど…


「もういいの?」

「はい。戦争のことについては、また今度、来たときにします。」


今回の沖縄旅行の目的は、白神先輩は息抜き。

私達は、デートだ。

戦争のことについては、家族旅行の時にでも見に行けばいい。

私のわがままで、目的の変えるわけにはいかない。


「じゃあ、お土産を買って帰ろうか?」

「そうだね。」

「私、紅芋タルト買いたいです!!」


そして、私達の沖縄旅行は終わった。



…デートか絡まれた事しか、覚えてないんだけど…


これ、いい思い出でいいのかな?




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