お買い物
私は、スマホの着信するで目を覚ました。
昨日は、魔力を使い過ぎて、帰ってくるなりベットに倒れ込んだ。
私は、スマホの画面を見て、誰からの着信か確認する。
香織だ。
私は、電話に出る。
「おはよー」
『おはよーって、もう十二時何だけど?いつまで寝てるの?』
もうそんなの時間だったのか…
「昨日疲れてたの、それで要件は?」
『今日土曜日だよ?どこか遊びに行かないって。』
「あ、今日土曜日なんだ。私は毎日が日曜日だから関係ないけど。」
それだけ聞くと、ニートみたいだけど、私は冒険者。
日給数十万稼ぐ事が出来る。
「せっかくだし、私の奢りで高級な所に行こうよ。」
『借金は?』
「全部は返してないけど、お金はあるから問題ない。まだ行ってないだけ。」
私も、貧乏生活を脱却して、タワマンから地上を見下ろす生活が出来る。
やらないけどね?
「お母さん?今月いっぱいで仕事辞めて、実家に帰るらしい。私は、東京に残って試練の界の攻略を進めるけど。」
『そっか…じゃあちょっと行きたい所があるんだけど…』
私は、香織と矢野ちゃんの二人のデートの財布役をすることになった。
「おまたせ~」
私は、香織に言われた待合せ場所にやってきた。
「お久しぶりです、白神先輩。」
「矢野ちゃん、久しぶりね。香織とはうまくいってる?」
矢野ちゃんは香織の方を向いて、
「はいアツアツです。ただ、香織先輩って結構肉食で…」
「まだ、そっちの線は超えてないの?」
「はい。でも、時間の問題だと思います。」
香織の方を見ると、凄い不満そうな顔をしてる。
「香織で良いっていってるでしょ?」
「人前で言うのは恥ずかしいって言うか…」
矢野ちゃん、苦労してるんだな〜
香織は一度くっついたら離れないだろうし…
というか、別れたいなんて言ったら殺されそう…
あ、矢野ちゃんが、助けて欲しそうにこっちを見てきてる。
仕方ない、助け舟を出してあげるか。
「それで、行きたい所ってどこ?」
「え?ああ、アニメのグッズを売ってる所何だけど…」
へぇ、香織ってアニメ見るんだ…
「この前、優花と見たアニメのグッズを買いたくてさ。せっかくだし、天音も一緒に行こうかな〜って。」
アニメか〜、全然見たことない。
そもそも、うちにテレビがないからな〜
私は、二人に連れられて、そのグッズが売ってる店に向かった。
「へぇ〜、これがそのアニメの?」
「そう、『ドラゴンボーイ』って言うアニメの、『クゥ』って言うドラゴンの子供なの。」
ドラゴンの子供…高値で売れそう。
「クゥは、主人公の相棒なんですよ?白神先輩、変な目で見てません?」
「そんなことないよ、冒険者的には、ドラゴンの子供ってお宝だから。」
「金持ちのペットとして人気ですからね。確か、高値で取引されてるって話ですよね?」
「やめよう、この話。夢が壊れる。」
…うん、その通りだね。
私は、可愛らしい水色のドラゴンのぬいぐるみを見つめる。
ドラゴンか…
確か、昇華者最強は中国の竜人だったはず。
最強の種族の名は伊達じゃないのかな?
「他に何か買いたい物とかある?」
「あれとか?」
香織が指差す先には、直径1メートルはありそうな、スライムのぬいぐるみだった。
触ってみると、本物のスライムのようにぷるぷるだった。
「お、重たい…」
「二人がかりでやっとって、一体何キロあるの?」
「ビックスライムボール。本物のスライムのような触感と柔らかさを持つボールです。尖った物にぶつけないように注意してください。だって。」
確か、本物さながらの触感だ。
冒険者何人かに協力してもらってるのかな?
「天音、ちょっとこれ持って。」
香織が、場所を開けてスライムボールを持つように言ってきた。
「よっと!お?思ってたより重たいな。」
二人が口をポカンと開けてる。
「白神先輩、重たくないんですか!?」
「これくらい、大したこと無いけど?」
「さすが現役冒険者…」
冒険者舐めないで欲しいね。
「これ、いくら?」
「に、二十万です…」
二十万!?
高くない?
…いや、なかなか売れないから、一個の値段が高いとか?
後は、それくらいしないと採算が取れないとか…
「買うのはこれだけ?」
「え!?買ってくれるんですか!?」
「お金には、余裕があるからね。欲しいものがあったら言って。」
にしても邪魔だな。
先に会計済ませて、空間収納に入れるか。
「ちょっと、コレの会計済ませてくるから、欲しい物が無いか探してて。」
私は、二人を残してレジへ向かった。
当然、周りの目は凄くて、何枚も写真を取られてた。
「あれって、めっちゃ重たいんじゃなかったけ?」
「一人で持ってるよ?」
「ママー、あれ欲しい。」
「駄目よ、高いんだから。」
「あれ、買うつもりなのかな?」
「冒険者なんじゃね?」
そんな声が聞こえてきた。
「天音!」
香織が走ってきた。
「どうしたの?」
「ほんとに買ってもらっていいの?」
「二十万でしょ?それくらい別に良いよ。それくらい、一日で稼げる値段だし。」
それに、昨日倒した巨人の魔石を売れば、また一億くらい手に入るはず。
お金には、正直困ってないし。
その後、二人が持って来たアニメグッズも一緒に買った。
「冒険者の友達が居るって便利だね。」
「ですね〜」
私は、アップルパイを頬張る二人を見て、ニヤニヤしている。
二人も、私がお金を出す事に慣れてきたようで、私をおいてイチャイチャし始めた。
「モンブランとショートケーキです。」
そこに、二人が頼んだケーキがくる。
「香織はモンブラン食べる?」
「じゃあ食べる。」
「はい、あ~ん。」
矢野ちゃんが香織にあ~んしてる。
アツアツだね〜。
私がニヤニヤしていると、電話が掛かってきた。
「げ!加藤さんから…」
「加藤さん?」
「管理局の人。ちょっと電話してくるね。」
私は、人の少ない所で電話を取った。
「はいはい、なんですか?」
『天音ちゃ〜〜ん!!』
スマホの向こうから泣き声が聞こえてきた。
『減給されちゃったの〜!助けて〜!!』
「助けるって…何すればいいんですか?」
『お酒かっ』
私は、電話を切って着信拒否にしておいた。
そして、二人の所に戻った。
「何があったの?」
「すんごいくだらない要件だったから、切って着信拒否にしておいた。」
「ひ、酷い…」
「具体的に何が…」
言っていいのかな?
まぁ、大丈夫か。
「減給されたから、お酒奢ってほしいって。」
「ああ、かわいそうに…」
「きっと先輩が頼みの綱だったんでしょうね…」
は?あの加藤さんに同情してるの?
「言っとくけど、昼間から酒飲んで未成年に奢らせるような人だよ?」
「いや、それでも可哀想。」
どこが可哀想なのかまったく分からないけど、焼き鳥屋にでも連れて行ってあげようかな?