表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/93

お酒

「よいしょっと。」

私は、酔っぱらい(加藤さん)をソファーに寝かせる。

途中、何度も仕事中だと言ったのに、この酔っぱらいは、ビールを飲み続けた。

そのせいで、酔いつぶれて眠ってる。

そう、酔いつぶれて!

そのせいで、私は周囲の人の視線に当たりながら、家に帰ってきた。

そりゃそうだよね、こんな昼間からスーツ姿の女性が酔いつぶれて、少女に背負われてたら気になるよね。

私は、幸せそうに寝てる加藤さんを見て、怒りが湧いてくる。

『♪〜』

加藤さんのスマホに電話が掛かってきた。

「加藤さん!電話なってますよ!!」

私は、加藤さんの体を揺すって起こす。

「変わりに出といて〜」

「はぁ!?」

私が、次何か言う前に、加藤さんは電話を取って、私にスマホを差し出した。

『ーーー!』

電話から何か聞こえる。

私は、仕方なくスマホを受け取り、電話に出る。

「加藤さんは、酔いつぶれてます。ほら、加藤さん?」

「天音ちゃんが出といて〜」

「ね?」

スマホの向こうから、ため息が聞こえた。

『あー、それで誰が電話に出てるんだ?』

「白神 天音と言います。」

『白神 天音…加藤が護衛してる奴か。それで天音さん、どうしてその酔っぱらいは酒を飲んだんだ?』

…怒られないかな?

「私が焼き肉に誘いました。」

『なるほど、それでか…ちなみに、加藤が出したのか?』

「いえ、私です。加藤さんは酔っ払って、何するか分からなかったので…」

また、スマホの向こうからため息が聞こえた。

『いくらになりました?全額返しますので。』

「いえ、ほとんど私が食べた肉でお金がかかってるので、大丈夫です。」

『そうですか?取り敢えずビール代くらいは払います。』

別にいいのに…

私は、何度か要らないと言ったけど、結局一万円貰う事になった。








『それで、本題なんですが、加藤に伝えておいてくれませんか?』

「いいですよ?なんですか?」

『管理局に電話があった、次こんなことしたら減給な?って伝えて下さい。』

「あ、ハイ」

ドンマイ、加藤さん。

また今度、昼間から居酒屋行こうね。

『それでは』

そう言って電話は切れた。

取り敢えず、加藤さんに減給のこと伝えるか…

「加藤さん〜、減給ですって〜」

「なんですって!?」

「あ、起きた。」

加藤さんは、減給という単語を聞いた途端、飛び起きた。

「管理局に電話があったんですって。次こんなことしたら減給な?って伝えてって言われました。」

「ええ〜、私頑張ってるのに〜」

加藤さんは、愚痴を言い始めた。

私は無視して、新聞を開く。

「あ〜!」

中に広告が挟まっていて、新聞から落ちてきた。

「はぁ〜、やる気削がれる〜」

「ん?なにこれ?」

加藤さんが掴んだ広告には、新しい酒屋さんが出来たという広告だった。

「あ〜、これここの近くですね。私、十七歳なんでいけませんけど。」

「行きましょう!!」

「は?」

加藤さんが目を輝かせている。

「まぁ、いいですよ。」

「やった~!」

そして、加藤さんは、スキップしながら酒屋に向かった。






「いらしゃいませー。」

中は、凄くお洒落な内装になっていて、色んなお酒が置かれていて。

「凄い…」

私は、店の雰囲気に魅了されてしまった。

加藤さん?

カゴを持って走っていったよ?

「私が来られるのは、3年後かぁ〜」

早く20歳になりたい気分にはなる。

私は、ゆっくり店を見て回った。

十分ほど経った頃、

「加藤さん?これはどういうことですか?」

加藤さんに呼ばれて来た場所は、レジだった。

「お願い、今月金欠なのよ。お願いします〜!!」

「大人の威厳という物は無いのですか?」

「威厳?酒のツマミに美味しいの?」

駄目だこの人、お酒の事しか考えてない。

私が見つめても、ずっと目を輝かせてるだけ。

「はぁ、犯罪にならないですよね?」

「さぁ?なったら捕まるのは私だし、別に良いでしょ?」

だからって、未成年に奢って貰うか?酒屋で。

そうだ!

私は、お札を取り出して、

「後で返して下さいね?」

加藤さんにお札を差し出した。

「ありがとう!ちゃんと返すから!」

察しのいい加藤さんなら、意味は分かってくれるはず。

私は、お金を貸しただけ。

加藤さんは借りただけ。

これなら、捕まらないでしょ?

…多分。

結局、十万くらい消費した。






「加藤さん、今から飲むんですか?」

「ええ、こんなに美味しそうなお酒を買ったんだもん。味見くらいしたいよ。」

「とか言って、全部飲まないで下さいね?」

きっと、半分くらい無くなりそうだ。

一本で2万くらいする。

焼き肉屋での様子を見てると、平気で飲み干しそうだ。

「天音ちゃんも飲む?」

「もしもし、警察ですか?ここに未成年にお酒飲ませようとする人が…」

「ごめんごめん!冗談だから!」

十八歳に飲ませようとするなら、まだ分かる。

百歩譲って分かる。

一応、成人してるから。

でも、十七歳の私に、未成年の私にお酒を飲ませようとする神経が分からない。

ほんとに通報してやろうか?

「ねぇ、天音ちゃん、今良くないこと考えなかった?急に寒気が…」

「気のせいですね。」

「いや、ね?」

「気のせいですね。」

「だから…」

「気のせいですね。」

私が、にっこり笑うと、加藤さんはようやく黙ってくれた。

その後、加藤さんは“何故か”私を気にしながらお酒を飲んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ