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トラップ

ああ〜!!またやっちゃった〜!!

何が『ハイリターンを夢見てる』だよ!

恥ずかしい〜!

それに、長谷川さんって結構有名なタレントさんのはず…終わった。

「天音ちゃん?」

「なんですか?」

長谷川さんが心配そうな顔をしている。

「ぷるぷる震えてるけど、大丈夫?」

「大丈夫です。」

絶対勘違いされてるでしょ。

変な噂が広がらないといいけど…

「長谷川さんは、これからどうしますか?」

「私ですか?今日は、お休みを取ってるので、このままダンジョンで…」

「分かりました。トラップには、気を付けて下さいね?」

トラップは、ダンジョン内で一番厄介と言われている。

落とし穴+串刺しのトラップで命を落とした冒険者が何人いることか…

この浅い階層で即死トラップは無いだろうけど、落とし穴も、骨折とか平気でするらしい。

だから、モンスターよりも、トラップの方が警戒されている。

「ん?」

義眼の魔力視に反応あり。

「何かあったんですか?」

「あそこにトラップがある。」

一見何でもない床だ。

でも、トラップの魔力が漏れ出てる。

私は、長谷川さんに離れてもらい、トラップのタイルを剣で突く。

すると、上から液体が落ちてきた。

「なっ!?酸の雨!?」

この量なら、即死はしないだろうけど、凶悪過ぎるトラップだ。

「危なかったですね…」

「そうですね、気付けて良かった。」

にしても、こんなきれいに偽装されたトラップ、こんな浅い階層で出てくるなんて…

「なんだか、ビックリして疲れちゃいました。」

長谷川さんが、壁にもたれ掛かる。

〈カチ〉

「「あ」」

壁には、分かりやすい出っ張りがあり、長谷川さんは、そこにもたれ掛かってしまった。

そこで、発動した罠は、

「転移トラップ!?」

魔法陣が床に出現する。

私は、走って長谷川さんの元に向かう。

「長谷川さん!」

「天音ちゃん!」

ぎりぎりで、長谷川さんの腕を掴む。

その瞬間、転移が発動し、私達は別の部屋に飛ばされた。






「ここは…」

長谷川さんが、困惑している。

「長谷川さん、私から離れないで下さい。死にたくなかったら…」

「はい…」

さっきから、私のよく知る気配を感じる。

この部屋の奥にある通路から。

そして、通路から、無数の人影が現れた。

「あれは…アンデット?」

「そうですね、アンデットです。」

試練の界で、嫌というほど感じた、死者の気配。

正直、天氷を使えば、アンデットなんて怖くない。

ただ、タレントの長谷川さんの前で天氷を使って、私が昇華者見習いであることがバレるのは怖い。

でも、長谷川さんを守りながら、天氷無しで勝てる自身はない。

仕方ない…

「長谷川さん。これから見たものは、他言無用でお願いします。」

「え?わ、分かりました。」

私は、十字剣を取り出す。

ついでに耳飾りも着ける。

「背に腹は代えられない、か…」

私は、十字剣に魔力を集束させる。

「天氷・白吹雪」

新しく開発した技、『天氷・白吹雪』

天氷のエネルギーを、氷に変えず、そのままエネルギーとして、放出する技。

分かりやすく言えば、聖属性と冷気の、範囲エネルギー攻撃という感じ。

イメージとしては、街を冷気が覆うシーンを、ハリウッド映画で見たことがあるだろうか?

もしくは、通路の奥から炎が凄いスピードで迫ってるくみたいな感じ。

「天音ちゃんって、何者?」

「詮索は、マナー違反ですよ?」

「そうだった、ごめんなさい。」

あっという間に無数のアンデットが消滅する。

しかし、次々とアンデットが現れる。

「引き付けてから、一気に倒した方が効率が良さそう。」

「そうだね、でも、怖くない?」

「どうせ、一撃で倒せる雑魚しかいませんよ。」

雑魚相手にビビる必要はない。

しばらく待って、戦闘のアンデットがすぐそこまで来たとき、

「天氷・白吹雪」

天氷でアンデットを一掃する。

「凄い…爽快ね。」

確かに、雑魚を一掃するのは、気持ちいい。

ただ、ダンジョンでこんな簡単な転移トラップがあるだろうか?

このタイプの、転移トラップは、危険なモンスターが沢山現れ、多くの冒険者がやられる危険な物だ。

この程度で終わるはずがない。

その時、私の直感が、結界を発動しろと喚く。

私は、全力で結界を張る。

次の瞬間、

「きゃあ!?」

凄まじいエネルギーの波動が、私達を襲った。

死属性の波動…魔法を使える高位のアンデットがいる。

「アンデットの魔法使いって言うと…」

「リッチ、だよね?」

リッチ

魔法使いのアンデットの代表とも言える様な、アンデットだ。

しかし、通常個体でもかなり強い。

出会いたくないアンデットに認定されるのも納得の強さをしている。

「天音ちゃん、あれ。」

長谷川さんが指差す先には、アンデット達の頭上にいる、リッチの姿が見えた。

「レイスリッチか?」

レイスリッチ

レイス系のリッチで、物理攻撃が効かないという、厄介な性質を持っている。

しかし、打たれ弱いので、魔法使いからすらば、そこまで脅威ではない。

「天氷一撃で、吹き飛ぶんじゃない?」

「飛びそうですね。」

白吹雪では、きついだろうが、もう一つならいけるだろう。

まぁ、取り敢えず。

「天氷・白吹雪」

まずは、周りの雑魚を一掃する。

そして、

「天氷・青氷柱」

十字剣から、一直線に青白い光線が放たれる。

リッチは慌てて回避するが、横腹に当たり、その付近が消し飛ぶ。

ついでに、ダンジョンの壁に大きなヒビが入る。

「チッ、避けたか…」

「いや、その前に壁にヒビが入ってるんだけど!?」

「ヒビくらい入りますよ。」

何をそんなに慌ててるんだろうか?

「ダンジョンの壁を壊せたのは、昇華者だけなんだよ?」

「え?」

「世界最強の人間でさえ、ヒビすら入れられないんだから!」

しまった!ダンジョンの壁を壊すのは不味かった!

どうしよう、私が昇華者候補のことがバレる…

「見なかった事にしてください。」

「え?」

「見なかった事にしてください。」

長谷川さんは、困惑している。

「え?でも…」

「見なかった事にしてください。」

「いや、だから…」

「見なかった事にしてください。」

私が、魔力を放ちながら、笑顔になると。

「私は何も見てません!!」

長谷川さんは、危険を察知したのか、忘れてくれた。

さて、これ以上は危険だ。(情報が漏れそうで)

「一撃で決める。」

私は、十字剣に魔力を集めて、リッチの元に走る。

当然、リッチは攻撃してくるが、私は全て回避する。

リッチは、私への攻撃を諦めたのか、私の後ろに魔法を飛ばし始めた。

しかし、結界が張ってあるので、

「お前が結界を壊すより。私がお前を壊す方が速い!!」

私は、リッチの鳩尾に剣を突き刺し、

「天氷・青氷柱」

聖属性のエネルギー光線に、リッチは消滅した。

私は、転がったリッチの魔石を拾うと、

「これあげるから、黙っててもらえない?」

「賄賂のつもり?」

「うん、きっといい黄金のお菓子になるよ。」

すると、長谷川さんはニヤリと笑って。

「じゃあ、ありがたく貰うわ。」

「この大量の魔石は私がもらうけどね?」

「いいよ?リッチの魔石が手に入ったし。」

リッチの魔石は、売れば数百万。

末端価格になると、多いときは億届いた事があるらしい。

そんな高級品だ。

これで、口を閉じてくれるだろう。


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