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ダンジョンデート3

「天音を待ってるのは危険かな?」

「あ、そう言えば、ダンジョンで仲間とはぐれたときは、出口か安全地帯を探すべきってネットで見た気が…」

「そうなの!?」

早く言ってほしかった。

「ダンジョンには救助が来ない。ダンジョンで仲間とはぐれて、生きて救助されたという話しは、数えるくらいしか無いって書いてあった気がします。」

「そうなんだ…痛っ!?」

「ごめんなさい!」

「大丈夫、続けて。」

私は今、優花に傷口を消毒してもらっている。

けど、消毒液が染みて痛い。

「優花、痛っ!よくこれを耐えられたね。」

「大好きな先輩が消毒してくれてるって考えながら、耐えてました。」

「愛の力ってやつ?」

「そうかもしれません、ね!」

「痛ったああ!」

な、なんてことを…

「優花〜〜」

「あははっ!可愛かったですよ、先輩!」

「あっ、こら!逃げるな!」

「嫌でーす!」






私は、剣の血を拭き取る。

死体と血は回収済みだ。

「全く、ここはダンジョン何だけどな〜。」

ダンジョンの中で下らない喧嘩を始めた二人のために、ゴブリンを掃討する。

「恋は盲目だっけ?んー違うね。普通に空気が読めないだけか。」

私が目を向けると、香織に捕まった矢野ちゃんが、関節技を食らっているのが見える。

「仲いいな〜。まぁ、恋人同士だからあれくらい当然なのかな?あっ、矢野ちゃんが反撃した。」

関節技から抜け出した矢野ちゃんが、香織にくすぐり攻撃を仕掛けている。

あの調子なら、精神的な面は問題ないかな?

「デートは成功。後は自力で帰るだけ。」

私は、しばらくじゃれ合っている二人を見守ることにした。





「ハァ…ハァ…」

「つ、疲れた~」

私達は、下らない喧嘩…と言う名のじゃれ合いのせいで、ヘトヘトだ。

「優花、諦め悪すぎでしょ…」

「先輩だって、いつになったら降参してくれるんですか…」

この勝負に決着はついておらず、体力を使い果たした事で、一時的な休戦状態になっただけだ。

「次はベットの上ですか?」

「それは、気が早いよ。」

まだ、どっちも告白してないのに完全に恋人気分だ。

でも、楽しいから別にいいけど。

「先輩、知ってました?ここダンジョンなんですよ?」

「マジで?知らなかった。」

「乗ってくれてありがとうございます。」

私は、そういうのには、付き合うタイプだ。

「早く荷物を…」

「優花どうし…」

私達の目線の先にはゴブリンがいた。

それも二匹。

「でかい…ボブゴブリン?」

「メスのゴブリンだと思います。ボブゴブリンは二メートルくらいあるはずですから。」

「メスのゴブリンね…」

すぐに襲ってこない…

「メスのゴブリンは爪がありません、殴ってきます。」

「私達も剣を持ってないよ?」

「一人一匹で殴り合いましょう。」

「そうだね、襲ってきたら。」

私達とゴブリン、お互い相手が動くのを見計らってにらみ合う。

ゴブリンの方も会話しているようで、きっとどうするか話し合っているのだろう。

「メスのゴブリンの筋力ってどれくらい?」

「一般人レベルです。冒険者からすれば、ただの雑魚です。」

「レベル上がってないよね?」

「ですね。」

戦力は互角と、そうだ。

私は、優花から少し離れる。

それを見たゴブリンは話し合っている。

そして、背が高い方が少し離れた。

私は、優花に目を向ける。

優花も私に目を向ける。

少し頷いて、

ゴブリンに向かって走り出した。

ゴブリンも走ってくる。

ここから、泥沼の殴り合いが始まった。




30分くらい経っただろうか、まだ、殴り合いは続いている。

「「ハァ…ハァ…」」

この、私以外の呼吸の音は、優花のものじゃない。

優花は、少し離れた所でもう一匹と、殴り合っている。

私は、ゴブリンの肩を掴み頭突きをする。

頭突きってやる側もかなり痛い。

しかし、ダメージは相手の方が多い。事実、ゴブリンがよろけている。

私は右ストレートを放つ。

しかし、ぎりぎりで避けられる。

すると、今度は、ゴブリンに肩を掴まれ、頭突きされる。

痛い、頭突きって普通に殴るよりダメージあるじゃん。

私は、体の力を横にかける。

すると、体が横によろけるので、ゴブリンのパンチを回避できた。

私は、無性に腹が立ったので、ゴブリンにもう一度頭突きする。

今度は、よろけず耐えたゴブリン。

そのまま、肩を掴まれ頭突き食らう。

急に視界が狭くなっていく。

そして、私は倒れた。

視界が完全に閉じる前、私の前にゴブリンが倒れてきた。

どうやら、ゴブリンも限界だったらしい。

そして、私の意識は闇に飲まれた。



目が覚めると、私の横に優花が倒れていた。

そして、近くにポーションがふたつ置いてあった。

辺りを見回したけど、ゴブリンの姿は見つからなかった。

「…負けた。」

ゴブリンに殴り合いで負けた…

「う、ううん?」

「優花?」

すると、優花が目を覚ました。

「ゴブリンは?」

「いないよ。」

「先輩が…いや、でも先輩、先にゴブリンと共倒れしてましたよね?」

共倒れ…やっぱりか。

「そうだね、ゴブリンの頭突きで倒れたね。まぁ、ゴブリンも限界だったみたいだけど。」

「そうですか、私は意識が朦朧とする中で、最後の一撃がゴブリンに当たってゴブリンが倒れた所まで覚えてます。」

「優花も共倒れだったのね。つまり、ゴブリンが先に起きたのか。」

気絶した私達に手を出さないでくれた。

それに、ポーションまでくれた。

「このポーションは?」

「起きた時にはあったの。多分、ゴブリンがくれたんじゃないかな?」

「うーん、でもそれ以外考えられませんしね…」

取り敢えず、私達はポーションを使う。

「ポーションって本当に凄いんだね!」

「傷が全部治って、痛たた!」

「大丈夫っ!?痛って!」

どうやら幾らか骨折してるらしい。

「傷は治るけど、骨折は治らないみたいだね…」

「骨折を治すには、中級ポーションが必要ですからね。」

これは、初級ポーションらしい。

それでも、傷を治せただけでも充分だ。

「この骨折で、帰れるかな?」

「気合で帰ればいけると思うよ。」

「そうですね、頑張って帰りましょう。」

私達は激痛の中、体を引きずって出口を目指した。

そして、

「行方不明者を発見しました!」

私達を探して、近くまで来ていた救助隊に救助された。






「いやぁ、いいボクシングの試合が見られた。」

私は、“ゴブリン”を治療する。

すると、すぐに、香織と殴り合っていたゴブリンが目を覚ます。

私は、魔力を放出し、剣を向けて威圧する。

そして、倒れているゴブリンを指差し、次に、曲がり角を指差す。

意味を理解したゴブリンは、もう一匹を抱えて走り去って行った。

私は、気絶した二人を並べて、ポーションを置いておく。

これで、ゴブリンがやってくれたように見えるだろう。

さて、あのゴブリンを少しだけ追いかけるか…

私は、ゴブリンを追いかけた。

抱えられているもう一匹にも回復魔法を掛けておく。

そして、ゴブリンは2階層に上がると、壁の中に消えていった。

「壁、だね…モンスター専用の通路かなにかにかな?」

私は、引き返すことにした。

その途中、

「あれは、救助隊!」

救助隊を発見した。

私は、急いで二人のもとに走った。

「目を覚ましてる問題ない。」

私は、荷物があるところまで行き、スマホと剣を回収する。

そして、救助隊のところまで走った。

「あ!行方不明者を発見しました。」

「香織と矢野ちゃんは!?」

「え?」

「香織と矢野ちゃんを救助したか聞いてるの!!」

私は、早口でまくし立てる。

「落ち着いてくれ!二人は、まだ見つかっていない!」

「そんな!まだ3階層に!」

私は、3階層に向かって走り出そうとする。

「駄目だ!」

救助隊員に止められる。

「我々で捜索する。君は戻るんだ!」

「でも!」

「必ず連れて帰ってくる、待っていてくれ!」

私は、俯いて、

「必ず、生きて連れて帰って来てくださいね?」

「任せてくれ!」

私は、隊員に連れられて地上に出た。

フフ、計画どうり!

「帰ってきました!行方不明になっていた少女が帰ってきました!」

テレビまで来てるのか…もう一芝居打つか。

そして、しばらくして二人が帰ってきた。

私は、盛大に泣いて二人を抱きしめた。

全部芝居だけど…

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