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異世界死霊使いのゾンビな日常  作者: ポタージュ
8/15

転生


愛佳ちゃんを残し私は事務所に入る。


「愛佳は分かってくれたよ…」


虹村兄は弱々しくそう言った。


「そう…」


「有村ちゃん本当にありがとね、あと愛佳を頼みます」


弱っていながらも真剣な表情だ。私は、虹村兄を殺す前にある事を聞いて置かなければならない。


「任せて!愛佳ちゃんは私が責任をもって守るから!…それと愛佳ちゃんから聞いたんだけどゾンビのこと悪の従者って言うんだっけ?」


突然、関係ない話をしたことでキョトンとしている。


「え?そうだけど…」


「そのダークネスプリティーにもし悪の使者を従える力があるならどうする?」


「うーん話が見えないけどダークネスプリティーは倒した悪の使者を操る能力持ってるよ?」


「なんだ持ってるんだじゃあ話が早いね、なら私がダークネスプリティーなら虹村君をゾンビに変えて愛佳ちゃんを守らせても大丈夫だね…」


「あはは…もしかして励まそうとしてくれてた?」


別に冗談で言っていた訳ではないが若干引かれた気がする。


「まあ…有村ちゃんと愛佳を守るゾンビになるなら死ぬのも悪くないかもね…ゴホッゴホッ」


咳と一緒に赤い液体も出る。


「あまり痛くしないよう一瞬で殺ってくれたら助かる」


そう言って虹村兄は立ち上がり目を瞑る。


「分かったわ…」


私は刀を抜く。


そして心臓に刀を刺す。虹村兄の体は力が抜けて死体と私だけになる。


ここからが私の…死霊使い(ネクロマンサー)の腕の見せ所だ。私が刺したのは心臓。あくまで虹村兄を殺しただけで、脳を破壊しないとゾンビになり私に襲ってくるだろう。


今更だが死霊使いにはある絶対的な誓約がある。それは他者が作成したゾンビを操れないという事だ。つまり私は、死霊使いであるがゾンビに襲われるしそこら辺にいるゾンビを操ることができない。


そして 今、虹村兄は完全にゾンビになっていない状態でまだただの死体だ。


そこで私が、虹村兄を私のゾンビにするのだ。


虹村兄から出た血で魔法陣を描いていく。魔法陣を描き終わり、心臓に突き刺したままの刀に魔力を流していく。


「種族名ヒューマン、個体名虹村 幸助、ネクロマンサー…ユナの名の下に冥府より舞い戻れ、ネクロマンス‼︎」


私は死体から刀を抜き取り少し離れる。私が使用した呪文は、前世と少し違う。そもそもゾンビを作るのに呪文を使うのは初心者だ。


だが私は、呪文を使った。それは刀ゾンビを見てしまったからだ。私が作成できるのは、簡単な命令だけを聞くゾンビだ。刀ゾンビみたいに武器を持たせたりはできない。刀ゾンビみたいなゾンビが作れたならかなり役立つだろうと考えた私は、オリジナルの魔法を試した。


虹村ゾンビは立ち上がり私を見る。


「右手をあげて」


虹村ゾンビは、無言で右手をあげる。ここまでは普通のゾンビでもできる。


「そこのパンの中からあんぱんを取り出して」


明るい内に持っていていたパンの山を指差し命令する。


虹村ゾンビは、パンの山を物色しだした。そしてあんぱんを見事に取り出したのだ。


偶然かもしれないし別の種類を持ってくるように言うが全て取り出していた。


(成功だ!普通のゾンビじゃ、パンを持ってくることは出来てもその種類までは選べない)


失敗しても普通のゾンビになるだけだし、試してみて正解だったみたいだ。


(てかこれ愛佳ちゃんになんて説明しよ…)



………


あれから夜が明け私は、今一人で外に出ていた。


愛佳ちゃんはお兄ちゃんがゾンビになったことに驚いていたが、ダークネスプリティーの魔法でと誤魔化したが、やはり兄が死んだことには変わりないので、かなりショックを受けていた。


その夜は、愛佳ちゃんと二人で寄り添って寝た。


そして私は愛佳ちゃんを虹村ゾンビに任せて一人、探索目的で外に出たのだ。


今回はカモフラージュの魔法を使って移動する。刀で倒した方が魔力の節約になるが、早めに探索を済ませて愛佳ちゃんの元に帰ってあげたい。


今回私の探索目的は二つ、食料の確保と安全な拠点を探すことだ。


前者はすでにスーパーで確保しているが食料はあればあるほうがいい、後者は愛佳ちゃんのためだ。私だけなら正直その日暮らしの拠点でもなんとかなるが、愛佳ちゃんはちゃんと防衛できるような拠点じゃないと厳しい。


私が考えている拠点はあるが見てみない事にはどうしようもない。なので今回はどっちかというと食料を探しのついでに拠点にできそうなところを探す感じだ。


カモフラージュのおかげで何事もなく目的地についた。


ここは金剛パーク程大きくないが地元の人がよく使うショッピングモールだ。


二時間程かけて来たがゾンビが大量にいたらどうしようかと思っていたが金剛パークみたいにゾンビが大量にいなかった。


それでも、ゾンビの数は今まで通ってきた場所に比べると多い。


割れている自動ドアをくぐり中に入る。中にも見える範囲で5〜6体ほど確認する。


(流石にカモフラージュを使ってなかったら危険だったなー…えーと食品売り場は…)


ここに訪れたのは始めてなので、入り口近くにある店内案内板をみて食品売り場を捜す。


(ゲッ、反対側じゃん!少し歩かないとか…)


食品売り場には、問題なく着いた。


保存食(缶詰め)があるコーナーにたどり着き、鞄に詰めていく。ゾンビが近くにいたがノーマルゾンビだったので気にしない。


(愛佳ちゃんのために果物の缶詰めも多めに入れてた方がいいかな?)


そんなことを考えていた時だった。


「動くな!」


缶詰めをバックに詰めるのに夢中で私は近づいて来る男が声を出すまで気がつかなかった。


私が目を向けると男は、拳銃を構え私に向けていた。


「人間…だよな?」


拳銃を向けたままの体勢で私に問いかけて来るが私が答えるよりも先に、近くいたゾンビが男に反応し走り出す。


(マズイ!)


私は今拳銃男とゾンビに挟まれている。私はカモフラージュをしているからゾンビに襲われないが、反対側の男に向かってゾンビは襲いに行こうといている。


ここで私を無視してゾンビが男の方に行けば明らかに不自然すぎる、走って向かって来るゾンビに刀を構えようとする。


「しゃがめ‼︎」


後ろから聞こえた声に思わず反応していまい私はその場にしゃがんだ。


パンッ!


と運動会のスタートの合図と似た音が鳴ったと思うと、男の撃った銃弾がゾンビの脳天に命中した。


「お嬢ちゃんコッチだ!」


一旦男の指示に従い男の方へ向かう。


「危なかったなお嬢ちゃん!急いでここから逃げるぞ!奴らが集まってきやがる」


(ぶちゃっけ、私一人なら大丈夫だったんだけどな…余計なことしてくれるね)


「ありがとうございます」


本音を隠しつつ、お礼も言っておく。


「山本さん今の音は?」


食品売り場から離れようと男と走っていたら物陰から五人ほどの生存者(男)が出てきて、その内の一人がそう言った。


「すまねーこのお嬢ちゃんが奴らに襲われそうになっててな…」


「そうですか…とにかく今は逃げましょうそこら中から奴らが襲ってきます」


どう見ても中学生くらいの男の子が、指示を出し陣形を組んで行く。


先導するのは木の盾を持った男でその後ろを木の先端に包丁を付けて簡易槍を持った男二人、その後ろに私が入れられ中学生と山本と呼ばれた拳銃を持った男、一番後ろに盾を持った男がいる形で逃げている。


男たちは、逃げる方向が決まっているのか迷わず進んでいく。ゾンビが何度も襲って来るが男たちは上手くゾンビを倒していて私の出る番はなかった。


階段を登り三階の従業員用の扉勢いよく逃げ込み、最後の一人が逃げ込んだ瞬間ドアを閉じた。ドアの向こうではゾンビがドアを全力で叩いているが今すぐ破られることはなさそうだ。


全力で走ったせいで全員息が上がっていた。


「全員無事なようですね…」


全員無傷だがどこか顔がうかばれない。


「とりあえず、皆さんのところへ戻って対策を立て直しましょう」


「そうだな!無色君の言う通りだ、お嬢ちゃん着いてきてもらえるか?」



キリの悪い所で終わってすみません。


明日も投稿予定です。

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