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異世界死霊使いのゾンビな日常  作者: ポタージュ
6/15

ユメと2次元君?


私がコンビニを出て次に向かったのは、スーパーだ。コンビニには食料がなかったがここならあるだろうと思ってのことだ。


スーパーの店内は薄暗かったが何の問題もない。数体ゾンビがいたが全て刀で切り捨てた。


私の予想通り店内には何個か取られたあとはあるが食料がそこそこ残っていた。


水と食料を詰めパンパンになったバックを背負い、店のバックヤードに行く。ここでも食料を見つける。


「こんだけ食料があるなここに住んでもいいけど、ゾンビ達が入っていそうだしな〜うーんもうチョット見てから決めよ!」


色々見て回り事務所的な場所を発見する。警戒してドアを開ける。中には誰もおらず机と椅子あとロッカーがあった。


どうやらただの事務所だったようだ。


「キャー⁉︎」


外からではなく店内で声が響く。出来るだけ人は見捨てないとあのお姉さんに誓ったのでバックを降ろし急いで声の持ち主の元へ向かう。


向かう途中男の人の声で必死に叫ぶ声が聞こえる。


声のする場所に着くと少女がまさにゾンビに襲われる瞬間だった。


私は力強く地面を蹴り、ゾンビとの距離を詰める。そしてゾンビの首に居合い斬りでへね飛ばし、そのまま奥で男性に乗っかっているゾンビの脳天を刀で突き刺した。


「あのーー大丈夫ですか」


「あ、有村ちゃん⁉︎」



………


(え⁉︎誰?この人、なんで私のこと知ってんの⁉︎)


予想外の返答に私は戸惑った。


(まさか私の事を知ってる人だったとは…よく見ると同じ学校の制服だったね)


「有村ちゃんありがとう!俺も愛佳も助けてくれて!…あれ有村ちゃん俺のこと分かる…よね?」


「……あっ!二次元君だったよね、歩といつもいる」


(そうそう、歩の友達だよこの人!何度か歩に遊びに連れて行かれた時に端っこの方にいたわ)


「いやいや、いつから俺はアニメのキャラクターに?ちゃんと三次元に生きてるし、俺の名前は『虹村』だから!」


「そうそう虹村君ね、知ってたよもちろん…そんなことよりここは危ないからいったん奥の事務所まで行くよ」


大きな音を出したので、ここにまたいつゾンビが来るか分からない。


「大丈夫?立てる?」


ゾンビに襲われ腰を抜かしている愛佳と呼ばれる少女に声をかける。


「お姉ちゃんは、ダークネスプリティーなの!」


少女は目を輝かせながら問いかけてきた。


「ダ、ダークネス?プリティー?そんな危ない紅茶みたいな名前ではないわね」


よく分からない単語が少女から出てきて戸惑うが、あんな怖い思いをしたんだ、おかしな事を言っても仕方ないだろうと思い無視して、お姫様抱っこして事務所に向かう。


「ごめんねー愛佳は、プリティープリティ好きだから…あ!プリティープリティーって言うのは小学生女子の間で流行っている魔法少女物の名前で中でもダークネスプリティーは、いつも一人で戦う孤独な魔法少女なんだ!」


「へーそうなんだ」


半分くらい理解出来なかったけどまあいいだろう。


私にお姫様抱っこされているこの子も相変わらず「ダークネスプリティーに抱っこされちゃたー」と目を輝かせている。


事務所に入り、椅子に座れせると名残惜しそうな顔をしていた。


グー


安全な場所に移動して気が抜けたのか、 事務所内にその音が響く。


「もしかしてお腹空いてた?だったらいっぱいあるけど」


バックの中からすぐに食べられるCMとかでよく流れている1本で満足できるシリアルバーを何本か取り出し渡す。


「ありがと〜有村ちゃん〜朝からビスケットしか食べてなくてペコペコだったんだ」


「私もお腹が空いてたからちょうど良かったよ…それよりもその右腕大丈夫?」


最初は、ゾンビの返り血だと思っていたけどよく見れば服が裂け、肌から血が出ている。


「ハハハッ」


罰が悪そうに怪我をしていた右腕を見せてくる。


「お兄ちゃん大丈夫⁉︎血が出てるの!」


「大丈夫だよ愛佳!これぐらいなら唾でもつけとけばなんとかなるさ」


虹村は強がっているが肉はえぐれ多分相当痛そうに見える。


「応急処置くらいならできるからちょっと待ってて」


私はシリアルバーを急いで食べてバックの中から綺麗なタオルを取り出す。


「それなんだけどちょっと二人で話せない?有村ちゃん」


「いいよ…どうせ外に欲しいものがあったし」


「愛佳、お姉さんと外でお話しがあるからちょっとの間待っててな」


二人で事務所の外に出て向かい合う。


「この傷…実はゾンビともみ合いになった時に噛まれたんだ…」


(やっぱり噛まれた傷だったのか…というかわざわざそれを言うってことは)


「俺はここに来る前にゾンビに噛まれた人がどうなるか見てきたんだ…死んでゾンビに転化したよ…」


前世でもゾンビに噛まれれば、死んでゾンビに転化するそれは極当たり前のことで、例え死霊使いの私でもゾンビに噛まれた人間を助ける方法はない。


そもそも死霊使いは『死』を司る者で『生』とは真逆だしね。人を生き返らすのとゾンビに生まれ変わらすのとでは、話が全然違う。


「俺をアイツらみたいになる前に有村ちゃん…殺してくれないか…」


真剣表情で訴えかけてくる虹村に私は少し間を置いて答える。


「いいよ。ゾンビになる前に私が殺してあげる、でもまだ二次元君がゾンビになって私達を襲うのは確定ではないんでしょ?なら最後まで頑張って見れば?、それに妹さん?も心配してるでしょ?」


「ありがと有村ちゃん…なんか元気が出たよ…てかさっきから何してんの」


私は話をしながら刀ゾンビにも使ったお酒を探していた。


「あったあった、ちょっと傷口見せて」


虹村の傷口にお酒をかけ、先程のタオルを包帯がわりに使う。


「グッ…いってー…てか有村ちゃんまじで何者?刀でゾンビ倒したりこの腕の応急処置の仕方も素人とは思えないんだけど…まさか本当にダークネスプリティだった⁉︎」


「やだなーただの同級生だし、この刀も拾っただけだし応急処置もかなりテキトーだよ」


相変わらずダークネスプリティーはよくわからないが取りあえず上手く誤魔化す。


「刀拾っただけでゾンビ倒せるならみんな刀持ち出すよ…」


その言葉は聞かなかったことにして事務所に戻った。




………


「改めてまして俺の可愛い妹愛佳です!ほら愛佳挨拶」


「アイカは虹村 愛佳っていうの!ダークネスプリティーのお名前はなんて言うの?」


「ダークネスプリティーではないけど私は有村 ユメていいます。よろしくね!」


「俺は虹村 幸助!現在彼女募集中だ!そして可愛い愛佳のお兄ちゃんだ!」


事務所に戻った私たちは、愛佳ちゃんが今だに私のことを魔法少女だと勘違いしているので互いに自己紹介する流れになっていた。なぜか元気になった虹村兄も参加していたが。


「で!これからの事だけど、2次元君と愛佳ちゃんはどうするつもりだったの?まさか当てもなくこのスーパにいたわけでもないんでしょ?」


「あのね、アイカたちは金剛パークに行こうとしてたの!」


「あー金剛パークね…」


私は金剛パークにいたゾンビを思い出す。何万といたゾンビの壁を。


「あ!そうだよ!そういえばなんで有村ちゃん金剛パークにいないのさ、俺はてっきり歩と一緒に金剛パークにいると思ってたのに」


「そもそもなんで歩が出てくるのか不思議なんだけど…昨日の昼から歩とは会ってないわ」


「いや、昨日歩が有村ちゃん探しに行ってから、その後バスで金剛パークに避難するって言ってたから有村ちゃんと合流していたのかと、アイツが有村ちゃん見捨ててくわけないし」


「まあ歩も自分の命が危なくなったら逃げるでしょ、私も自分の命優先だし」


「でもダークネスプリティーは逃げないよ?」


「……」


「そ、そうだよ有村さんは俺たちの事助けてくれたし、まあ歩のやつも何か理由が会ったんだろう、まあ話は逸れたけど金剛パークに行く途中でここに寄ったんだ」


歩はどうやら金剛パークで籠城しているか、死んでいるなら何万といたゾンビの中だろうな。


そんなことよりも金剛パークの現状をこの場で話す事で、せっかく元気になった虹村兄を不安にさせると愛佳ちゃんまで悲しませる事に繋がるかもしれない。


「まあ今日は、ここで寝泊まりして明日移動しよ」


「そうだね、俺も足手まといになりそうだし」


とりあえず明日また考える事にした…それに虹村兄の命も明日まで持つかどうかわからないし。



モブ死なないで!


次回

モブ死す!

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