バイオハザード?
6歳になってからは一人になる時間が増えた。
両親は共働きで、父は小説家だが何故か世界中を飛び回っており、母は私が産まれる前まで女優をやっており私が5歳の時、女優に戻り最近はあまり家に戻らない。
小学校という教育機関で学問を学び家ではこの世界のことを調べる毎日。
私はこの世界を調べるうちに地球でも魔法を使えることを発見した。
魔法といっても私自身の魔力が少なくファイヤーボール一発だけ打つだけで魔力切れを起こし気絶してしまう。
(これは少しづつ魔力を上げるしかないな)
魔力は筋力や体力と同じように毎日使えばその容量は増える。
ただこの世界で魔法が必要かどうかは怪しい。今いる日本という国は戦争もなく平和だ。それに私一人が魔法を使えてもテレビで見るような現代兵器に勝てるとも思えなかった。
私はこの世界での目標というものが見つからずにこの6年間生きてきた。
ここが元の世界なら世界を滅ぼすために動いていたかも知れないが。
そんなことを考えながら過ごしていたある日私の学校に元宇宙飛行士だという男が講演会に来た。
元の世界では地上が丸いという事さえ知らなかった私にはその宇宙飛行士の話は非常に興味を惹かれた。
「ではここからは質問タイムです」
あまり積極的な子供がいないのか手を挙げる子はいない。私は好奇心に負けて手を挙げる。
「どうして宇宙飛行士になったんですか?」
男の回答は簡単だった。上から地球を見たかったそうだ。ただそれだけのことだった。
それで私がこの世界で宇宙飛行士になりたくなったとかではないが、とりあえず何にでもなれるくらいにはなりたいな、と思わされた。私もふと宇宙に行きたくなるかもしれない。その時、宇宙飛行士になれなかったら嫌だ。
元の世界にはもう帰れないのだから。失った過去は戻らないのだから。もう後悔などしたくないのだから。
せめてこの地球では好き勝手なことをして生きていく!それが私の目標となっていた。
......
数年後
「ユメってさーそうやって勉強ばっかで人生損してない?だからさあー今日の放課後映画見に行こうぜ!」
私の机から参考書を取り上げ、映画のパンフレットを広げるのは幼馴染の黒瀬 歩だった。
「人生の損?そういう歩こそ勉強しないで大丈夫なの?この前先生に成績のことで呼ばれていなかった?」
「ゔっ」
私は参考書を取り返し参考書を開く。幼馴染はうなだれたまま男友達の所へ戻ていった。
私、有村 ユメとして転生して17年、私は17歳にになり高校生2年生になった。
できるだけ後悔しないようにと生きてきたがやはりこの世界では魔法なんかよりも学力がものを言う訳でとりあえず勉強だけはしてきた。
そんな私が通っている学校は進学校で偏差値も高く、なぜ幼馴染の学力で入れたかは今でも謎だ。一応私も受験勉強に手伝わされたがあのレベルでよく受かれたものだ。
「お前また有村ちゃん誘ったの?もう何回目だよ有村ちゃんに断られたの」
「いや断られてないから、今回はまだ行かないとは言われて言われてないから」
もちろん私は放課後真っすぐ家に帰るつもりだ。別に私だって勉強ばかりしているわけではなくたまには映画くらい見たいと思う。
だがこの幼馴染には非常にめんどくさい特性がある。それは
「有村さんが断ったのならアタシが一緒に行ってあげようか?た、たまたまアタシも放課後空いてて映画でもって思ってたから、歩君が行きたいなら一緒にいくよ」
「ずるい!わたしも黒瀬と一緒に行きたい!」
「ウチも先輩といきたいですー」
そうこの黒瀬 歩はラノベの主人公のようなハーレムを結成いるのだ。この三人以外にもまだ歩に惚れている人間は何人かいる。(私調べ)
そして私が仮に放課後、映画を見に行こうものなら他の女たちも付いて着て映画を見るどころではなくなるだろう。だから私は行かない。修羅場に巻き込まれるのは面倒だ。
「な、ならみんなで行こうぜ!ユメも一緒に!」
女達の視線が痛いが無視して答える。
「私ピアノのお稽古があるので」
「いや嘘じゃん、ピアノ小学校でやめてるじゃん」
「じゃーそろばん」、「それは小3で!」、「弓道」、「中2」、「茶道」、「去年」、「人体解剖」、「ってそれはそもそも習い事じゃねーよ!」
「まあまあ有村先輩もそう言ってるんで私達と見に行きましょうよ」
「鏑木さんが言っているとおり、私はいいからみんなで見に行って来たら?」
そう言って私は参考書を閉じ教室から出る。
昼休みも後5分くらいだが、教室から出た以上すぐに戻るのも変だ。
(午後の授業さぼろうかなー)
私の成績は学年トップなので授業を出なかったところで問題はない。
そうと決まれば私は屋上に向かう。屋上にはカギがかかっているが私は魔法を使いカギを開ける。屋上には何回か来ており、いい昼寝スポットとして覚えている。
雨に濡れないように隠しておいたブルーシートを敷いてその上に寝っ転がる。少し硬いが気にするほどじゃない。ワイヤレスイヤホンを耳につけ音楽を流す。
季節も春で気温もちょうどよく眠ってしまう。
「んっ」
少し寝すぎたか?違和感を覚え目が覚める。
死霊使いの私は人の「死」に対してかなり敏感だ。今この校舎で数百とい人間の「死」の気配を感じる。
何かが起きていることは分かった、だがこの平和な日本でこんななどす黒い「死」のオーラが出るなんておかしい。
そして「死」のオーラがこの校舎だけじゃないことに気づく。街の方を見ると何千何万人という人間の「死」の気配が感じ取れた。
(地震?災害?でもそれだと私が起きなかった方がおかしい)
「きゃー」
突然校舎の中で女の子の悲鳴が聞こえた。
私は警戒しつつ屋上から校舎に降りる。悲鳴が聞こえた4階の校舎はそこら中に血が飛び移っており、ここで異常なことが起こったことは分かった。
ガタ
教室の中で物音がし、私は警戒しながら静かに教室のドアを開け中をのぞく。
女子生徒の上に男子生徒がまたがっており、女子生徒を食べていた。女子生徒と私は目が合うが女子生徒は声にならない声をあげそのまま死んだ。
そして死んだ女子生徒には興味を無くした男子生徒はユラユラと立ち上がり私の方を向く。
目は赤く充血していて口は女子生徒の血で真っ赤だ。前世のゾンビ化と同じ症状だ。こうなってしまったらもう人間には戻れない。
男子生徒はドアの近くに立っている私に飛びかかって来た。私はドアを急いで閉め離れる。男子生徒はドアを倒しながら飛び出で来る。
突然の事で焦って逃げたが今度は逃げない。男子生徒の距離は3メートル程。
「ファイヤーボール!」
私が放った火の玉が男子生徒を焼く。前世ではゾンビの弱点は火の魔法だった、どうやらこちらのゾンビも弱点は変わらないようだ。男子生徒は丸焦げになり動かなくなった。
肉が焦げた匂いがしているが気にしないで先ほどの教室に戻る。女子生徒の死体を確認するために。
「これは魔法の痕跡?」
死体を探ると女子生徒の傷口にはわずかだが魔法を使った後があった。
「どういう事?私以外に死霊使いがこの世界にいるの?」
魔法の痕跡がなければこれは現代人が生み出したウイルスだと思えることができたが魔力の痕跡がある以上、死霊使いの仕業になるのだ。
誰が何の目的でゾンビを作ったのかは分からないがゾンビが私を襲ってくる以上この死霊使いを警戒しておかなければならない。
女子生徒の死体を燃やし私は教室を出る。
「カモフラージュ」
私はゾンビに視認されなくなる魔法を使った。ゾンビに会うたびに襲われ魔法を使って倒していては、いずれ魔力が尽きてしまうからだ。
カモフラージュの効果は絶大で途中何度かゾンビとすれ違うが見向きもされなかった。
どうやら生き残った生徒は全員もうこの学校にはいないようだ。校舎を一通り見てみたが生きている人間はおらずゾンビだけだった。
「学校専用のバスがなかったしそれで逃げたのかな?あ!そうだスマホ」
教室に置きっぱなしにしてあったスマホのことを思い出し、自分のクラスに戻る。
「げぇ、凄い電話の数」
母親と父親それと歩から沢山の電話がきていた。ラインも来ており開こうとするが電波障害で開くことができなかった。
とりあえずスマホをカバンにしまい学校をでて家に戻る事にした。
次回どうするかまだ考えてないので頑張って考えます。