引越し2
「ユメお姉ちゃんおはよう~、寝不足なの?」
「ちょっとね」
結局あの後、音は聞こえてくることはなく2度寝をしたがあまりよく眠れず早めに起きていた。どうやら私の顔にはクマでもできているらしい。
「愛佳ちゃん実はね…………」
散々悩んだ結果素直に現状について相談することにした。流石に無色達の事は省いた。
「…………そうだったんだ。アイカは難しいことはよくわからなの…だけどユメお姉ちゃんがいくら強くても危険なことはしてほしくないの!でも…困っている人を助けるのがダークネスプリティーで、ユメお姉ちゃんの友達を助けてあげたい気持ちもあるの」
真剣に話を聞いてくれ自分なりのの意見をくれた愛佳ちゃん。この子の前にいる時だけはダークネスプリティーでもいいのかもしれない。
「決めた。金剛院パークにいこう!」
「うん!!」
決断してからの行動は早い。荷物を背負ってホテルを出る。
深夜に鳴った音でゾンビ達が誘導されたのか、辺りにゾンビの姿は見えない。愛佳ちゃんにここに残ってもらう選択肢もあったが、金剛院パークから離れすぎているため不安だ。なので金剛院パークにある程度近づき、虹村ゾンビと一緒にどこか隠れて貰おうと思う。
2日目並みにゾンビを見ることがなく昨日歩いた半分の距離を既に進めている。これなら午後には金剛院パークに着けそうだ。
「おら‼」
⁉…静かな通り道から突然そんな声が聞こえて愛佳ちゃんと目が合う。
「誰かが戦ってるみたい、愛佳ちゃん少し走るよ」
事前に愛佳ちゃんとこういった場面に直面したら出来るだけ助けようと決めていた為、迷うことなく声の元へ向かう。
そこでは、学校などで暴漢などを取り押さえる時に使うさすまたでゾンビを必死に抑えてる学生服を着た男とサラリーマン風の男、そして金属バットを持って勇敢に戦っている金髪でヤンキー風の女の子でバットを上手く使いゾンビの攻撃を避けている。対してゾンビはさすまたで抑えられている2体と女の子に襲い掛かろうとしている3体の合計5体で最初は6体だったのか1体だけ頭から血を出して倒れていた。
「愛佳ちゃんと虹村君はここで待ってて」
私はスピードを落とさないまま女の子とゾンビの間に入り込む。すれ違いざまにゾンビを1体倒すのも忘れない。
「加勢する」
女の子は一瞬驚いた表情をみせるがすぐに真剣な表情に戻る。
「助かる!右の奴任せた!アタシは左を殺る‼」
女の子が宣言通り左のゾンビにバットで殴りかかった。
「おーら!1体なら楽勝だぜ!!オタク!今助けるからな…っておいおい何の冗談だよ」
女の子が1体を数秒で倒してるあいだに私は右のゾンビとさすまたで抑えられている2体のゾンビを倒していた。
「落ち着いて話したい所ですが、騒がしくしすぎたかも知れません。すぐここから離れましょう」
「お、おう、だけど一つだけ聞いていいか?アンタ何もんだ?」
「ただの女子高生がですけど?何か?」
こんなJKがいてたまるか!と言うツッコミが聞こえた気がするが気にしない。
……
愛佳ちゃん達と合流して歩きながら話す。
「私は有村ユメただの女子高生、こっちの顔を包帯で巻いた人が虹村……くんでゾンビから逃げる時に盛大に顔から転んでこんな姿に、ショック声も出せなくなってるけど気にしないで、そして」
「虹村幸助の妹のアイカです!小学生3年生です」
((普通だ))(幼女)
虹村ゾンビには事前に顔に包帯を巻いて顔色を誤魔化してその設定も愛佳ちゃんと打ち合わせてある。てか一人犯罪者がいた気がするな
「お兄さんは気の毒だったね、僕がこの中で一番年長者だね…」「この冴えないオッサンが田中で、デブがオタク、アタシがヒイロ、男みたいな名前だろ?」
「ううん、ヒイロお姉ちゃんかっこよくて素敵なの」
私だけが聞き取れるくらいの小声で「スカーレットプリティーだ」と言っていたのは聞かなかったことにする。
「お、おうありがとなチビ」
ヒイロは顔を背けたが顔が赤くなっていた。
「先ほどは危ないところを助けてもらいありがとうございました。」
「気にしないでください、困った時はお互い様です!3人はどこか目的地がありますか?私達は金剛院パークに知り合いがいるので行くつもりですが」
「金剛院パークならやめときな、深夜に馬鹿でかい音が響いて一帯のゾンビ達が向かってたぜ!それよりもオタクんちが近いんだ、アンタらも来なよ!オッサン達よりも頼りになりそうだ」
田中とオタクは苦笑いしてる。
「音に関しては知ってるよ!原因も含めて知りたいの。でもオタクさんの家が近いなら休憩も兼ねてお邪魔させて貰おうかな」
「さんはやめてくれ、ヒイロでいいよ」
オタクの家にはそれから30分で着いた。道中田中がこれまでの経緯を言っていたが長かったのでまとめると
ヒイロとオタクは同じ学校の同級生→その学校が避難先になり田中合流→避難先を維持できずにその場に居合わせた3人で逃げる→なんやかんやで今
らしい。
オタクの家は、昔ながらの塀があり実家は金持ちらしい。これなら簡単にゾンビも侵入出来ないだろう。門も立派でこんなの道場か政治家かヤ○ざの家だろ(ド偏見)みたいな感じだった。
誰か家族がいるかと思ったがもぬけの殻だった。荒らされてる形跡もないしどこかへ避難したみたいだね。念のため家の周りを1週してみるがここなら安全そうだ。
私達はリビングでこれからのことに話し合うことになった。
「私はこの後1人で金剛院パークにいって様子を確認してくる、貴方たちはこの後の予定とかあるの?」
「元々アタシらは、オタクの家が近いから行くかって感じだったからな~米が沢山あったし、しばらくここに留まるつもりだぜ」
先ほどキッチンでゴソゴソしていたが米を見つけていたらしい。
「それならこっちの食料も分けるから、愛佳ちゃん達を預けて行くね」
「おう!アタシに任せておきな!アンタも強いのは知ってるが気をつけてな」
ヒイロ達信用したわけじゃないが、会う前からゾンビに襲われていたので操っているとは思えない。話した印象も悪くない。
もし変な気を起こしても虹村ゾンビなら3対1でも問題ないしね。
「ユメお姉ちゃん頑張ってなの!アイカも頑張ってみんなのお手伝いするの!」
この世界の癒し存在、愛佳ちゃんに元気をもらい私は金剛院パークに向かおうとする。
「ぼ、僕も着いて行ってもいいですか?」
「オタク?」
オタクの申し出に皆困惑する。
「ぼ、僕の親金剛院さんの所で働かせているんですがもしかしたらみんな金剛院パークにいるんじゃないかって…おもって」
「ふーんそれで?オタクが着いて行って足手まといになるだけだろ?オタクはオタクらしくここにいろ!」
オタクにアイアンクロウしながらヒイロが言う。言葉は強いが確かにゾンビ1体に足止めするのに精一杯だったし私としても足手纏いはいらない。足も遅そうだし。
「もしオタクさんのご家族に会えたらオタクさんの健在を伝えとくね」
「あ、ありがとうございます、金剛院でSPをしている金尾にタクは元気ですと伝えてもらえると助かります」
オタクはあだ名だと思ってたけど、金「尾タク」でオタクなのね。割とどうでもいいな。
「それじゃあ今度こそ行ってきますね。皆さんもゾンビの襲撃には気をつけて、何事もなければ明日には帰って来る予定ですがそれ以上かかってもそこまで心配しないでください」
こうして5人を残し金剛院パークにへ再び歩き出す。
この時の私は金剛院パークで起きている惨状を知らなかった。
次は別視点のお話予定です。




