魔法美少女戦隊MAD49 〜Gを君と〜 Episode.17 かわいいの!おいしいの!
ブレザーの制服姿の少女達が2人、3人と、中学校正門から出てきた。
「あぁ、やっと中間終わったな」
延びをしながら、3人のうちのポニーテールの少女が長髪の少女に話しかけた。
「そうね。ハタタは転入そうそう試験で大変よね。あ、ヤスミ、駅前に新しいお店屋さん出来たの知ってる?」長髪の少女が、少し先を歩いていた、ふたりの少女のうちのセミロングの方の少女ヤスミに話しかけた。
「あ、チャッビー(Chubby)でしょ、クリームきんとん屋さんだよね、駅前の屋台の?ホムラちゃん、実はあたし開店記念割引券有りのチラシ、もって来たんだ。ジャーン。五パーセント引きよ」
振り向いてヤスミはにっこり笑ってカバンからチラシを出して広げた。
「ヤスミちゃん、ホムラさんは、ハイランクファンシーショップのハウス・オブ・テラー(House of Terror)の事を言ってるのだと、思うのだけれど?」
ホムラの隣にいたショートカットの少女がつぶやいた。
「そうよ、イズミの言うとおり。屋台は隣町から来ただけでしょう!わたしも十パーセント割引券ちゃんと読み込んで来たんだから、ハウス・オブ・テラーに行くわよ、ヤスミ」
モバイルタブレットをつきだしてホムラが言い切った。
「あんまり、そう言うお高そうなお店は……意識が高いのよね」
ヤスミがブツブツ言った。
「ヤスミちゃん、『意識』じゃ無くて『敷居』よ」
イズミが訂正を入れた。
「あれ?そうだっけ?糖分が足らないと頭が働かないから、クリームきんとん屋さん行こうよ。かわいいのは、かわいい人に任せてさ、かわいい人に。それ以外な人は似合わない場合もあるんだし。チャッビーに行こう」
「あんまり食べてばっかりだと、ヤスミの行き着く先はお店屋さんじゃなくてブーちゃんよ、ブーちゃん」
「気をつけてれば平気なの。かわいいは努力しても無理がある人もいるけどねぇん」
「なんですって!」
ヤスミとホムラが言い合いを始めた。
「何をやってるんだ?そろって?」
背の高い、細身の少年が後ろから声をかけてかた。
「あ、九曜紋先輩」
イズミが頭を下げた。
「誰?」
ハタタがイズミにたずねる。
「前生徒会副会長の九曜紋桜先輩よ。ハタタさんのクラスに居るでしょ巴くん。九曜紋先輩は彼のお兄さんよ」
「ふぅん」
ハタタが、頬をさくら色に染めて目をトロンとさせ、わかっているような、いないような返事をした。
「桜さん、ホムラちゃんがさ、食べ物屋さんに行かないっていうのよ」
「行かないとは言ってないわよ、……ないです、先輩、小物屋さん今日だけ割引券使えるんですよ」
ヤスミとホムラが口々に言う。
「なら、両方梯子すれば良い、可愛いの見て欲しいの有ったら安く買って、それから美味しいの少しだけ食べてさ」
桜が提案し、続けた。
「今日だけセールだって、星も同級生とそのハイランクの店に行ってるはずだ」
「じゃあ、あたしはそうする、皆は?」
ハタタがヤスミとホムラを等分に見て言った。
「ハタタに賛成。両方駅前なんでしょ?」
ヤスミの隣を歩いていた、総髪の少女が手を上げた。
「えぇ、ミノリちゃんそっち?」
「梯子がいやって、もしかして、ヤスミ、お小遣いがピンチ?」
「そ、そんな事は……ちょっとだけよ」
「あ、私、今月は余裕があるから、貸してあげるわ、十一で」
イズミがおずおずと申し出た。
「ありがとう、イズミちゃん、持つべきものは友達だよ」
ヤスミがイズミに抱きついた。
「……十一でだぞ?」
ハタタが顔をしかめてつぶやいた。
ホムラとミノリは顔を見合わせて微苦笑を浮かべた。
「そこで弟たちに会ったら早く帰るように言ってくれ。たのんだぞ、じゃ」
桜、そう言って、脇道に入って行った。
「桜さん、またね」
「先輩、さようなら」
また、ヤスミとホムラが張り合い始めた。
「駅前でしょ?先、行くわよ」
ミノリが歩き始めた。
「行くか」
「ええ」
ハタタとイズミが続く。
「まってまって!」
ヤスミが追いかけた。
「割引チケットは私が持ってるの!」
そう言って、ホムラは頬を膨らませた。