新任よ
「なにあれ!」
お昼前。
あたしの部屋に現れたニナルのマスコット役はずんぐりむっくりの不細工な海獣だったの。
「じゃ、これで。これから宜しく頼む」
ソリスが、銀色の首輪を不細工に着けたわ。
「このマー・マン、粉飾潔斎して任にあたる所存でござる」
ござる?
変なしゃべり方の不細工ね。
とにかく海獣の名前が、マーマンって安っぽいわ。
まぁ、ファミリーネームなら、名は体を現すでしかたないわよね。
不細工で安っぽいんだから。
「お前は、何・マーマンなのかしら?」
訊いてみたわ。
「おぉ、あなたがリーダーの〃〃〃〃〃でござりますな。マナティタイプのマー・マンと申しまする。よしなにお願い致しまする」
あぁ!?
マナティっていったら、ジュゴンと双璧の人魚のモデルって話よね。
このマーマンはずんぐりむっくりだわよ?
で、一部聞き取れなかったんだけど?
何ていったのかしら?
「マーマンは、あたしが、何ていったのかしら?」
「はい、それは……」
「黙ってマー・マン!……ナノちゃん。人生には知らなくて良い事と、しってはいけない事が有るの。まだ地球次元に馴れていないマー・マンには、その判断が出来ないの……」
「いえ、魔法美少女戦隊リーダーのナノちゃんの、あまりの美しさに、雄として求婚の歌を発してしまいましてそうろう」
そうろう?
ドラウトの発言に被せて、マー・マンが言ったわ。
何よ、ドラウトがアワアワするような事を言ったわけじゃないじゃない。
マー・マンはマナティなのよ!
マナティは人魚のモデルなのよ!
そのマー・マンは雄。
人魚は主に女性形態よ。
なら、あたしは女性形態の人魚の様なのよ。
誉められてるじゃない。
「別に、知ってあたしが怒り狂うような話じゃないじゃない。マー・マンからの求婚。よろしくってよ。残念ながら、あたしにはバル様が居るからマー・マンと結婚する事は出来ないけど」
気分が良いと饒舌になっちゃうわね。
「それは残念至極」
本当に残念そうにマー・マンが言ったわ。
「ナノちゃん。本当にそれで良いのね?後で怒り狂って、そのゲンノウでマー・マンを撲殺とかしないって事で良いのよね?」
ピンクのどぶねずみが何か言ってるわね。