同句よ
「今日は、ナノちゃんに渡したい物が有って来たのよ」
カオちゃんがスッポンの声で……てか、スッポンがカオちゃんの話し方でしゃべってるわ。
「わたしゃ、これだ。中学生にも成って、みんなで御揃いってゆうのも変だからさ」
そう言ってでっかいヒデリィ……ルイが黄色い毛の中から出したのは、ピンクの鉛筆サイズのバトンみたいな、何か。
ピンクのチェーンがストラップみたいに付いてるわね。
やっぱり、ヒデリィがルイの口調でしゃべってるわ。
「まぁ、サイズ以外共通項が無いけど、あたしゃ、これだ」
イクヨちゃんの口調でシメリィがしゃべってる。
エメラルドグリーンの毛の中から出てきたのは、極普通サイズの真っ赤な扇子だわ。
やっぱり真っ赤なチェーンが付いてるわ。
「わたしはぁ、これなんだぁ」
カオちゃんの口調でしゃべってるスッポンが、甲羅の内側(!)から出したのは、どう視ても巨大【まちばり】。
剥き出しで凄く鋭く尖ってるわ。
長さは鉛筆くらいあるわよ!
巨大まちばりの真っ白なチェーンの付いてる、頭の珠の部分も真っ白ね。
「はい。ナノのはこれだよ」
ヒデリィ……ルイの出したのは?
どう視ても、手作りパン屋さんで、パンをお買い上げした時に入れてくれる、茶色の紙袋よ。
「あ……ありがとう」
受けとるけど……何か嫌だわ。
紙袋に油のシミが見えるのよ。
汚れが有るのよね……まぁ、まさかこの袋自体が渡したい物じゃないわよね?
しっかり重量が有るもの。
この中身が何かが問題よね。
「開けて、開けて!」
これはカオちゃんのしゃべり方のプランジャー……違和感しかないわ。
「じゃあ、遠慮無く開けさせてもらうわ」
袋の口は折っただけ。
立てて開けば……………………。
手を入れて取り出せば……………………。
「これは、しっかり重量が有るはずね…………」
ポップで可愛い黄色ね。
ヒデリィの毛の山吹色みたいなちょっと黒ずんだ黄色とは違って、レモン色に近い黄色ね。
サイズも手のひらにしっくり来る、小さめサイズよね。
サイズの割には重量が半端ないけど。
黄色いチェーンが付いてるわね。
何か、このチェーン、プラスチックみたいで違和感しかないわね。
「気に入った?ナノちゃんにぴったりでしょう!」
プランジャーが、カオちゃんのしゃべり方でのたまうんだけど。
「ぴったりって……これ、ハンマーよね。あたしの何にぴったりなのかしら?」
訊いてみたわ。
「違うよ、ナノ。それは金槌って言うんだって」
イクヨの口調でシメリィが言ったわ。
……あたしには、ハンマーと金槌って違いが解らないわ。
ただ各国の言葉での別名称だって事以外の違いが本当に解らないんだけど?
「着けていてほしいんだ。それはこれとかと同じでネックレスだから。いつかナノにも必要に成るからさ」
ルイの口調でヒデリィが言ったわ。
……誰もあたしの何に、金槌がぴったりなのか答えてくれないわね?
「キーワードは……そうだな【マフィン・トップ】ったよな……マフィン・トップって言葉も忘れるなよ」
イクヨちゃん口調の巨大シメリィに言われたわ。
マフィン・トップ…………魔法美少女の変身キーワードと同じよ!?