推察よ
「ナノちゃん。これ。じゃ、またね」
塩むすびの入ったらしいランチパックと、庭の入り口の鍵をあたしに渡して、御トド様は帰って行ったわ。
残されたのは、あたしと巨大ヒデリィ達3匹。
「よう、ナノ」
えらく親しげに、巨大ヒデリィがあたしに向けて、右手を上げたわ。
「昨日はありがとな、ナノ」
大型シメリィも、凄くフレンドリーに声をかけてきたわね。
「ナノちゃん、糞詰まりは大丈夫?」
でっかいスッポンが、失礼な事を言ってる……って、糞詰まり?
糞詰まり、この単語を多用するって言ったら……!
「カオちゃん!?」
「何を驚いてるの?」
不思議そうに言うスッポン。
このスッポンがカオちゃんなら……でかぶつヒデリィと超でかぶつシメリィは……。
「もしかして、ルイとイクヨちゃん?」
訊いてみたわ。
「もしかしなくてもそうだろう?この顔を忘れたか?」
巨大シメリィが言う。
「顔見て何で疑問形なんだよ?」
大型ヒデリィも言う。
さっきの御トド様の通常な反応と言い、この3匹……3人の平然とした反応と言い、ホントにドレス姿なのかしら?
あたし達にだけシメリィやらに見えてるの?
それにしては、話すとき、口が動いてるのよね。
細かいギミックが付いた、最新式サイバーキグルミなのかしら?
サイバーキグルミがドレス姿?
「何でそんなみっともない格好してるのよ?」
訊いてみたわ。
「みっともない格好?何を言ってるんだよ、ナノ?最新のモードだよ?」
巨大シメリィ……イクヨちゃんが言う。
「まぁ、向こうの最新モードだから、こっちでは良さが解らないか。アハハ」
巨大ヒデリィ……ルイがそう言って笑ったわ。
「どこの国よ、それが最新のモードなのは!?」
そんな非常識な国が在るの!?
「あら、ソマツに決まってるじゃない」
ソマツ?
その名前、やっぱり国名だったの!?
前にも、スッポンが変幻したバレッタを見たカオちゃんが、その名前を言ってたけど……メイドインソマツって言ってたわね。
そうよ、その時に調べたら、そんなソマツなんて国も地域も無かったわ。
もしかして、イクヨちゃん達が変身する魔法女に、力を提供してる、高次元の存在って、そのソマツから来たのかも!