解明よ
「まだ、返済されてないから、返済が終わるまでは、1日分づつの利息が加算される計算だから、今日の時点では、おおよそなのよ」
ママは日割り加算を30年きっちりやってたの?
ママ、あたしだけじゃなく、パパもお兄ちゃんも……プリンセスもかしら、ドラウト達どぶねずみの群れもひいてるわよ。
「…………」
シメリィは口をパクパクして、声も出ないほど驚いてるみたいね。
「あら、酸素が薄いかしら?…スゥ。平気よね。ところで、何でシメリィは、ロープでペンダントライトから吊り下げられてるのかしら?」
今さら訊くことかしら?
「イズミさん、このシメリィ殿は、ヴァーチャスとして、僕達の前に立ちはだかった敵なのよ!?捕獲出来たんだから、当然拘束しとくわよ!」
ドラウトが、正論を声高に叫んだわ。
「そうなの……。拘束されてたのね。昔は、ひでりとシメリィは良いコンビだったのに。御忍びで、片瀬海岸までいらした、インフェロスのキャヴァッゲ(cabbage)姫様の護衛もしてたわよね」
「キャヴァッゲ?」
ママの話を聴いて、お兄ちゃんが呟いたわ。
「そのソノフェン王キャヴァッゲ様が、女王バファグリに歯向かったので、ホロトゥーリオン王家は、今やガタガタよ。あんた達の現代様、次期様の捜索の妨害に私が出るはめになったのも、御自身で次元ファッソル(fossil)してしまったキャヴァッゲ様の復活を、女王バファグリに認めさせる、その為よ。次期ソノフェン王のはずのラキュサーク王女は行方不明なんだから」
ラキュサーク王女!?
シメリィ、それこの部屋に居るわよ?
姫様自身が、言わないから、あたしも知らせないけど。
ホロトゥーリオン王家が壊滅的で、姫様も居ないから、シメリィがヴァーチャスをやらされてるんだわね。
そうか……姫様が居れば、シメリィは偽帝に反旗を翻せるのね。
やりたくてヴァーチャスやってる訳じゃないんだから。
あ、ドラウトがアディニウムの口を押さえてるわ。
グロッサリースは、ソリスの口を押さえてる。
シュヴリルが、すっぽんと4匹の地味色どぶねずみを縛った次元ワイヤーを引き受けたのね。
姫様がこの部屋に居るのを、うっかり言いそうなのは青と緑のどぶねずみですもんね。
あぁ……ママもパパの口を押さえてるわ。
こっちも、的確な判断ね。
お兄ちゃん……姫様を見ると、お兄ちゃんのスエットの下でウネウネ蠢いてるけど、何も発言なさらないわ。
何を考えていらっしゃるのかしら?
で、次元ファッソルって何よ?