短縮よ
「ナノちゃん、ここで、ここを持ってて。プランジャー、こっちを押さえてて。あぁ!シンデルもシンディルゥも手を出さないで!」
ドラウトの声が響くわ。
寝てる隙にシメリィを拘束するんですって。
あたしはベッドの上に立たされて、次元ワイヤーの端を持たされわ。
シメリィをぶら下げてるのが、あたしの役割。
まぁ、元はどぶねずみだから、シメリィも軽いわ。
人間形態なのに、ドラウト達くらいの重さしか無いわ。
「そうだ、そこはシュヴァリルとグロッサリースがやれ!次元ワイヤーの扱いは慣れてるほうが良い」
空中から指図だけして、アディニウムは何もしないのね。
「慣れてる、慣れてないでなく、シメリィ殿の拘束を、シメリィ殿の身内に任せる奴があるか!こら、スィンデリィもシーンディルも何もするな!」
ソリスは怒鳴ってるだけね。
それにしても、シンデルにシンディルゥ、シーンディルとスィンデリィ。
紛らわしい名前よね。
「こいつらは、これからはブランシュネージュ、シャプロンルージュ、アンジェヴェール、サンドリヨンて呼びなさい」
「それは、長いんじゃないか?」
グロッサリースが言う。
「あんたの名前も長いじゃない」
言ってやったわ。
「ほら、元々だし、ミドルネームは無いし、短くしても良いぜ」
グロッサリースが胸をはって自慢気に言うわ。
言ったわね。
なら、そうしましょう。
「じゃ、短くして、ブラン、ルージュ、ヴェール、サンドで良いわよ。そのかわり、グロッサリース、あんたの呼び方は【グロッ】よ」
言ってやったわ。
「えっ!グロッ!!いや、それは……」
グロッが、何かほざいてるわね。
「グロッ!が短くっしろて言ったのよね」
反論が来るかしら?
「……ブランシュネージュ、シャプロンルージュ、アンジェヴェール、サンドリヨンでオッケー。だからグロッサリースって呼んでくれ」
グロッサリースが折れたわ。