撤退よ
まっすぐ帰ろう。
何か気分が良くないから。
『お土産が原因では?』
そうね、すっぽん。
正しく、はお土産【も】原因よ。
便秘女に間違えられた上に、腸をお土産に持たされたのが、本当の気分が良くない原因よ。
これはつまり、あたしに浣を使へて事よ!?
あたしは便秘じゃないんだから、使ったりしたら、かえって体調を崩しちゃうかもしれないじゃない!
まったく、本当に、気分が悪いわ。
カオちゃんに至ってはあたしを【糞詰まり】だなんで言うんだもの!
『気分が悪いとは思えないほど、歩は進んでおりますな』
これは、この腸を早く手離したいからよ!
もし腸を公園やコンピニなんかのゴミ箱に入れて、誰かに見られたらどうするのよ!
特にニナルとかに見られたらどうするのよ。
こうやって浣を持ってるところだって、誰かに見られたくはないのよ!
特にミレディ・ブロンズ・ラブリィーとかに見られたら最悪よ。
それに万が一、あたしが浣を持ったまま体調不良で公共の場で倒れたら、どうなるのよ!
【あら、ナノちゃんは腸なんか持ち歩いてるのね。浣を常用してたのね】なんて思われたらどうするっていうのよ!
そんなシーンを、特に迷冷泥家のとっちゃん坊やの妹にあたる娘とかに見られたら、勝手に解釈して、無い事無い事、世間中に吹聴しまくるに決まってるし!
『いかにも、ニナルのやりそうな事ですな』
すっぽんが、同意してくれたわ。
でも、良かったわ。
もう、お家だわ。
すっぽん、御部屋で、消えた次元どぶねずみの件を、カラフルどぶねずみ達と、どう話し合ったのかの顛末を、教えてよ。
あぁ、やっと家だわ。
認証してっと。
「ただいま」
これて、浣を所持してるのから、解放されるわ。
「ママ、イクヨちゃんのお母様から、いただきものよ」
「お帰りなさい、ナノ。あら?何かしら……食べ物と、これは一緒にしないで欲しかったわね。あそこの旦那さんは確か、製薬会社に勤務てるのよね。でも、こういうお土産はねぇ……」
ママがぶつぶつ言いながら、自分のモバイルを引っ張り出してる。
多分、イクヨちゃんのお母さんに御礼の電話を入れるだわ。
あたしは、うがい手洗いをしてっと。
後は、お部屋に戻ってからね。
「ナノ、もうすぐお夕飯だから、早めに降りて来なさいよ」
「分かったわよ」
ママに返事をしつつ御部屋に……。
「ナノちゃん!氏親が行方不明なのは、自発的に身を隠したんじゃないわ!インフェルノスのシステムを知る誰かに、拐かされたのよ!…………多分」
ドラウトが……うっ!
どぶねずみの群れが、高速で部屋の中を浮遊……飛行してる!
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