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御訪よ

「……ゼイ……ゼイ……ゼイ……ゼイ……フゥフゥ……来た……わよ……」

3階前で休息してから一気に6階までは、キツいわね。

今、601号室のドアの前で、改めてインターホーンを押せたわ。

長かったわ。

「はい。いらっしゃい。こんばんはナノちゃん。みんな来てるわよ」

すぐにドアが開いて、イクヨちゃんの、背の高いお母さんが出迎えてくれたわ。

「……こ、これ、母が……………」

でも、息が、息が……。

「あら、こんなことをしてくださるなんて、広印さんたら律儀なんだから。わぁ、スフレケーキね。ありがとうね」

にっこり笑って、おばさんは迎え入れてくれたわ。

もう、箱を開いて中身を吟味ね。

「早速いただきましょう」

え?

おばさんは、もう食べる気なの?

「イクヨぉ!ナノちゃんのお母さんからスフレケーキをいただいたわよぅ」

「ナノありがとう!すぐ食うから持って来て」

「じゃ、悪いけどナノちゃん、イクヨの部屋に運んでくれる?」

おばさんに箱ごと渡されたわ。

おばさんは右の部屋に消えたわ。

あそこはキッチンだから、お茶の用意をするのね。

水分をいただけるのはありがたいわ。

「客使いが荒いばばさまだな」

「ヒデリィ黙って!」

バッグからの声に、ひそひそ言い返したわ。

まったく、次元どぶねずみはこれだから困るわ。

場所を選んで話しかけなさいよ。

「よう!」

イクヨちゃんの部屋に入るとイクヨちゃんが手をあげたわ。

「はぁい!」

カオちゃんに……。

「来たな」

ルイも居るわ。

「急に勉強会って、ゴールデンウィークに何よ?宿題のプリントなら先生に『すいません無くしちゃったてへ』で済むんだから」

カオちゃんに言われたわ。

しょうがないじゃない、みんなで夜集まる理由が勉強会以外にでっち上げられなかったんだもの。

あ!

あたしの宿題のプリントは、イヨちゃん達のと答え合わせを、済ませたんだったわ!

出せない。

「…あ、プリント、忘れた……」

「えぇぇ!?」

カオちゃんに凄く睨まれてるわ。

「取りに戻った方が良いぞ」

ルイには可哀想な子供を見る目で視られてるわ。

「まぁ、帰ればいんじゃない」

イクヨちゃんには呆れられた気がするわ。

「あたし等もプリントなんかしてないし」

ルイ、そう言うことなのね。

そう言えば、テーブルの上には、ポテチにポップコーン、おせんべいにスナック菓子が並んで……ピーナッツ?

ピーナッツ、サキイカ、サラミ、チーズ?

ピスタチオにアタリメまで!?

何よこのラインナップは?

パパ達のおやっさんオヤツみたい。

「スフレはそれ?」

イクヨちゃんに言われて、箱ごと渡したわ。

「おぉ!10個も!ひとり2つだね」

ルイも覗きこんだわ。

「さぁ、お餅も焼けたわよ。きな粉餅よ」

デンとテーブルにおばさんがのせたのは、大皿に山盛りの安倍川餅。

おばさん、お茶は?

お茶とか、コーヒーとか、ジュースは?

とにかく飲み物は出ないのかしら?

「いただきます。ナノちゃんは食べないの?」

カオちゃんに、訊かれたわ。

「まぁ、ナノも駆けつけ一杯。お餅は飲み物って言うからな」

ルイが変な事を言い出したわ。

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