踊場よ
「ここに、その主3人がいるのだな」
あたしの頭に乗っかって、ヒデリィがほざいてるわ。
代わりにすっぽんが、頭から降りて、胸ポケットに居るのよね。
「そう。まぁ、3人とも居るわ」
イクヨちゃんの住んでるマンションに、カオちゃんとルイも来てもらったの。
カオちゃん達を3人とも家に呼ぶって言ったら、ママが強固に反対したのよ。
いわく、今日はお掃除が出来てないからダメなんですって。
いつもしてない気がするんだけど。
「まぁ、勉強会のお土産にチーズスフレを焼いてくれたからいいわよね」
「は?なにがだ?」
これはヒデリィ。
「そうですな。母上殿は短時間ですごいお手並みでしたな」
これはすっぽん。
やっぱり、どぶねずみより亀の方が使えそうね。
エントランス前で601号室のインターホーンを押してと。
「ナノよ。来たわよ」
【今、開けるから】
入り口が開いたら、6階まで階段で登るのよね。
イクヨちゃんの所には、エレベーターが無いから。
ズシッズシッズシッズシッズシッズシッズシッズシッ……。
変な音がするわね?
ゆっくり登りましょう。
ギシィ……ギシィ……ギシィ……ギシィ……ギシィ……ギシィ……ミシィ。
ふぅ。
ちょっと階段の踊り場で休息よ。
「ナノちゃんはアクアマリン・ウエンズディーの次世代だよなぁ?」
休息中にヒデリィが頭の上から話しかけてきたわ。
「そうよ。ママの娘よ」
「アクアマリン・ウエンズディーはMAD49のメンバーの中でも、かわいいって一番人気だったんだよ?」
「かわいい?まぁね。遺伝よね。遺伝子の成せる業よ」
ヒデリィは、あたしとママのかわいさを比べてるのね。
「何で、見た目あのラキュサーク様のエネルギータンクと逆では無いのかな?魔法美少女戦隊のリーダーなのに?」
は?
何を言ってるのよこの黄色いどぶねずみは?
「ヒデリィ殿。それは触れては成らない禁断の話題です」
すっぽんが早口で言ったわ。
「わ、忘れていた!かたじけない、ラバーカップ家の者よ」
「痛い!」
ヒデリィがあたしの頭皮にしがみつきやがったわ!
「あ?」
気付かないの!?
「爪!あたしの頭にあんたの爪!」
「あ!失敬失敬」
やっと解ったのね。
痛みが消えたわ。
ホントに、この黄色いどぶねずみ【も】ハズレね!
「ヒデリィ、あんたあたしのバッグに入ってなさい。すっぽん、あんたがバレッタに化けて頭に乗っかってなさい」
指示よ!