残香よ
「ナノちゃんから!?これはどういう事だ!?」
黄色い薔薇……じゃない、黄色いどぶねずみが、ぬるりと異空間から涌いて出て騒いでるわ。
「何よいきなり?えぇと、黄色は誰だったっけ?」
『ヒデリィ様でございます。我らが女盟主シメリィ様と同格な』
ヒデリィ?
『ならば、ドラウト様のお父上と』
あぁ……ハイブリッドどぶねずみ群が産まれた諸悪の根源ね。
ハイハイハイ、ママ達世代の魔法美少女全体のマスコットを一手に引き受けてたって言う次元どぶねずみ。
「そうだ、ヒデリィだ。何よいきなり」
「……確かにヒデリィですが、思い出したんですか?」
黄色いどぶねずみが、あたしを見詰めたわ。
あぁ、この感情が見えない眼で、ジィッと見詰めるの、良くドラウトがするけど、こいつからの遺伝ね。
「何を思い出すのよ?」
まさか、名前をすっぽんに訊いたとも言えないから、逆に訊いてみたわ。
「この高次元エネルギーの気配の残り香の主だ」
考えていたのと、全然違う答えがかえって来たわ。
「残り香の主?」
再度質問よ。
「そう。残り香の主、3人」
「3人?」
「グラムズィー様、アグリィー様、ウィアード様」
「グラムズィー、アグリィー、ウィアード」
あぁ……ホワイトローズとかに変身したカオちゃん達に、高次元エネルギーを感じるとか、すっぽん言ってたわよね?
『はい』
それ、エンプライス様達に通ずる系統の力って言ったわよね?
『はい』
「どうしたのかな?ナノちゃん?」
イエローどぶねずみが、さらに覗きこんできたわ。
「ヒデリィ、あたしの親友達に会ったりしてくれる?」
うん、このどぶねずみに直接確かめてもらおう。