花詞よ
「ありがとう」
お家まで送ってもらっちゃったわ。
「じゃ、ナノちゃん、また」
長どすこい。
「また、ナノちゃん」
大どすこい。
「ナノちゃん、じゃ」
太どすこい。
3人どすこいに。
「じゃ、また、ナノ、行こ」
これは、うれしょん小僧。
お兄ちゃんは、太どすこいのマナミくんと同級生だったのよね。
体型からいったら、関取と並の子役中学生くらい差が激しいけど。
とりあえずお見送りをして、と。
「ママ、ただいまぁ」
「あら、4人とも早かったのね」
ママ、4人?
あたし、うれしょん小僧と……?
『居りますでしょう』
あ、すっぽん!
すっぽんが3……人目、後は?
『まだ居りますでしょう』
え?
「……いま!?あっ!あっ!……あぁぁ!!」
突然うれしょん小僧が、叫びながらお家に走り込んだわ。
あれは、お兄ちゃんが何時もの突発性行動不能症候群で行動不能になる前兆の叫びよね。
原因は、プリンセス・ラキュサークへのエネルギー供給……あぁ、ママにとってはプリンセス・ラキュサークが4人目なのね……でも、すっぽんやらタコさんウィンナーが人かしら?
『深く考えない方がよろしいかと。意志疎通が会話で出来る相手は人扱いでよろしいかと』
そう?
『はい』
あたし、とっちゃん坊やとは会話で意志疎通が出来ないわよ?
『うっ!……………………………………たまたま……違いますなぁ……うぅん……そうです。例外も在りましょう』
例外って……。
「おやつが有るわよ」
ママに声をかけられて、すっぽんとの会話はお仕舞いね。
お家に入ったら、洗面所でうがいと手洗いを済ませるわ。
「はい。ナノの分ね」
ダイニングでママに渡されたおやつは、ネズミーラットのラット形アイス。
またこれなのね。
これ、この造形だと、イチゴ味はリアル過ぎるんだけど。
『あぁ、まんまですな。。リアルな造形で今にも動きだしそうなピンクのラットですな。見た目』
ホントにリアルな造形よね。
「いただきまぁす」
ひっくり返して、蓋を開ければ造形は気にならないわ。
……食感がバサバサするアイスクリームって、何なのよ?
『劣化したアイスクリームでは?』
賞味期限はまだ有るわよ。
『はじめから、品質が下劣なアイスクリームでは?』
他の味は、何とか食べられたわよ?
『あぁ、ナノちゃんが、ドラウトを食べてるような、お気持ちから、美味しくない!と頭が判断しているのでしょう』
そういうモノかしら?
『そういうモノですから』
バサバサなアイスクリームは、甘く冷たいけど、なんかイチゴの香りのバターみたいな気がするわ。
「ごちそうさま」
うん、何とか完食よ。
口直しに、竹炭味を食べましょう。
『どうですか?』
うん、土台がバサバサで、アイスクリームには氷の粒があるけど、竹炭味はアイスクリームがバサバサはしてないわね。
『それは、幸い』
「ごちそうさま」
お腹が満たされたから、とりあえず、次はあいすぴちゃんに質問ね。
「あいすぴちゃん、黄色い薔薇の花詞」
「はい。嫉妬深い女」
何ですって!?