此奴よ
『ナノちゃん!』
そうね、すっぽん。
とっちゃん坊やの左手につかまるのよね。
「迷冷泥先生!」
なによ、この手!
ぬるぬるするんだけど!!
うぅん、触りたくも無いわ!
「何かな、可愛い仔猫ちゃ……なぁ!」
あぁ?
この反応は……そうか、とっちゃん坊や、あたしのあまりの可愛さに驚いたのね?
なんていっても、今着てるのは、ママが徹夜で、厳選したお洋服だもの。
可愛いあたしが、更に可愛いく見えるはずよ。
「ニナルに呼ばれたのよ。先導しなさい」
本題を言ってやったわ。
「ニナル?ニナルの何なんだよ、貴女様は!!放せよな!!!」
これはニナルの名前を聴いて、拒絶反応を起こしたのね。
「【シンユウ】」
ニナルに言われていたキーワードを言ってみたわ。
「はぁ!?あの自己中の権現みたいなニナルの親友!?何か弱味を握られてるんだろう!?ニナルの親友なんてやらされてる時点で貴女様の自業自得だから助けないが。まぁ、ニナルのねぇ……」
憐れみの視線で視られたわ。
「ナノちゃんは、どうしても【シンユウ】に成ってくれって、貴様の妹に言われて、ここに居るんです」
あたしの後ろに立って、マナミくんが援護してくれてる。
「そうです。貴様のお宅を訪ねるのだって、貴様の妹に請われてするんです」
ナヒカリくんも援護してくれてるわね。
「苦情なら、貴様の妹に言ってくれ」
ニギカゼくんも援護してくれたわ。
3人の若どすこいを、とっちゃん坊やが睨み付けたわ。
「……一重!二重!三段!……男だから良いものの……あぁ!ワンツースリー四兄妹!」
3人の若どすこい、そしてあたしを視て、とっちゃん坊やが大絶叫ね。
こいつ……頭、大丈夫なの?
3人の若どすこい……ワンツースリーは、まぁ良いわよ。
対応してるから。
でも、それが何で、四兄弟なのよ?
三兄弟でしょうが!?
『ニナルの身内ですから。いたしかたないかと』
冷静にすっぽんが言ったわ。
確かにニナルの身内。
したかないわね。
「とにかく、ニナルの所に、キリキリ案内しなさい」
とっちゃん坊やに、キュッと手を強く絡めてやったわ。
「んぎゃぁ!三段が!二重も当たってる!」
「おっさん、うらやましい事をしてもらってんのに、嫌がるな。なぁ」
ニギカゼくんがドスの利いた声で、とっちゃん坊やに囁いたわ。
「そうだ」
「うん」
ナヒカリくんとマナミくんが頷いたわ。