末弟よ
この若どすこいが、マナミくん?
ママやヤスミおばちゃんが、あたしの彼氏にしたがってる『良い物件』なの!?
3人の若どすこいの中でも、一番ビッグサイズじゃない!
横に。
ママもヤスミおばちゃんも、この末弟若どすこいとあたしが、釣り合うと思ってるの!?
お兄ちゃんは、ドリアンドリンクの代わりに、麦茶を持ってきたマナミくんと、のほほんと話をしてる。
はぁ、小学校の同級生で、同じ中学校の同窓生なのね。
中学校ではクラスは違ったのね。
あたしとルイみたいな関係なのか。
「……ありがとう成。3時から5時だから。いいよね」
は?
マナミくんに話しかけれたけど、聴いてたかったわ。
今、なんて?
「いいよな」
お兄ちゃんもそう話しかけてくるけど、本当に何よ?
「じゃ、兄さん達に知らせてくるから」
スキップしそうな勢いで、マナミくんが個室から飛び出して行ったわ。
「お兄ちゃん、何の話よ?」
お兄ちゃんを尋問よ。
「僕じゃない」
しらを切るか!
「わたくしじゃ」
同じ口で、この発言。
これは、お兄ちゃんじゃなくて、プリンセス・ラキュサークだわ。
「プリンセスは何をなさって下さいました?」
プリンセスを詰問よ。
「何、ナノと、ここの三兄弟の逆ハーレムデートを企画しました。3時から5時までだから、4時に会うはずのニナルの兄に対する牽制にもなるましょう」
お兄ちゃんが……プリンセスね……プリンセスが平然と言う。
「いくらプリンセスとはいえ、勝手に、そんな約束はしないでくださいません!?」
プリンセスに抗議よ、抗議。
「ほっほっほ。出会いが少なく、潤いに欠けて、不憫なナノに、ささやかな出会いの機会を授けたまでの事。どの殿方も良い物件じゃ。これは、わたくしの決定。ナノに抗うことはかないません」
ビシッと言われたわ。
ドラウト達どぶねずみ群だと『はっ』とか言って平伏するパターンだわね。
あたしは、しないけど。
「だって」
もそっと言って、お兄ちゃんが麦茶を飲んだわ。