外食よ
ゴールデンウィーク中にやらなきゃいけない宿題のやり方と答えを、お兄ちゃんに訊いたわ。
ぼんやりしながらも、的確に教えてくれるお兄ちゃんは、良い電子参考VTRみたい。
おかけで宿題が全部、午前中に終わったわ。
パパは、ゴールデンウィーク進行とかいう年中行事で昨日まで半分死んだようだったけど、今日は本当に死んだように寝ているわ。
もうお昼に成るのに。
リビングのソファーで寝ているパパはそっとしておいて、あたし達はヤスミおばちゃんご夫婦のお店、九ようもんでお昼ご飯。
ママと、ちょっとおめかしして御出掛けよ。
お兄ちゃんは相変わらず意味不明な、灰色スエットに黄色いポンチョ姿だけど。
「ぇらっしゃぁ!」
入り口を開けると、元気な御挨拶が迎えてくれたわ。
年長若どすこいが、個室の予約席に案内してくれて、直ぐにちゃんこ鍋がセッティングされたわ。
手際良いじゃない、年長若どすこい。
「これは、店からのサービスです」
年中若どすこいがテビチの御鉢を持って来てくれたわ。
「ちょっとご挨拶にね」
ママがダブル若どすこいと個室を出たわ。
「これ、成とナノちゃんに」
年少若どすこいが、ドリンクをサービスしてくれたわ。
「あ、ドリアンドリンクね」
これは……要らないわね。
「……あ、ありがとう」
どうしよう……。
「こんな高いの貰えないよ。麦茶でいいから。気持ちだけありがとう、ンマナミくん」
お兄ちゃんが、やんわり突き返した。
うまいわ。