あ!よ
『おぉ!これは!ナノちゃん、すぐ右側の建物を、御覧ください!』
帰り道ですっぽんが、騒いだわ。
右側?
ここは公民館よ……あぁ!
公民館の看板!
【園片地区公民館・講堂館】
ここが講堂館だったの!?
「遅い。すっぽかされたかと思った」
公民館の玄関から声がして、ニナルが現れたわ。
「今回は、漠然と放課後っていって時間を指定しなかったこっちの落ち度よ。待ち時間の件は不問にして、素直に謝るわ。にしてもよ、放課後範疇逸脱した遅さじゃない?あんたクラブとか入ってないでしょう?あ!成績不振で残り勉強?あぁら、ごめんなさい。そんな人に放課後指定しちゃって」
ムカつくわ。
放課後直ぐから待ってたみたいな言い方の割には、ニナルはしっかり私服なのがまた、ムカつくのよね。
それも手ぶら。
一回自宅に帰らなきゃ着替えらんないし、まだ荷物もあるはずよね。
あたしみたいに。
『ならば、ナノちゃん……ゴニョゴニョゴニョゴニョ……とブラフを』
すっぽんが、良いことを教えてくれたわ。
その線でいってみるわ。
「あぁら、あたしの成績なら別に放課後用事ないから。今日、親友を追いかけて速攻で此処に来たけど、誰も居なくて。だからあたし講堂館と学校の講堂を間違えたんだと思って、慌てて学校に戻ったんだけど?あの時、何であんた居なかったの?居たら、直ぐにとっちゃん坊や対策会合がもてたのに」
「え!?」
「公民館の人に聴いてみたら。『いやぁ!ルミオ様に会えない』って叫びながら女性が3時頃この道、通りませんでしたかって。あたしの親友で、あんたの義姉ん成るかも知れない人を追いかけてたんだから」
すっぽんの言った通りブラフをかけてみたわ。
「そ、そんな……ま、待ってなさいよ!」
ニナルが公民館に駆け込んだわ。
……………………
『出てきませんな』
これは、ブラフってバレたかしら?
『ポイントは、ご学友が、ルミオ云々(うんぬん)を言っていたか、いなかったかですね』
そうね、すっぽん。
あ、ニナルが出てきたわ。
「……遅れてすまなかったわね。そんなに早く来てるとは思わなかったのよ」
悔しそうに言って、ニナルが頭を下げたわ!!
あぁ、なんて気分爽快なのかしら!!