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狂喜よ
「そ、それはすっぽん!」
ダイニングテーブルで、お兄ちゃんが嬉しそうに言ったわ。
「あぁ、すっぽん……何て甘美な。あぁ、いけないわ!わたくしのは、今、スタッド・スレイブのを捕獲中……このすっぽんは、涙を飲んで今はナノに譲ってあげてよ」
これ、お兄ちゃんじゃないわ、プリンセスだわ。
「すっぽんなど、ソノフェンに戻れば、何とかなりますもの。今はこの味酒とツマミの苦味がもう……あぁ、幸せ。そう、細やかな幸せで良いのです」
プリンセスは無理やり自分に言い聞かせてるみたいね。
すっぽんに狂喜乱舞しそうな勢いだったもの。
「ハウッ!」
お兄ちゃんが、奇声を発して、顔を歪めたわ。
「そう、この苦味は何物にも代えがたい」
あ、プリンセスが声を出したわ。
お兄ちゃんからエネルギー源を補給して、チャージが終わったのね。
「今夜は、すっぽんの冷やし鍋?」
お兄ちゃんが、ママに訊いてる。
「いいえ、牡蠣よ、ヤスミちゃんから頂いた牡蠣で冷やし鍋よ」
ママが答えたわ。
「牡蠣!スタッド・スレイブに申し分ない栄養源で、あるな」
あら、プリンセスも、パパまで嬉しそう。