指示よ
うん、可愛いわ。
まぁ、着替えはこんなもんね。
「もう、着替えは終わったわよ」
すっぽんは、迷走をやめて、あたしの頭に、着地したわ。
「ここに居させていただきましょう。わたくしの擬態は髪飾りですかな」
頭が軽いわね。
「よろしくってよ」
ドラウトより軽いすっぽんね。
「あら、ナノちゃん、今日は早起きじゃない?」
部屋に、ぬるりとドラウトが湧いて出たわ。
「今日も、僕はやることが立て込んでるから、学校には、監視に行けないから」
ドラウトがそう言って、ヒマワリの種子をむさぼり始めたわね。
「そう、あたし、ドラウトの代りに、このすっぽん、髪飾りにして学校に連れて行くんだけど」
言ってやったわ。
「あぁ、良いじゃない。ここに居るて、うっかり、プリンセスのお食事に、されてたって言うのも、まぁ、折角、解放の術を使った意味もなくなっちゃうから」
あっさりね。
「じゃ、僕は行くから。そうそう、ニナルに遭遇したら、脱兎で逃げるのを忘れないように。ソリス兄さんも僕等と出てるから、万が一ニナルが捕食しようとしたら、とめる調教師がいないのと同じなんだから」
そう、言い残すと、ドラウトがぬるりと空間に消えたわ。
「あんた、プリンセスだけじゃなく、ニナルの食欲中枢まで、刺激してんの?」
『すっぽんは高級食材ですから』
直接、頭の中に響くように、すっぽんの声がしたわ。