辞退よ
「すっぽん、前から、あんたをマスコットにしようと思ってたんだけど、どう、ドラウトと交代よ?」
朝一番ですっぽんに言ったわ。
起きたら、ベッド脇のローテーブルに居たから。
「ありがたき事ですが、丁寧にお断りいたします」
すっぽんがが速攻で断って来やがったわ。
「何でよ?」
即、御断りって何でよ!?
「魔法美少女のマスコットに成ると、いつか、ブロンズ・ブサイクと再会してしまいます。わたくしはあのブロンズ・ブスが苦手なのでございます」
理路整然とすっぽんに説明されたわ。
「ニナルが、得意な生き物は存在自体が特異なのよ。大丈夫、あたしもニナルは苦手だから」
「…………ニナルにはトラウマが」
「じゃぁ、御試し期間で週末まで、あたしのマスコットに成ってなさい。ニナルが出てきたらドラウトに、ソリスに連絡させるか、ネーナちゃん経由で、直接ニナル自体に制裁を科して、何とかあんたに危害が加わらないように、ニナルの身動きを封じるから」
思い付く事は言ってみたわ。
「……でしたら、御試し期間で」
「そうと決まれば、朝ごはんね、すっぽんのご飯は?」
「わたくしは、純粋な次元妖精ですから、地球次元では、食料補給は要りませんから、ご心配なく」
すっぽんが頸を振ったわ。
「では、お出掛けの御用意を。わたくしは、瞑想などしていましょう」
すっぽんが目を閉じて、ふらふら浮かんで窓辺をくるくる迷走しはじめたわ。
あ、壁にあたった。
壁にあたって、回転方向が変わっても、まだ迷走を続けるのね。
ドラウト達と違って、かなり落ち着いてるわ。