早朝よ
う〜ん、良く眠れたわ。
どぶねずみの気配が無いと爽快ね。
ほら、また気分よく目覚めたら、ドラウト達が居ないわ。
あら?
ドラウトの巣には、白黒茶色の3色どぶねずみがスピスピ寝てるわ。
居たのね。
それにしても、この茶色いのは、いったいどこから沸いて出たのよ!?
昨日の夜は、白黒だけだった気がするんだけど?
「シンデル、この茶色は誰よ?」
白いどぶねずみに訊いてみたわ。
ほら、白いのはバッチく無さそうな色だから、がっしり掴めるわ。
「ヒィィ!ど、どうか、捕食しないで下さい!雑食性ですから食べても我々は、美味しくないと思います!それにもうヴァーチャスとしての力は、回収されていて、至って無害な次元妖精なんです。信じて下さい!美味しくないんですぅぅ!!」
短い前肢を擦り合わせて、シンデルが震えながら言ったわ。
「シンデルの言うことは間違いありません。どうか捕食しないで下さい!我々は本当に美味しくないんです!」
黒いどぶねずみ……シンディルゥが、フヨフヨ浮かび上がり、あたしの前で前肢の短い指を組んで、祈るように頭を下げたわ。
「突然申し訳有りません。アディニウムに捕まり、プリンセスにより、こちらに封じられたスィンデリィ(Suinderyi)です。シンディルゥとシンデルの実弟に当たります。どうか兄シンデルを食べないで下さい!本当に我々は不味いんです」
茶色……輝く栗色みたいな毛色のどぶねずみはスィンデリィて言うのね。
それにしても、3色どぶねずみはそろって【食べないで!美味しくないの!】とかほざいてるけど、何であたしがどぶねずみを食べなきゃいけないのよ!
「食べるわけないでしょ!」
怒鳴ってやったわ。
「「「ヒィィィッ!」」」
ボテボテッッとシンディルゥとスィンデリィが、バスケットの巣に力尽きた様に落ちたわ。
あたしの手の内でシンデルも気絶してる!
全く、あたしを何だと思ってるのよ!!
朝から気分がヨロシク無いわ!
ぐったりしたシンデルも2匹の上にポイッ落として、あたしは学校へ行く用意よ。