苺タルト
誤字だらけでごめんなさい。
鯛めしを美味しくいただいてから葵さんを見るとヘニャっと笑われた。
この人本気で酔ってるよ。
「次は何にしますか?」
「あ~………デザート下さい。ちょっと張り切って鯛めし食べ過ぎちゃいました」
「あいよ」
大将が出してくれたのは苺がたっぷりのったフルーツタルトだった。
苺が宝石のようにキラキラしている。
「綺麗~」
「だろ!」
葵さんはニカッと笑った。
葵さんは大将が出してくれたフルーツタルトを受けとる。
手のひらサイズのタルトが私のテンションを上げる。
「いただきます!」
「………どうだ?」
「~~~~」
言葉にならない!
私は葵さんの作るスイーツが好きだ!
「命?」
「好き!」
「!」
「葵さんの作るスイーツ好きすぎる~」
「………スイーツね………」
葵さんが項垂れてしまった。
「葵さん!ありがとうございます。美味しいもの食べさせてくれて」
「俺の事は?」
「へ?」
「好きか?」
「………私達今日で会うの三回目ですよ」
「三回目でも、俺は命が好きだ」
告白されたが寿司屋のカウンターでだし、相手はいい感じに酔ってる。
これを真に受けちゃダメだって事ぐらいは私にも解るぞ。
「台詞が手馴れてる」
「こんな事はじめて言った」
「酔ってない時に言って下さい。そしたら少しは考えます」
「その返しの方が手馴れてる」
「酔っぱらいにからまれ馴れてますから」
葵さんは暫く私の顔を見つめると大将に向かって言った。
「しじみ汁とお茶」
水分コラボ。
「あいよ。今日はお嬢さんの勝ちですね」
「へ?」
「しじみ汁は酔いにきくんですよ。河上様は呑みすぎたって自覚したって事です」
葵さんがばつの悪そうな顔を私に見えないようにそらした。
こんなワイルドな見た目なのに可愛いな~。
「そういう自分の否を認められる人は好きです」
私の言葉に葵さんにニカッと笑った。
「そのまま俺を好きになれよ」
「それはまた追々、懲りずにまた奢って下さい」
「次は俺が作る。食べてくれるか?」
「それは勿論!葵さんの作るスイーツ以外も食べてみたい!」
葵さんは嬉しそうに笑いながら私の頭をグシャグシャにした。
これ、どうにかならないものかね?
食事の後はタクシーを拾い、家まで送ってもらった。
「今日は本当に御馳走様でした」
「………御茶を一杯いかが?とか言わないのか?」
「だから、今日会うの三回目の人を独り暮らしの家にはあげません」
「………そうか。命のそういう所も好きだ」
「………酔っぱらい」
「酔ってなくても言うよ。命が好きだ」
酔っぱらいめ!
キュン死するだろうが!
「私、明日休日出勤なので早く寝ないとだからまた今度」
「またもや手馴れた台詞」
「家の前まで送ってもらったのは、はじめてですよ」
葵さんは困ったように笑うと言った。
「また誘う」
「はい」
「明日の夜は暇か?」
「明日メールしてもらっていいですか?」
「………何で?」
「酔っぱらいは記憶を無くすのが常ですから」
「………解った。忘れないからな!」
私は葵さんにニコッと笑って見せた。
葵さんは渋々帰っていった。
はっきり言って楽しかった。
だからって家にあげるほどではない。
酔っぱらいだし。
私は家に入ると風呂に入って、化粧と疲れをおとした。
風呂からあがると、兄からメールが来ていた。
『スゲー男と見合いしたんだってな!頑張れよ』
スゲー男って葵さんの事か?
『スゲー男って?』
気になって兄にメールを返すと、すぐに返事が来た。
『見合い相手の釣書も見てねえのかよ?』
渡された記憶もないが?
『有名なジュエリーデザイナーなんだろ?』
『そうなの?ワイルド系イケメンで料理上手って事しか知らない』
兄からの最後のメールにはこんな事が書かれていた。
『嫁が男で良かったな』
おい、葵さんが嫁だって言いたいのか?
………否定できん。
あの人が嫁………ごめん、フリフリ白エプロンでお出迎え姿を想像してしまった。
ワイルド系イケメンなのにちょっと似合うかも?
一人でお腹を抱えて笑ってしまったのは許してほしい。
葵さんの仕事をジュエリーデザイナーにしてみました。