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カツ丼

なんか進まん………

しかも短い。

 葵さんと知り合ってから私の周りは色々な変化があった。

 葵さんとお見合いして元彼が帰国し、コンちゃんが帰ってきて葵さんを家族に紹介して実里と鈴木君に葵さんを紹介して………

 実里が鈴木君にプロポーズされた。


「何時もみたいにご飯作って出したら、ダーリンが指輪をね、出してきて結婚しようってさ………命」

「おめでとう!鈴木君一発殴って良い?」

「何でだよ」

「実里を幸せにしなかったらドラム缶にコンクリート詰めにして海に捨てるからなって脅しとこうかと思って」


 実里は幸せそうに笑うと指輪を見せてくれた。

 ピンクゴールドだと思う細身の指輪は実里に良く似合っていた。


「鈴木君やっぱり百貨店の営業マンセンス良いね!」

「これ、葵さんが作ってくれたんだって」


 私は驚いてその指輪をまじまじと見詰めた。


「私さ、思わずプロポーズされた余韻も忘れてあの人何やってんだ!って叫んだよ」

「それはコメントを控えさせていただきます」


 実里はニヤニヤしてから言った。


「葵さん命に似合う指輪でかなり悩んでるんだって。ペアリングの原画が凄い量あって、ダーリンはその中からお願いして作ってもらったって言ってたよ。ついでに命は葵さんに死ぬほど愛されてるんだってダーリンが言ってたよ」


 私は顔が赤くなるのを感じて両手で顔を覆った。


「そういうの言っちゃ駄目なやつ!」

「うちのダーリンが葵さん格好良い格好良い五月蝿いから脇腹に蹴り入れたんだ」


 私は暫く黙ると言った。


「鈴木君に優しくしてあげてよ」

「大丈夫、ダーリン丈夫だから」

「駄目だよ。DVで訴えられちゃうよ」

「愛があるから大丈夫」

「………手加減するんだよ」

「了解」


 私たちは食堂のぶり大根定食をつつきながらそんな話をしていた。

 まあ、実里とは部署が違うからお昼か仕事終わりじゃないとゆっくり話しなんて出来やしないのだ。

 

「実里も鈴木君と結婚か~」

「命もすぐだ」

「私の方が先にプロポーズされると思ってたけど………鈴木君もやっぱり実里が惚れるだけあって、男だね」

「だろ!あんな可愛い顔してても男なんだよ」

「ご馳走さま」

「なら、そのぶりくれ」

「そのご馳走さまじゃないから!」


 私たちはそんな話をしながら笑いあった。







 葵さんとの週末お家デートの日。

 何時ものようにディナーは葵さんお手製。

 今夜はヒレカツののったカツ丼と鯛のすまし汁を作ってくれている。


「もう少しで出来るからな」

「葵さん!」

「う?どうした?」

「鈴木君プロポーズしたって」

「………そっか………」


 葵さんは私に苦笑いを浮かべた。

 葵さんがカツ丼とすまし汁をよそってくれたのをテーブルに運んでイスに座ると葵さんが日本酒を小さいグラスに注いでくれた。


「今、日本酒のスパークリングがあるんだな」

「美味しいよね」


 これは、話をはぐらかされているのだろうか?

 二人でいただきますをしてからご飯を食べ始めた。

 葵さんの作るご飯は本当に美味しくて無言で食べていると葵さんがゆっくりと言った。


「俺もプロポーズしたい」

「へ?」

「命と一緒に暮らしたい」

「あの」

「死ぬまで命が側に居てくれたら良いのにって思ってる」


 葵さんはコップに入ったスパークリング日本酒を飲み干した。


「………うん。待ってる」

「悪い」

「悪くない」

「悪いだろ?」


 葵さんがシュンとしてしまう。


「大丈夫。葵さんのタイミングで良いよ」

「………一緒に住まないか?」

「へ?」

「とりあえず同棲しないか?」

「………」

「毎回命を命の家に送るのしんどい。命が側から居なくなる感じがスゲー嫌だ」


 葵さんは真剣に私を見つめて言った。


「一緒に暮らさないか?」


 私は驚いた。

 葵さんが望んでいた事とは違う事を言い出したからだ。


「葵さん………嫌」

「え゛!」

「だって、寂しいのは一緒だよ!それを埋めるために一緒に暮らしたら結婚しなくて良いや~ってなるよ!私は葵さんと一緒に居たいけど結婚もしたいんです~」


 葵さんはビックリ顔で暫くフリーズすると言った。


「俺、今ものスゲーときめいたんだけど」

「本当?やった~」

「俺も、命と結婚したい」

「私までときめいちゃうから」


 私達はお互いにクスクス笑ってしまったのだった。


どうにかならないのか?スランプ……

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