高級牛肉瓦焼き
スランプの原因が解りました。
ホテルにチェックインして案内された部屋に入ると明らかに高級そうな部屋だった。
キョロキョロしながら奥まで進みカーテンを開けるとオーシャンビュー。
違う扉を開ければジャグジー付きのお風呂。
ヤバイ、高そう。
「気に入ったか?」
「お高いんでしょ~?」
「お高いぞ!」
そんな自慢げに言われても困るよ。
でも、葵さんは誉めて欲しそうだ。
「嬉しいだろ?」
「嬉しいけど………素泊まりでも嬉しいよ」
「おい!」
「葵さんと一緒ならどこでも嬉しい」
葵さんは驚いた顔の後私から視線をそらした。
顔が赤いのは照れているからだろう。
「理性がキュン死した」
「………葵さん夕飯なんだろうね?」
「………俺の夕飯は命だな」
「ごめん。疲れてるから無理」
「え?マジで?」
「ってか何でそんなに元気なの?」
「命と一緒にいるから」
私は顔に熱が集まるのが解った。
「キュンとしちゃったじゃん」
「よし、ベッド行こう」
「それとこれとは話が別」
葵さんの項垂れた姿が可愛くて更にキュンとしたのは私だけの秘密だ。
葵さんは基本的に紳士である。
無理矢理どうこうしようとはしない。
「抱きたい」
直球は投げてくるけどね。
葵さんに無理だと言えば項垂れる。
可愛い。
私が葵さんの凹んだ姿を見るとキュンとするなんて葵さんは気がつきもしないだろう。
「葵さん、外見て!綺麗」
「………ああ、そうだな………あのさ」
「うん?」
これから夕飯の仕度をしてもらう私達の部屋はオレンジ色に染まり、夕日が海へと消えていくさまは美しいとしか言いようがなかった。
それなのに葵さんは困ったように私を見詰めていて外を見てくれない。
「どうかした?」
「………」
首をかしげた私を葵さんが抱き締めてきた。
「お前が嫌ならやめる」
「………嫌じゃないよ」
「ああ、ヤバイ幸せだ」
「うん。そうだね」
葵さんと抱きしめあいながら見る夕日は本当に綺麗で、私はたぶん今日の事を忘れないと思う。
「抱きたい」
「台無しにするの止めてくんない?」
「………命のでかいおっぱいで俺の息子が…」
「止めろ!台無し!」
私達は思わず笑った。
葵さんと一緒に居る時間が楽しい。
幸せだ。
「葵さん大好き」
「俺の方が好きだ」
「そんなことないよ」
「夕飯は高級牛肉の瓦焼きに刺身の船盛のコースだ」
「高級牛肉!早く食べよう!」
「………目をキラキラさせやがって………俺よりメシの方が好きだろ?」
「美味しい物と同じぐらい葵さんが好きだよ」
「………ベッドに」
その時私のお腹が盛大に鳴り葵さんがまた項垂れて可愛かったから高級牛肉を食べた後、露天風呂に一緒に入ってあげようと思った事はまだ秘密だ。
活動報告にスランプの原因をのせようと思っています。
さわりだけ言うならフローレンのせいです。




