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カレーうどん 堂本大夢目線

短いです。

 その日、命が会社を休んだ。

 部長の話では有給らしい。

 命は僕と別れる理由になるほど仕事が好きだ。

 仕事が好きだから休んだりはしない。

 体調が悪くて休むのを有給使わせてもらってるんだと朝、命の有給休暇を知って思ったんだ。




 命が居ないと仕事が大変だ。

 使えない部下二人の尻拭いにイライラがつのる。

 そんな時だった。

 命あての電話がかかって来た。

 相手は仙川カメラマン。

 前回の仕事の写真の話をしたいらしい。


「すみません仙川さん。岩渕は今日、有給をいただいてまして」

『ああ、海に行くの今日だったんすか!なんだ、この前言ってた三角ビキニの話もしようと思ったのに間に合わなかったっすね。千恵子さんにもらってたエロいビキニよりミコ様に似合うの見付けたのに残念っす!仕事の話はまた来週電話するっす。では、また~』


 仙川カメラマンが一方的に電話を切った。

 僕は暫くボーっとしてしまった。

 仕事が一番大事な命が海?

 仕事休んで海?

 そんなことあるわけがない。

 あるとしても、あの河上とか言う命の今の彼が無理矢理連れていったに決まってる。

 しかもエロいビキニって………

 昼休み、命の友達の実里ちゃんがカレーうどんをすすってる向かいに座った。


「メシが不味くなるんだけど」

「そう言わないでよ。そんなことより、命今海なんだって?」

「そうよ。ワイルドさんとイチャイチャしに行ってる」


 実里ちゃんは口元だけに笑顔を張り付けてそう言った。


「命の気持ちも考えないで?仕事大好きな命を何だと思ってるんだか」

「はぁ?何言ってんの?何日も前から何着てくか?とか水着どうするか?とか初デートみたいにワクワクしていたあの子が無理矢理連れていかれたとでも思ってんの?ダサ」


 彼女は何時も口が悪いが、今日はとくに悪い。


「大夢君さ、あの子が大夢君に未練があったなんて思ってないよね?」

「え?」


 実里ちゃんはかなりひいた顔のあとに言った。


「ダサ、サブ、ウザ、マジひく。ちなみに命と別れる時仕事を理由にされたでしょ?」

「命から聞いたの?」

「そう………大夢君は命の地雷を踏み荒らしたの解ってる?」

「地雷?」


 実里ちゃんは盛大にため息をついた。


「命が言われたら冷める言葉を大夢君は盛大に盛り込んでプロポーズしてフラれたの解って無いんだ!あのさ、大夢君………命とワイルドさんの邪魔すんの止めてくんない?大夢君の割り込む隙間なんて一ミリもないんだからさ」


 命が言われたら冷める言葉?


「冷める言葉って?」

「普通の女なら喜ぶ言葉だから、知らなくても害がないんだから教える必要ないでしょ?」

「いや、でも」

「命は諦めな」


 実里ちゃんは俺の方にカレーうどんの汁を飛ばしながカレーうどんをすすった。


「でも、僕は命が良い」

「ウザ、命はあんたと何で一緒に居たと思ってるの?」


 命が僕と一緒に居た理由?


「仕事だから!あんたとの時間は、命にとっての仕事の延長の時間。大好きな仕事の延長の時間……だから気がついた……プロポーズされて大夢君を好きじゃなかったってね」


 実里ちゃんの言葉にあの日の命の顔を思い出した。

 どう話したら良いか解らないといったような困ったような焦ったような顔。

 あれが好きじゃないって気がついた瞬間だったのだろうか?

 辻褄があってしまった。

 実里ちゃんは俺に構わずカレーうどんを汁まで飲み干すと言った。


「あの二人の邪魔したら本気で殺すから」

「慰めてくれるんじゃないんだ?」

「死にたいなら手伝ってやるよ」


 実里ちゃんの笑顔は凍りつきそうなものだった。

 ああ、命は僕のもとには帰ってこないんだな~って思ってしまった。

 だからって諦められるなら今頃新しい彼女が居る。

 

「聞いてんの?」

「……まあ、おいおいね」

「ウザ!死ね」


 実里ちゃんはそう言うと席を立ち、去っていった。

 実里ちゃんの言う通りなのかもしれない。

 それでも付き合っている頃の命の嬉しそうな笑顔を思い出すだけで諦められなくなっちゃうんだ。

 あ~あ、早くあの二人別れないかな?

 僕はそんなことを思いながら実里ちゃんと同じカレーうどんをすするのだった。


スランプってどうやれば抜けられるの?

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