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おでん

終わらないスランプに涙がチョチョギレです。

 結局、葵さんが色々と手配してくれて海に行く事になった。

 海の近くのホテルまで予約してくれて初お泊まり旅行である。

 ホテルに荷物を預けて海の家で水着に着替えていざ出陣!

 

「ミコちゃ~ん!」


 突然思いっきり抱き締められて驚いた。

 よくよく見れば知っている人物。


「チーちゃん?」

「うん!ミコちゃんに会えるなんて思ってなかったからテンション上がっちゃった!白い水着が良く似合うね」


 黒いスクール水着のチーちゃんは可愛い顔に似合わないプチマッチョで私は驚いた。


「チーちゃんは夏休みの旅行?」

「臨海合宿、学校行事みたいなもの!ボーイスカウトみたいなやつ!強制では無いんだけどね」

「じゃあ、千恵子さん達は居ないんだ」

「おふくろ達を二人っきりにしてあげる僕の優しさ」


 チーちゃんはどや顔だ!

 

「荒井!自由時間だからってナンパするんじゃない!!」


 明らかにチーちゃんに向かって叫んでいる先生らしき人がこちらに近付いてきた。

 小麦色の肌とか、逞しい体つきとか………


「ザ、体育教師」

「正解!ミコちゃん凄い!」


 チーちゃんがキャピキャピしている。

 可愛いぜちきしょう。


「すみません。うちの生徒が………」

「ああ、いいえ。チーじゃなくて千晴君とは元々知り合いで……千晴君が何時もお世話になってます」

「ミコちゃんは僕のお母さんじゃ無いでしょ」

「しまった!つい………お母さんっぽかった?ヤバイ……」

「大丈夫!ミコちゃんに、僕ぐらいでかい子供が居るなんて誰も思わないよ」


 中学生に慰められてしまった。


「ありがとう!」


 私はチーちゃんをギュッと抱き締めた。


「荒井!羨ましいだろ!離れろ………あの、お一人ですか?良ければこの後……」


 体育教師が何やら言おうとしたその時背後から思いっきり抱き締められた。


「遅いと思ったら……」

「葵さん、チーちゃんが居て」

「こらチー、命のオッパイは俺のだ!触るな!」


 恥ずかしいこと言わないでくれ。


「違うよ!ミコちゃんがギュッてしてくれたの!オッパイは不可抗力」

「狙ったような身長しやがって。牛乳飲め!」


 チーちゃんはゆっくり私から離れるとニコッと笑った。


「アオちゃんが居るならナンパされないね」


 まさか、男避けしてくれてたの?

 チーちゃん格好良い!


「チーちゃん、キュンとした」

「本当!アオちゃんやめて僕にする?」

「いや、チーちゃんがもう少し大きくなったら何このオバサンって思われそうで怖いから……いいや」

「思わないのに」

「いや、勇気ない」

「命がチーと浮気する」


 葵さんが拗ねたように呟いた。

 

「どうせ、俺はゴリゴリのおっさんだよ」


 拗ねてる。

 可愛い。


「あ、ミコちゃんが可愛い顔してる」

「へ?」

「ちぇ、アオちゃんには勝てないか~」


 何故かチーちゃんにバカップルを見るような目を向けられた。


「まあ、アオちゃんに飽きたら僕は何時でもミコちゃんOKだから!覚えといてね!」

「チーちゃんありがとう!でも、大丈夫」

「ノロケられちゃった。アオちゃん、ミコちゃん返してあげる!イチャイチャして良いよ」

「言われなくてもする」

「しないよ」

「しないのかよ!」


 葵さんは項垂れたように私の頭におでこをのせた。


「ミコちゃんも照れてないでイチャイチャするんだよ!流石にアオちゃん可哀想だから」

「………ほどほどに」

「うちの親ぐらいイチャイチャすれば良いよ」


 それは事あるごとに葵さんの膝に座ったりとか?………


「無理」

「う~ん。あれは恥ずかしいもんね………まあ、ほどほどにね!じゃあ、先生行くよ!馬に蹴られて死んじゃうよ!」


 チーちゃんは先生の背中を押してさっていった。


「よし、イチャイチャするか?」

「しないよ」

「しろよ!」

「………後でね」

「ヤバイ…息子が元気に」

「止めてよ!マジ引く!」

「………なえた」


 葵さんはフラフラと私から離れた。

 私は葵さんの腕にしがみつくとニコッと笑った。


「葵さんが一番好きだよ」

「………キュンっとした」


 葵さんの逞しい腕にしがみつくのは好きだ。

 葵さんはゆっくりと私がしがみついている腕を見ると言った。


「オッパイ気持ち良すぎて、息子が」

「いい加減にして」

「いや、命が可愛いしエロいし………無理だろ」

「私がエロいんじゃなくて、葵さんの頭がエロいんだからね」

「否定しない」


 私は腕から離れて手を繋いだ。

 

「おい」

「一旦落ち着け」

「………言うんじゃなかった……」


 葵さんはあからさまに項垂れた。


「………後でね」

「………キュン死………何でも買ってやる」

「じゃあ、かき氷買いに行こ~!あっ、トウモロコシと焼きそばも良い?」

「………お前、ぶれないな………食いしん坊め……おでんも買うか?」

「うん!葵さん大好き!」

「………俺も」


 その後、葵さんが沢山海の家で食べ物を買ってくれて私は幸せだった。

 本当に葵さんは私の機嫌をとるのが上手いと思いながら、おでんの卵をモグモグするのだった。

チーちゃんが出てくるのが好きです。

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