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一緒の仕事

スランプです。

ごめんなさい。

 今回の仕事は鈴木君の勤める百貨店の仕事。


「俺が河上さんを尊敬してるからミコさんを推薦したんだからな!感謝しろよ」

「鈴木君格好いい!綺麗、美人可愛い!!」

「馬鹿にすんな!コノヤロー!」


 うん。鈴木君可愛い!

 ってわけで、今回葵さんが私の仕事場に来ている。

 勿論、gunjoの河上葵としての見学だ。

 『竹』のシリーズの新作を鈴木君の百貨店とコラボなんだそうだ。

 

「まさか命と仕事することになるとは……」

「嬉しくないの?私は嬉しいのに」

「止めろ。キュン死する」


 葵さんも可愛くて辛い。

 そんな時、ものすごい量のシャッター音が響いた。

 見ればカメラマンの仙川君が泣きながらカメラのシャッターを押していた。


「仙川君?」

「ミコ様も彼氏の前ではそんな可愛い顔するんすね!はじめて見たっす!家宝にするっす!」

「仙川君、今すぐデータ消そうか?」

「無理っす!いくらミコ様でも無理っす」


 私はゆっくりと笑顔を作った。

 

「仙川君、私の言うことが聞けないのかしら?」

「………いくらミコ様でも無理っす~!」


 仙川君が逃げて行くと私は盛大な舌打ちをかました。


「命、彼は?」

「カメラマンの仙川君」

「仲良さそうだな?」

「仲良いよ。可愛い弟って感じ」

「彼は命の事好きなんじゃないのか?」

「好きって言うか………崇拝?」

「………それはどうなんだ?」


 笑って誤魔化したのは言うまでもない。






 あの後葵さんと、漸く捕まった仙川君と私と鈴木君で今回の仕事の打ち合わせをしていた。

 暫くして、大夢が今回のイメージモデルさんと一緒に会場入りしたのが見えた。

 挨拶をするモデルさんは私達に気が付くと驚いた顔をしてから走って私達のもとにやって来た。

 そして、おもむろに葵さんの背中に抱きついた。


「葵!」

「はぁ?心優(みゆう)?」


 明らかに親しそうな二人に唖然とする。


「もう!いつの間にか引っ越しちゃって寂しかったんだから!」

「………いや、別れた女に普通新しい住所教えないだろ」

「私は気にしないし、別れたくて別れたんじゃないし!ねぇ、今何処に住んでるの?」


 あからさまに葵さんは動揺して私の顔を見た。

 本当にろくな女と付き合っていない。

 私の感想はそれだけだった。

 そこに大夢が近寄ってきて言った。


「また、よりを戻せば良いですよ」


 私は大夢に笑顔をむけると言った。


「別に葵さんと別れても大夢とよりは戻さないよ」

「どうかな?」

「うん。無理」


 葵さんに視線を戻すと葵さんの顔色が悪い。


「別れないからな!」


 葵さんの一言にキュンとしているなんて葵さんは知らないだろう。


「なんだ今、彼女居るの。でも続かないでしょ?」


 綺麗な人なんだけどな~っと思いながら私は笑顔を作った。

 営業スマイルだ。


「私は葵と3年付き合っていたの。貴方は?」

「3ヶ月ぐらいですかね?」

「へー、じゃあ全然じゃない!葵って冷たいとこあるけど基本優しいじゃない?」


 冷たいとこあるけど基本優しい?

 冷たいとこ?


「私が作った料理作り直したりとか酷いこと平然とするのよ!知ってた?」


 ああ、あの話の人か。


「葵って気難しい人だから好みとかこだわりが有るみたいで私もムキになっちゃったけど私ほど葵と一緒にいられる女は他に居ないと思うのよ!解る?」


 私が解るのは、彼女の言葉に葵さんが真っ青な顔をしているって事ぐらいだろうか?


「ねぇ、私に葵を返してくれない?」


 ああ、円滑に仕事がしたかった。

 私は深い溜め息をついた。


「返すもなにも葵さんは物じゃ無いんだけど」


 彼女は不敵に笑って言った。

「そりゃそうよ!それに私の方が葵の事よく解ってるしね!貴女、葵が嫌がる事知ってる?」

「はあ」

「多少は知ってても細かいところまでは解ってないでしょ?葵って自分の家に彼女の物が増えるのが嫌なのよ!新品の化粧品なのに、忘れたってだけで平然と捨てるような男なのよ」


 私は思わず葵さんの方を見た。

 葵さんの顔は少しひきつりながらも赤みがさしはじめていた。

 テレてる可愛い。


「ペアのグラスとかマグカップですら嫌がるのよ!服買ってもパジャマすら置かせてくれないの!貴女はたえられる?」


 葵さんが頭を抱えている。

 ヤバイ、私までテレる。


「心優、止めろ!」

「別に先輩としてのアドバイスじゃない………葵顔赤いわよ」

「黙ってろ」


 葵さんは私の方を見ると口をパクパクさせた。

 たぶん、なんて言ったら良いのか解らないのだろう。


「葵さんが私を大好きなのが凄く解った」

「命……」


 私はヘニャっと笑ってしまった。


「ヤバイ、顔がにやける」


 横でシャッター音がしているがニヤニヤが止まらない。


「………心優、彼女は俺の彼女じゃない。婚約者だ!」

「へ?」

「だから、お前とよりを戻す気は更々ない。命に変なことを吹き込むな!」


 葵さんは困ったような顔で彼女を見ていた。

 

「ちょっと待ってよ………葵が結婚?………そんなの無理に決まってるよ!葵って自分じゃ気がついてないみたいだけど理想が高すぎるじゃない!そのてん私は前と違って料理だって上手くなったんだよ」


 葵さんはニッと笑うと言った。


「なら、俺より良い男がすぐに見つかるな」


 彼女は暫く黙ると私の目の前に立つと私を睨み付けて言った。


「どんな手を使って葵の事たらしこんだのよ!」

「………料理を美味しく食べた」

「はぁ?」


 彼女の眉間にシワがよった。

 美人にメンチ切られてる。

 迫力が半端ない。


「葵さんが作った料理を美味しく食べた。私は料理出来ないから、葵さんが美味しい物を沢山作ってくれるの」

「それ、女としてどうなの?」

「う~ん………ダメなんだろうけど、葵さんはこんな私を好きになってくれたから」


 彼女は葵さんの方を振り返ると言った。


「こんな人より私の方が良い女でしょ?スタイルだって顔だって私の方が良いでしょ?」


 葵さんは私をチラッと見ると言った。


「俺は命の方が良い。何から何まで命が良い」


 私は思わず赤面してしまった。


「可愛いっす!ミコ様が可愛くてヤバイっす!」


 仙川君の叫びに私はさらに赤面して顔を隠してうずくまった。

 ヤバイ、恥ずかしい。


「な、可愛いだろ?」

「のろけられた!葵のバカ!やっぱりミューが良いって言っても知らないから!」

「大丈夫だ。ならないかんな」

「バカ!チ○コもげろ!」


 彼女は過激にそう叫ぶとメイク室に入って行った。

 私は居たたまれなかった。

 耳まで赤い自信がある。


「命大丈夫か?」

「誰のせいだと思ってんの?」

「………俺か?」


 葵さんは私の頭をワシワシなでた。

 なんだか葵さんの機嫌が良いのが伝わってくる。

 その日の仕事場のスタッフになんだか生温かい眼差しで見詰められたのは全部葵さんのせいだと思ったのは仕方がないと思う。

旦那様がポケGoにはまっています。

一緒に歩かされています。

ダイエットだと信じています。

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