ダブルデート
葵さんは本当に色んな店を知っている。
「河上。今お昼なんだけど」
「おう。飯食いに来た」
「………個室使え。メニューは任せろ。それが条件」
「ああ、それで良い。4人な」
「あいよ!………美人ばっかりはべらせやがって」
店のオーナーさんだと思わしき男の人に言われて葵さんはニヤッと笑った。
「俺の婚約者とその友達とその彼氏」
「え?お前いつの間に婚約なんて………何人の女が泣くか解ってんの?」
「誤解されそうなワードは止めろ」
「しかも滅茶苦茶美人。滅びろリア充」
葵さんは豪快に笑うと勝手に店の奥に向かった。
オーナーさんは暫くするとパスタを持ってやって来た。
「茄子とモッツァレラチーズのクリームパスタだぞ~こんなんしか出せなくて悪いな!もっと早く連絡すれば祝ってやったのに」
オーナーはパスタを置くと葵さんの頭を小突いてから部屋を出ていった。
何やら仲良しだ。
「鈴木君の話からいくと大熊さんは命とよく出掛けるんだ?」
「はい。葵さんはエロ下着は何色が好きですか?」
「実里、セクハラだよ」
「葵さんに?それとも命に?」
「私に!」
「ならセーフ」
実里はニヤッと笑った。
いや、セーフじゃないから!
「俺は中身が命なら何でもグッと来るけど………脚が出てると嬉しい」
「ほうほう………じゃあ、命次は何買う?」
「買う前提で話すの止めろ!鈴木君に怒られてシュンとしてたくせに」
「命、黙れ殺すぞ」
「返り討ちにしてくれる」
思いっきりメンチを切りあう私達を無視して鈴木君はパスタを食べはじめている。
「河上さん、このパスタ滅茶苦茶旨いっすね!」
「君は無視するんだ」
「コイツらにかまうと面倒なんでほっといて大丈夫です。どんなに口論しててもムカつくことにコイツらは仲良しですから」
鈴木君は綺麗にフォークにパスタをクルクル巻きつけて口に運んだ。
「鈴木君食べるの上手いな。違う店も連れていきたくなるよ」
「葵さん、浮気だ」
「は?」
「鈴木君が可愛いからってご飯に誘うなんて……私に飽きちゃったんだ」
葵さんはニッと笑うと言った。
「命には俺が作ってやるんだから違うだろ?」
そのニッとした笑顔、好きなんだよ。
私はもしかしてチョロいのかも知れない。
「命の好きなもの作るから機嫌直せよ」
「う、うん」
私がつい頷くと実里と鈴木君がハモって言った。
「「チョロ」」
「い、いいでしょ!」
「ミコさんが男相手にそんな顔するとは………ミコさんもやっぱり本気で好きになった男相手だと女なんだな」
「命だけじゃなくて女は皆そうだよ」
「実里もな」
「調子にのんなよ」
実里は顔を赤らめながら鈴木君を睨み付けた。
「鈴木君が言ってた通りだな」
「ああ、あれは秘密で」
「了解」
なんか鈴木君と葵さんが仲良しすぎじゃなかろうか?
チョッとジェラシー。
「葵さんは鈴木君に手料理振る舞っちゃ駄目だからね」
「俺の料理は命専用な」
「う、うん」
やっぱり私はチョロい。
葵さんは嬉しそうにニコニコ笑った。
「命ならこの紫色のエロ下着も似合いそう」
「実里、まだその話引きずるの?」
実里は携帯でエロ下着を検索して私に見せてきた。
「これは鈴木君が似合うよ」
「………そうかも、ポチって良いかな?」
「駄目に決まってんだろ」
鈴木君は美人だ。
綺麗なお姉さんって感じだ。
だから、紫色が似合う。
「なら、葵さんは?」
「実里、笑っちゃうから」
「男性用のエロ下着ってあるのかな?」
「………調べよう」
私と実里は気になって調べてみた。
「「ヤバイ!グロい」」
私と実里は速効でサイトを閉じた。
「エロ下着は女性の特権じゃないかな?」
私の言葉に実里は大きく頷いた。
「見て解った。男性は変なことしない方が美しい」
実里と私は何だかんだで思考が似ているのかも知れない。
「命はフリフリエプロン着るんだろ?」
「呪いのアイテムは蹴り上げます」
「あの蹴りは綺麗だったな」
「葵さんが着れば良いでしょ!もらったのは葵さんなんだから」
「想さんの親切を……」
「あのクソ兄貴の事は忘れて良いから」
「面白い人だったぞ」
「最悪の兄貴だから」
葵さんは楽しそうに笑った。
「河上さんはもうミコさんの家族に挨拶に行ったんですか?」
「いや、そう言うつもりじゃなかったんだけどな…………なんか、嫁に行く感じになった」
「はあ?」
「命の家族は皆俺を嫁扱いする」
「怒って良いと思いますよ」
葵さんはニッと笑うと言った。
「いや、なんか面白かったから嫁でも良いかと思ってさ」
そ、そうなの?
葵さんは、いたずらっ子のように笑って見せた。
葵さんが何だか可愛くて私がフリフリエプロン着ても良いかもって血迷った事を考えてしまったのは内緒だ。
リクエストしていただいたのでエロ下着をまた引きずってみました。
なんかすみません。




