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喧嘩  鈴木博彦目線

実里ちゃんの彼氏目線です。

 俺の彼女は格好良い。

 名前は大熊実里(おおぐまみさと)

 出会いは高校3年の春。

 クラス委員に選ばれたのが実里と俺だった。

 周りのやつは俺の女顔を一番にいじる。

 なれたが、ムカつく事に代わりは無い。

 だが、実里は違った。


「鈴木君は性格男らしいからクラス委員なんかに選ばれたんだね。御愁傷様」


 実里にキュンとした。

 無表情に言われたのにキラキラして見えた。


「俺、大熊が好きだ」


 口をついて出た言葉に自分が慌てた。

 実里はキョトンとしていた。


「ありがとう。鈴木君って面白いね」


 にこって笑う実里が可愛くてキスした。

 次の瞬間平手打ちをされた。


「何故叩く?」

「き、キスするとか……」


 真っ赤な顔で狼狽える実里は更に可愛かった。


「さっきありがとうって言ったろ?それは、俺と付き合っても良いって事だろ?」

「ふざけんな!誰が自分より可愛い顔の男と付き合うか!私のファーストキス返しやがれ!」


 実里の口の悪さは昔からだ。

 その後毎日好きだ付き合ってくれを繰り返して漸く付き合ってもらえたのはその年の冬だった。

 

「付き合ってくれて滅茶苦茶嬉しい!」

「乙女か?」

「日本男児だ!」

「なら許す」


 ニッと笑った実里は可愛くてこの女を幸せにするって決めた。

 決めた矢先に男二人にナンパされたのは悲しい事実だ。





 長く付き合っていると、ムカつく事もある。

 実里が今勤めている広告会社で親友が出来たらしい。

 何度か会わされた岩渕命(いわぶちみこと)は世間一般から見て美人。

 致命的な料理スキル以外はとてつもなく何でもこなすキャリアウーマンらしい。

 実里の家に飯食いに行ったら彼女が居た事が何度かある。

 そういう時実里は俺より彼女を選ぶ。

 だから、俺はあの女が嫌いだ。


「お前、実里が優しいからって調子にのんなよ」


 実里がトイレで居ない時にそう言ったらあの女はキョトンとした。


「調子に?」

「実里に何時も優遇されやがって……」

「違うよ。鈴木君は実里にとって絶対の信用があるんでしょ?鈴木君は何があっても実里の側から離れていかないって解ってくれてるから直ぐに離れて行っちゃいそうな私を優先してくれるんだよ。愛の大きさってやつ?」


 この女が苦手なのは、俺よりも実里の事を理解しているからかも知れない。

 負けた気になったのは秘密だ。

 実里は誰にも渡す気なんてないんだから。






 珍しく実里が自分から俺を家に呼びつけた日。

 俺はかなり驚いた。

 実里は俺が玄関のドアを閉めると白い透け感のある下着姿でお出迎え。

 マジ天使の実里を俺は柄にも無く貪った。

 なんやかんや終わって冷静になって思った。

 何で今日にかぎって実里は俺にこんな誘惑してきたのか?


「実里、どういう事だ?」

「え?………実は……」


 実里の話を聞いてキレそうになった。

 実里の親友にそそのかされたって言うじゃないか!


「命に最初エロ下着をすすめたのは私で、命の話が楽しそうだったから試してみたいなって思って……」

「…………実里は俺との行為に不満があるわけ?………ちょっと今冷静に話できる気がしない、頭冷やしてくるよ」


 実里があの女を庇っているような気がして頭に血がのぼった。

 実里に嫌われたくないからその日は家に帰った。

 実里からメールでも来てないかとスマホを見ると課長から『明日出張荷物持ってから来い』の文字。

 何となく逃げ出したい気分だったし、良いかって思えた。


『明日出張になった。暫く会えない』


 それだけメールしたら実里から直ぐにメールが来た。


『さっきは本当にごめんなさい。ダーリンの気持ちも考えなくて』


 何を打って良いか解らなくなったみたいなメール。

 あの女に嫉妬してるだけだって言うのに気がついていない。


「実里、ごめん。八つ当たりした」


 俺しか居ない俺の部屋に俺の声だけが響いた。





 出張初日が終わり三泊四日の1日の締め括りは派遣された部署の飲み会に参加すること。

 化粧臭い女に囲まれる。


「鈴木さんってお肌プルプル!」

「ありがとうございます」

「きゃー可愛い!」


 はっきり言ってきつい。

 実里と喧嘩したまま出張なんて………もし、『博彦はもういらない。私のダーリンやめて』なんて言われたら悪い考えがグルグル頭を侵略してくる。

 実里に会いたい。

 会ってつまらない嫉妬したって言いたい。

 そこにメールが来た。

 スマホの画面にハニーの文字。

 思わずヒッと息を飲んだ。

 急いでメールを見ると、実里が泣いてる?別れろ?fromミコ?


「クソ!あの女」


 俺は立ち上がると直ぐに実里に電話をかけた。


『もしもし?』

「ミコさんも居るんだろ?スピーカーにしろ」

『してるよ』

「それで良い。ミコさんはまた俺の実里と呑みに行ってんのか?俺が出張で実里に会えねえってのに羨ましいぞボケ!」


 昨日からのイライラを思わずぶつけた。


『実里の可愛いイタズラに目くじら立ててバカじゃないの?別れた方が実里のためだと思うけど?』

『命!』

「ふざけんな。実里は俺のもんだ。誰にも渡さん!実里本人が嫌がったって手放す気はねえ!」

『ストーカー発言ですよ実里さん!』

「うるせー!」


 周りの人間がポカーンとしているが知るか!

 俺は実里が凹んでいるのが俺のせいなら嬉しいとか思ってアホだ。

 あの女にまでアホ呼ばわりされたのは違うと思う。


「マッハで終わらせて明日には帰ってやる!」

『だって、良かったね実里』

『う、うんありがとう命、愛してる』

「こら!実里、俺以外のやつに愛してるとか言ってんじゃねえ!」

『うん。ダーリンが一番好き』

「………そうか、なら明日会いに行くから待ってろよ」

『うん。ご飯作って待ってる」


 実里の゛一番好き゛に上った血が下がっていく。

 そこで、あの女がプロポーズされたって話が耳に飛び込んできた。

 俺が実里にまだしたことの無いプロポーズ。

 プロポーズしたら実里は喜ぶだろうか?

 実里と結婚出来たら変な不安を抱くことも無いのかも知れない。

 俺もプロポーズしよう。

 最高の状態でプロポーズしよう。

 俺はその日から実里にどんなプロポーズをすれば良いかを考えるようになった。






「ただいま実里」

「お帰りダーリン」

「………変なこと言ってごめんな」

「ダーリンは初めて話した時からずっと変だよ!ご飯出来てるよ」


 実里に手を引かれながら俺は嬉しくなって手を引っ張って実里を背後から抱き締めた。


「実里、愛してる!嫉妬してごめん」

「……嫉妬?」

「う、うん。実里がミコさんをかばってるのかと思って……………親友のミコさんに嫉妬するような心の狭い俺だけど嫌いにならないでほしい」


 実里は俺を見上げるように振り返った。

 しかも瞳に涙をためてニッと笑った。

 可愛すぎんだろ!

 

「俺、実里の事好きだ」

「うん。ダーリン………博彦、ありがとう」


 実里はそのまま俺の腰に手をまわして抱きついた。

 俺は実里にキスをすると笑った。

 なんだか、初めて実里に告白した日を思い出したからだ。

 俺が実里を幸せにする。

 気持ちを新たに俺は実里の喜ぶようなプロポーズを考えようと心に決めたのだった。


実里ちゃんも彼氏の前では可愛い女の子です。

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