表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/46

キス

 待ちに待った週末。

 結局言い訳は考え付かなかった。

 電話はした。

 葵さんはエロ下着の話題を出して来なかった。

 葵さんの優しさが嬉しかった。


「じゃあ、お疲れ様です」

「え?岩渕君帰るの?二人のフォローは?」

「ああ、堂本先輩がやってくれてます。そろそろ終わるんじゃないですか?」


 大夢がグッタリした様子で報告に来たのは私が報告に行ったすぐ後だった。

 私は荷物のチェックをし、フリーズ。

 鞄の中には紙袋に入った例の下着。

 これを着て葵さんと………

 今日の晩ごはん、味解るかな?

 

「命、一緒に晩ごはんどう?」

「彼氏とデート」

「噂のセクシーイケメン見たいな」

「減るから嫌だ」


私はさっさと荷物をまとめて帰ろうとした。


「下までなら良いだろ?」

「良くない」

「冷たいな」

「優しくする意味が解らない」


 ただいま私は大変な目にあっているんです。

 石山と葉山に加えて大夢が私の部署に居るのは私が部長に色目を使っているからだとか変な噂が流れて女性社員から白い目で見られている。

 ハッキリ言って代わってほしい。

 ポンコツブラザーズは大夢がどうにかしてくれるから私は居なくて良いだろうって言ってやりたい。

 大夢と仕事の話をするのは楽しい。

 だが、プライベートでまた関わりたいかと言ったらそれは別だ。

 大夢は私の心からの伴侶では無かったんだ。

 むしろ、葵さんに会いたい。

 今の疲れた心は葵さんに会えばすぐに吹き飛んでしまうに決まってる。

 早く早く葵さんに会いたい。

 私が急いでロビーを抜けると会社の前に葵が居るのが見えた。

 まだ、誰にも囲まれていない。

 急いで自動ドアを抜けたその時腕を捕まれた。

 何?

 不思議に思って捕まれた腕の方を振り返ると、私の腕を掴んでいたのは大夢だった。


「何?」

「忘れ物」


 大夢は私を掴んでいる手にハンカチをのせた。

 ハッキリ言って何時の忘れ物か、思い出せないが昔持っていたハンカチだと思う。


「今渡さなくても」

「何時でも返せるけど忘れないうちにね」


 大夢が私の頭に手を伸ばした。

 思わず避けようとしたら、後ろから抱き締められた。

 筋ばった腕はシルバーのアクセサリーがついていて葵さんの腕だと解る。


「はじめまして、命の今彼さん」

「はじめまして、河上葵と言います。貴方は?」

「堂本大夢と言います。命の元彼です」

「それ、言わなくて良くない?」


 思わず突っ込みを入れてしまった。

 

「へ~元彼………」

「あ、葵さん?」


 葵さんはニコッと笑うと大夢に言った。


「命と別れるなんて馬鹿ですか?いや、別れてくれてありがとうございます。貴方のお陰で命が俺のもとに来てくれました。勿論、貴方の分まで俺が命を大事にしますから安心して下さい」


 葵さんの声がよそ行きの声だ。


「それでは失礼します」


 葵さんは私から離れると私の手を握ってその場を後にした。





 


 葵さんの家につくまで、葵さんは一言も喋ってくれなかった。

 嫌われてしまったのかも知れない。

 モヤモヤして葵さんを見上げた。

 葵さんと目が合う。


「命」

「はい」

「抱き締めて良いか?」

「う、うん」


 葵さんは私をギュッと抱き締めた。

 

「あいつ何なんだよ!命に未練タラタラじゃねえかよ」

「え?たぶん違うでしょ?」

「はぁ?明らかに命の事がまだ好きだろ?」

「………でも、私は葵さん以外にときめいたりしないしな………チーちゃんにキュンはするけど」

「チーにときめいてんじゃねえか」

「可愛いからチーちゃん」

「どうせゴリゴリのおっさんですよ」


 私は葵さんを抱き締め返した。


「葵さんも可愛いよ」

「ああ、またコロコロされてる」


 葵さんは私の頭を撫でてくれた。

 これがどれだけ嬉しくて幸せな事かを、葵さんは知らないだろう。


「葵さんの大人な対応にキュンキュンしてました」

「内心暴れてやろうかってぐらい嫉妬でどろどろな感情で一杯だったぞ」

「可愛い!」

「ああ、マジで情けねえ」


 葵さんはゆっくりと力を抜いた。

 葵さんは私の顔をまじまじと見つめると言った。


「俺は、相当お前にまいってるらしい」


 私が首を傾げると葵さんは苦笑いを浮かべた。


「あの男が目の前に現れて………命は俺のだって強く思った………引くだろ?」

「………何でだろ、普通なら引くんだけど………葵さんのは嬉しいよ」

 

 葵さんは困ったように言った。


「キスしたい」


 ゆっくり顔を近付けてくる葵さんを拒む事なんてできるはずもない。

 唇がゆっくりと触れすぐに離れた。

 顔が遠退き、葵さんの顔を見るとニカッと笑われた。


「ああ俺、中坊並みにキス1つで浮かれてる。ダッセーな」


 いや、私もかなりフワフワしている。


「飯にしよう」

「うん」


 葵さんは照れたようにそう言ってキッチンに向かおうとした。

 何だか物足りない気持ちもしたがご飯と聞いては逆らえない私の食いしん坊スキル。

 葵さんは何かを思い出したように振り返ると、私に近づき抱き締めてから深いキスをしてきた。

 うわわわわわわ~

 思考が追い付かない。

 

「うっかりしてたな。俺は中坊じゃなくてゴリゴリのおっさんだからあんな挨拶みたいなキスじゃ満足出来ないんだ」


 そう言ってから葵さんは更に深く長いキスをした。

 ハッキリ言って葵さんのキスヤバイ!

 足に力が入らなくなる。


「ベッド行くか?」

「お腹すいた」

「………食いしん坊め………可愛いけどさ」

「それに、今エロ下着着てないし………お風呂入りたいし」

「………ヤバイ、ムラムラしてきた」

「私もお腹がグーグーしてきた」

「食いしん坊め~直ぐに飯にしよう。待っとけ」

「うん。葵さん大好き」

「………一回ベッドに」


 その時私のお腹が鳴ったのは私のせいじゃないと思う。

イチャイチャさせてみました!

エロ下着の登場は次回か?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ