味の解らないパンケーキ
短めかな?
実里とショッピングデート中です。
実里のセンスは最高で最強です。
私はマネキンになります。
だって実里にまかせれば私の好みの服を完璧に選んでくれ、私のクローゼットと勝手に相談して買った方が良い物といらないものを見極めてくれるんです。
実里とのショッピングは楽しい!
失敗しないから。
「実里~お腹すいた」
「………さっき昼飯食べたろ?」
「お腹と脚が休憩したいと言っている」
「………解った。あそこのカフェで休憩」
「わ~い」
実里の背中を押してカフェに入った。
カフェでカフェオレとパンケーキをたのんだ。
実里はホット珈琲をブラックで飲んでいる。
格好良い。
「で?ワイルドさんとはどうだった?」
「どうって?」
「ヤったんでしょ?」
「………」
「ワイルドさん良い体してたしさ」
「ごめんまだ」
「何で?」
「じ、実は……」
一昨日と昨日の話をしたら実里に殴られた。
「ワイルドさんが可哀想だろ………解った。このあとはワイルドさんのために勝負下着を買いにいこう」
「いる?」
「いるに決まってるだろ?ドン引きするぐらいヤラシイ下着を買おう」
「………私が着るんだよね?」
「私はエロ下着持ってるし」
「…………持ってるんだ………」
「その年で無い方がな珍しい」
「そ、そうなんですか?………それ、私が着るんだよね?」
「着ろ!」
「はい……すみません」
その時食べたパンケーキの味はよく解らなかった。
「実里さん!無理ッス!これは無理ッス!」
実里のセンスは信じているが透け透けの紫の下着は私のレベルが追い付かないよ!
「似合うよ大丈夫」
「いや、無理です。許して下さい」
「相手はセクシーな、ワイルドイケメンなんだよ。これぐらい攻めないと」
「攻めすぎて逃げられそうです実里様!」
「バカ」
「バカで良いです。許して下さい」
「じゃあ、せめてこっち」
実里が手渡したのは紫とは違い地味な黒の透け透け下着だった。
紫よりも透け透け感も低い。
これならまだ良いかな?
私はその時、実里の罠にかかっていたなんて気が付いていなかったのである。
家に帰ると葵さんから電話が来た。
「もしもし?」
『今良いか?』
「うん大丈夫」
『今日、楽しかったか?』
「………まあ、それなりに………買い物してご飯食べて映画見て帰ってきたよ。葵さんはどんな映画が好き?恋愛映画は苦手って言ってたでしょ?好きなのは?」
『アクション………電話なんてするんじゃなかったな』
「何で?………嬉しかったのに」
『会いたくなるだろ』
キュン死する~!
葵さんは私を殺そうとしてる。
「葵さん、今のは卑怯です」
『何でだよ』
「………死ぬ」
『何でだよ』
「………好き」
『……………ああああ~キュン死する~』
葵さん、それはこっちの台詞だ。
『命、今週末会おう』
「うん」
『旨い物作くる』
「うん」
『………じゃあ、また電話する』
「………はい、おやすみなさい」
電話が切れると私はベッドにダイブして足をバタバタさせた。
一人で萌え萌えしているのは流石に気持ち悪いかも?
心の中で、好きな人が出来たばかりの中学生かよって思ったのは誰にも知られたくない事実だ。