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ブルーベリーチーズケーキ

 千晴君を客間におくってリビングに戻ると葵さんに抱き締められた。


「ち、ちょっと千晴君居るんだよ!」

「抱き締めるぐらいなんだよ!チーの両親なんかチーの目の前でベロチューだって躊躇わずにするぞ」

「それは葵さんが止めなよ」

「止められる類いの人種じゃねえ」


 千晴君の両親ってどんな人種だよ

 ラテン系とか?


「兎に角離して」

「………」

「葵さん?」

「………今日の俺はどうかしてるな……すまん」


 葵さんはゆっくりと私から離れた。


「風呂入ってこい。俺はチーと入ったから」

「うん………葵さん」

「う?」

「大好きだよ」

「………何で今言うんだよ」

「葵さんを素敵な人だと思ったから」

「………俺がどれだけ我慢してっか解ってんのか?」

「大好き」

「くそ~」

「お風呂入ってくる」

「俺も一緒に入っていいか?」

「目ん玉えぐり出すよ」

「はい。すみません」


 私はクスクス笑ってお風呂場に向かった。





 お風呂から出て頭をふきながらリビングに行くと、葵さんがブルーベリージャムのたっぷり乗ったチーズケーキを切ってくれていた。


「千晴君寝ちゃったのに今から食べるの?」

「腹一杯のチーの目の前で食ったら可哀想だろ?チーには明日やる………って命………」


 顔を私の方に向けると葵さんはフリーズしてしまった。


「どうしたの?」

「ヤバイ色っぽい」

「あ、葵さんが着ろって用意してくれたんでしょ?」


 私の今の格好は葵さんの灰色のTシャツに葵さんの未使用ボクサーパンツ

 葵さんのTシャツは大きくて良い。

 

「パジャマにするからこのTシャツちょうだい

「それやるから白Tシャツ着てくれないか?」

「透けるから嫌だ」

「だから良いんだろ!」

「チーズケーキちょうだい」

「お前、もらうばっかりで返そうって気はないのか?」


 私は葵さんのほっぺにキスをした。

 葵さんは暫く黙ると小さく呟いた。


「………俺はどれだけちょろいんだ?」

「駄目だった?」

「残念ながら駄目じゃない。だが、出来るなら口にしてくれないか?」

「また今度ね」

「くっそ~」

「チーズケーキちょうだい」


 葵さんはチーズケーキを切ってくれた。

 私はそれを受けとるとフォークをチーズケーキにさして口にはこんだ。


「幸せ~!」

「紅茶とシャンパンどっちがいい?」

「シャンパン!」

「はいよ」


 葵さんがシャンパンを取りにいっている間にパクパクとチーズケーキを口にはこんだ。


「食いしん坊」

「そうです。おかわり」

「はいはい………トレパンはくか?」

「大丈夫だよ」

「俺が大丈夫じゃない。生足ヤバイ」

「あんまり自信ないから見ないで」

「いや、十分すぎるぐらい俺好み」

「トレパンもちょうだい」

「………」

「自分で言ったんじゃん!」


 葵さんは頭を抱えた。


「勿体無い気がする~!」

「自分で言ったんじゃん」


 葵さんは渋々トレパンを取りに行ってくれた。

 戻ってきた葵さんは真剣に言った。


「トレパンはく前に一回触らせろ」

「ド変態」

「男なら普通だ!」

「威張られても……」

「少しだけ、たのむ」

 

 たのまれても………

 私は葵さんをソファーに座らせると横に座り葵さんの手を掴んで太股にのせてみた。

 葵さんはマジマジと私を見詰めると太股を撫でた。

 くすぐったい。


「もういい?」

「触るんじゃなかった」

「触りたいって言ったのそっちじゃん!」

「もっと触りたい。命の全部を触りたい」

「!!」

「足だけじゃ足りない」


 葵さんはそう言うと私をソファーに押し倒した。


「命好きだ」


 葵さんの顔が近づいて来た。

 葵さんの鼻が私の鼻に触れる。

 これはキスしちゃうな。

 漠然とそう思って目を閉じた。

 その時、リビングの前のドアが開く気配がした。

 

「アオちゃんごめんトイレットペーパーどこ?」

「………チー、空気読めよ」

「うん。ごめん、トイレットペーパーどこ?」

「………………今出すから待ってろ」

「うん。ごめん」


 葵さんは気まずそうに私から離れるとトイレットペーパーを出すためにリビングを出ていった。

 私もかなり気まずいよ。


「ミコちゃんもごめんなさい」

「あ、謝られることじゃ………」

「………ミコちゃ~ん」


 千晴君は寝ぼけているのか私に抱きついてきた。

 可愛い。

 千晴君のふわふわな髪の毛を撫でると千晴君は私に向かってエンジェルスマイルをくりだした。

 私の萌え心にクリティカルヒットだ。


「おい、何イチャイチャしてんだよ」


 葵さんがトイレットペーパー片手に眉間にシワを寄せていた。


「ミコちゃんのおっぱいフワフワで良い匂い」

「風呂あがりだからじゃ」


 葵さんに視線をうつすと血管が浮き出そうなほどの怒り顔だった。


「……俺もまともに触ってないのに……」

「葵さん!千晴君は子供なんだから」

「12歳は子供じゃねえ!チー、命から離れ~ろ~」


 私は思わず笑ってしまった。

 葵さんは私から千晴君を引き剥がすと、寝ぼけたままの千晴君をお姫様抱っこした。

 な、何だかお似合いだ。

 お姫様抱っこ良いな~女なら一生に一度は憧れる物の1つだよね。


「トイレ行って寝ろ」

「トイレットペーパー」

「あるから、ほら行くぞ」


 お姫様抱っこでトイレに連れていくってなかなかシュールだ。

 子供だからこそだろ。

 私は葵さんが帰ってくる前に持ってきてもらったトレパンをはいた。

 千晴君を寝かしつけて戻ってきた葵さんは私の足にトレパンが装着されているのを見て項垂れたのは言うまでもない。

 

また葵さんが可哀想に………

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