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親友

 どうやら私の中で河上葵と言う人は特別らしい。

 何故だか彼は私を甘やかそうとする。

 今まで付き合ってきた男は、私に甘えたがるやつばかりだったから葵さんの甘やかしたがりをどうしたら良いのか解らなくなる。

 勿論、嬉しいから困るんだけど。

 



「………で、新しい男はどんな男なの?」

「ワイルド系イケメン」

「写真は?」

「え?いる?」

「恋する女なら待ち受けにそのイケメンを設定するぐらいするんじゃないの?」


 この遠慮を知らない女性は、私の親友で大熊実里(おおぐまみさと)という。

 同じ会社の同期で意気投合。

 彼女はOL街道まっしぐらで仕事の出来る格好いい女だ。

 彼氏は可愛い系のS男らしい。

 この話はいいや。

 今はお昼休みの食堂。

 実里に彼氏が出来たのを報告中だ。


「待ち受けに?それはそれでキモくない?」

「うん。キモい。でも見たいし!イケメン」

「実里の彼氏だってイケメンじゃん」

「たまに一緒に居てもナンパされるけど?レズカップルだと思われちゃうなんて何時もだし、女装させたら私より可愛いのはイケメンか?」

「解らん!」

「だろ?だから写真見せろ」


 何だか解らないが写真を見せなきゃいけないらしい。


「電話して送ってもらって、今、すぐ!」

「あ、はい……」


 拒否権の無い命令に私はスマホを取り出した。

 少しのコールのあと、慌てた感じに葵さんが電話に出た。


『モシモシ、どうした?』

「あ、いや、葵さんの写真が欲しいんですけど………」

『………解った今送るから待ってろ』


 葵さんはそう言うと電話を切った。

 暫く待つ間につけ蕎麦を啜る。


「続きそう?」

「………葵さんはいままでの男と違うから、続いてほしい……」


 実里にニヤニヤされて気まずい。

 そのとき、写メが届いたらしい着信音が響いた。

 写メを開いて私はフリーズした。

 葵さんの写メは上半身裸で頭にはタオル、腰にもバスタオルが巻かれている写メだった。

 何故だ!

 ワイルドが、更にワイルド!


「どれ?………ワイルド~」

「腹筋割れてる。この人何者だよ」

「お前の彼氏だろ?」

「あ、うん。そう」


 私は取り合えず、葵さんに電話をかけた。


『モシモシ?』

「何でセミヌードなんですか?」

『今風呂上がり』

「………」

『待ち受けにして良いぞ』

「しないから、これ待ち受けにしたら流石に恥ずかしいから!下手したら欲求不満だと思われるから……」

『後で俺にも命の写メ送れよ。眺めてニヤニヤするから』

「キモい!」

『傷付いたぞ!』

「つい黙ってられなかった!」

『送って来ないなら次に会った時に俺が撮る』

「ああ、じゃあそれで」

『エロい写メ撮ってやる』

「無理!」


 葵さんはケラケラ笑いながら電話を切った。

 何だか言っちゃいけないことを言ったらしい。


「このワイルドに抱かれたわけだ」

「抱き締められて終わり」

「はあ?何で?」

「お腹が鳴っちゃって」

「………お前の食いしん坊も大概にしろよ」


 私もそう思うよ。


「でもこれは良い男ね。仕事は?」

「ジュエリーデザイナー……gunjoってしってる?」

「知らない女が居るの?」

「そ、そんなに有名?」

「自然をモチーフにした細工の細かいアクセサリーはどんな装いにも合うって人気でしょ?どこぞの王女様も御用達だとか?噂だけどね。で?……え?gunjoのデザイナー?」

「………そう」

「安く売ってもらえるように言っといて」

「嫌だよ!ジュエリーデザイナーだから好きになったんじゃないもん! 」


 実里はニヤニヤしながら言った。


「じゃあ、どこを好きになったの?」

「料理上手なとこ!」

「………お前………まあ、頑張れ」


 実里は私のスマホを手にとると葵さんの写メをマジマジと見つめた。

 人の彼氏のセミヌードの写メをマジマジ見るのは良いのか?

 いや、葵さんは見られても恥ずかしがらなそうか?


「良い体だな」

「……うん」


 あの朝起きた時、思わずすり寄ってしまったぐらいだ。

 あの日の葵さんの朝御飯美味しかったな~


「大熊先輩何見てるんですか~?」


 姫川が突然現れて私のスマホをのぞきこんだ。


「え?………私のスマホに送ってください!」

「いや、お前誰だよ!どっか行け」


 ちなみに実里は姫川が嫌いだ。

 実里は私にスマホを返して言った。


「まあ、良いんじゃん。幸せにしてもらって」

「あ、うん。幸せにしてもらってます」

「うわ!ノロケた!命がノロケた!珍し~」

「やめろ!恥ずかしくなってきた!」

「いやいや、可愛いね~」


 実里はそう言ってカレーうどんを啜った。

 私の方にカレー汁を飛ばすのをよせと言いたいのは、当然の事だろう。

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