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11.RPG世界

「よし、全員集合だな」


 リビングに集まった個々を見渡し、言い放つ。


「次の世界を創る。――RPGの世界!!」


 静まり返るリビング。

 柚香と霧乃に何とも言えない表情が浮かぶ。

 にやにやとした、嬉しそうなそれは俺への行為が露骨に現れている。


「はいはい、どーぞ、どーぞ」

「畠野君のお好きなように」


 どうやら、この二人は相当俺を信用してるらしい。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


「ベースはリアルワールド、時は朝、主体はRPG世界――クリエイシャル!!」


 五秒間の瞑目。


「どーぉぉ!」


 叫びと共に瞳に世界を映した。

 俺は腰に剣を持ち、目の前の三人は獣人と化していた。いや、もしかしたら俺自身もそうなのかもしれない。


 霧乃は猫耳に、悪戯に揺れる尻尾。

 気まぐれなコイツにはぴったりだ。

 そして柚香は――兎なわけか。

 シェルプは狐。


 うむ、これはあれだな、RPG世界、最高。


「ん、何だ?」


 目前に表示された点滅するアイコン。

 触れてみると、表示されたのは《クエスト》と書かれた画面だった。


「クエスト……?」

「なになに?」


 シェルプはともかく、柚香と霧乃の二人を察しクエスト内容を読み上げる。


「スライム五体を倒し、魔法石を手に入れろ! だってさ」

「クエストですね! パーティーは四人なのでぴったりなのです〜」


 やはりシェルプはこの世界を多少ばかり知っているらしい。ここはシェルプに任せよう、そう思い彼女の肩をぽんっ、と叩く。


「説明、任せた!」

「何のですか? あ、クエストなら私も初心者ですよ」

「諦めも肝心よ、畠野君」


 何処かの誰かが『諦めたら試合終了ですよ』と言っていたと言うのに、全く最近の若い奴らは諦めが早い。

 俺は満面の笑みを浮かべ彼女らに告げる。


「目の前にクエストがあって、やらない馬鹿が何処にいる! チャレンジあるのみ!」

「押しちゃいけないボタンじゃないんだから……」


 と、霧乃は呆れ顔。

 早速、クエスト画面の左下にある開始アイコンを押しクエストをスタートさせた。


「はたのん、外にはうじゃうじゃ魔物が居ますから、その中のスライムを倒すのだと思います!」


 やる気満々のシェルプが、敬礼しながら言う。

 言われたままに、外へ出ると目の前には早速一匹目のスライムが現れた。スライムの頭上には有り難いことにステイタスとHPが表示されている。


「何か、RPGっぽい!」


 柚香もテンションが上がってきたのか、いつものように涙目になる事無く初めて見るものに瞳を輝かせている。


「って、あれ? 私、動けないよ?」

「私もです」


 霧乃とシェルプに続くように柚香も「本当だ」と足元を見る。

 しかし、俺の方は何とも無い。


「何で、俺だけ? あ、そうか! 俺のターンって事か!」


 スライムに攻撃せよ――、脳内に電撃が走った様にその文字が浮かぶ。

 腰に掛かる剣を抜き、構えスライムに向かって走り出した。剣を使った経験は皆無だが、そこは俺の才能がカバーしてくれるはず!


「どぉっりぁぁぁ!」


 叫びと共に思い切り剣を振り下ろす。

 みるみる減るHPに、一撃で倒せることを祈った視線を向けるが、あと少しという所でスライムはHPの減りを止めた。


「お、俺とした事が一撃じゃないだと!?」


 三人の傍に戻ると今度は俺の足元も固定され動く事が出来ない。ということは、攻撃ターンが移り変わったという事だ。

 次は誰だ?

 後ろを振り返ると、霧乃が仁王立ちでスライムを見つめていた。


「どうやら、私みたいだね。可愛いメイド服は正義! それを着てる私も正義! スライムを倒すのも私! 正義は勝つんだよ!」

「ノリノリかよ!」


 霧乃は素早く助走し、付加された跳躍力でスライムの頭上へ回ると何処からか取り出した二本の短剣で乱れ技を繰り出した。

 肩膝を地につき、綺麗な着地で攻撃を終えるとこちらに向かってVサイン。

 見るとスライムのPHは0になり、程なくしてスライムも消失した。


「まずは一体ですね!」

「だな。よーし、どんどん行こう!」


 行く宛も無く、とりあえず適当に足を進める。

 すると今度は二体同時のお出ましだ。俺達の行く手を二体のスライムが塞いでいた。


「あれ、今度は私?」


 戦闘態勢に入った瞬間、動けない俺らの中で唯一動けた柚香は声を上げた。


「おう、かましてやれ!」

「……だ、大丈夫かなぁ」


 不安そうな柚香は兎の耳を揺らしながら、その場で弓を引く。

 どうやら彼女は遠距離攻撃タイプらしい。


「……っ、ごめんなさい!」


 スライムへの謝罪と同時に弓は放たれた。

 どちらのスライムに向かったのか矢の進行を見守っているとスライムを目前にしてそれは二方向に別れ、見事二体、両方のスライムを射止めた。

 しかし、威力は半減してしまうようでHPの減りはまちまちだ。


「ふっ、ついに私の力を見せる時が来たようですね! 光の精霊の実力、とくとご覧あれ、です!」


 おお、流石は異世界転移者!

 言うことが違うぜ。


 シェルプは両手を広げ、その背中に金色の羽衣と翼を出現させると中に舞った。

 そして、風を仰ぐようにして閉じられた両手はスライムに向けられ、次の瞬間スライムはシェルプの光によって包まれていた。

 光がまるで軽く淡い、シャボン玉の様にスライムの周りで弾ける。すると二体のスライムのHPは瞬時に0に。

 スライムの消失を確認したシェルプは頬を赤らめ嬉しそうに「やりました!」と握らるれた拳を上げた。


「計三体か。残りは二体だね! クエストクリア以外に楽勝?」


 鼻歌混じりに霧乃が調子に乗った発言をする。


「油断大敵! 楽勝なんて言ったらスライムが怒るぞ?」

「大丈夫だよ〜」




 ――とか、なんとか霧乃には先刻の発言を思い出して貰いたい。


「うわぁぁあぁ! やばいよ、やばいよぉ! HPが減らない……」


 次に出現した二体のスライムは何故か大きさが今までの三体の倍以上あり、柚香の弓の攻撃を受けたのにも関わらずHPは変動しないのだ。


 どこぞの神の使いが調子に乗るからだ!

 だがしかし、逆境程、燃えるというものだ。

 状況の可笑しさに、自然に口元が緩む。


「……はっ、はは、こんくらいの逆境、俺の手に掛かれば余裕だぜ!」


 決めゼリフを叫び、再びスライムを見上げる。


「次は俺の番だ――」

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