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「――それが君の答えか?」

 男の問いかけに、少女は黙して肯定した。

 それを見て、男の表情が苦悶に歪む。

「確認するが、その答えの意味を分かって言っているのか?」

 苦し紛れに紡がれた言葉に対しても、少女はしっかりと肯定した。

 その目には、確固たる決意があった。

 どんな高説を以ってしても崩せず、揺るがず、折れない決意がそこには在った。

 男は奥歯を噛み、拳を握り締める。あまりにもきつき締めたために、皮が裂け、血管を傷つけ、指の隙間から一滴、また一滴と血の雫が滴り落ちる。

「分かっているのか!? それを選べば、君は死ぬ事になるのだぞ!?」

「自業自得です」

 男の叫びに対し、少女は冷静に言った。

 しかし、それは男の憤りに油を注ぐだけだった。

「自業自得!? 違う! 君は選ばれただけで、選ぶように誘導されただけだ! そこに君の意思は実質的に無い! だから――」

「それでも、その道を歩いた私の思いは本物です」

「――っ!」

「それにこれは現段階における最も合理的な解です。ここで私が死ぬ事は、多くの人のためになり、そのためならこの命、塵と同等に扱ってくれて結構です」

「はっ、合理的!? 人のため!?」

 男の憤りは尚も加速度的に増していく。

「なら、当然の帰結として君は死を選ぶわけか! 馬鹿も休み休み言え! それは一体誰のためだ!? 散々頼って不要となった瞬間に切り捨てた祖国のためか!? 何も行動しなかった国民のためか!? 無意味で無価値だ! ここで君が死んだところで、周りはその結果を当然の様に受け入れ、一時悲しんだ後はまるで何事も無かった様に、何もかも忘れてしまうのだぞ!?」

「それでも、貴方様が覚えていてくれます。それだけで十分です」

 男の矢継ぎ早の怒号に対しても、少女は冷静に平然と言葉を返した。

 そう言った顔は、陽だまりの様な笑顔だった。

 だから、男は自分自身に誓う。

「……覚悟しろよ。絶対に忘れてやらないからな」

 その宣誓に、少女はただただ笑顔を返す。

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