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序章

 ――やっぱり、愚か者はいなくならなかった。

 全ての悪行が悪い事だとは言わない。悪を成さねば果たせない目的もあり、そういう者はそうしなければならないほどまでに追い込まれているだろうから。

 しかし、悪行は所詮悪行。

 何処まで行っても、どんな論理で武装したところで、その事実は動かない。

 それを誰しも知っているはずだ。

 それなのに、愚か者はいなくならない。

 逃れられない、という事は百も承知。傲慢、嫉妬、憤怒、色欲、怠惰、強欲、暴食――七つある原罪は潜在的、本能的とも呼べる物であるから。

 それでも、抑制出来るはずなのだ。現実問題、大多数は七つある原罪と様々な形で折り合いをつけている。年齢、性別、国籍、人種、環境問わず、出来る者はきちんと出来ている。

 だと言うのに、どうして出来ないのか。

 我慢は確かに毒であり、だからこそ発散している、という見解も出来る。出来るが、別に一般的に『愚行』と呼べる行為に走らなくとも、それを選択しなくとも、内的欲求は別の方法で排出出来る。

 よって、あらゆる事柄から来る心的疲労は理由にならない。除外するとすれば、与えられた環境によるそれだが、少なくとも自らで掴み取った環境の場合は絶対に理由にならない。自分で掴み取ったのならば、その処理もまた自分で解決するのが筋だ。その覚悟がないなら、端から望むな、という話だ。

 正直、理解に苦しむ。

 何故、破滅の階段を駆け足で駆け上がるのだろう。

 知っているはずなのだ。世の中には、安易な道を選べない者がいる事を。

 知っているはずなのだ。世の中には、逃げたくても逃げられない者がいる事を。

 それにも関わらず、破滅の階段を駆け上がる者は後を絶えない。

 理解する努力はした。改善する事を信じ、それなりに行動もした。

 だが、心がもう持ちそうに無い。

 狂気に正気が侵食されていくのが手に取るように分かる。

 だから、その前に私は決起した。

 情勢の変革に挑む事を――。


 かくて、その者は過去と自分を捨て、何時終わるともしれない旅路に出る。

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