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踏んだり蹴ったりとはまさにこの事

 俺の人生が、その一瞬の出来事によって台無しになった。前の人生は今でも思い返すのが辛いくらい、最悪だった。だから、せっかく転生したのだから、この人生は素晴らしいものにしたかった。あの時、神様が言っていたあの言葉は今嘘になった。信じてた俺が馬鹿みたいじゃないか。


「あっはは!なんと哀れな人生だった事か。最後の最後で、まあ、出張先の海外で狂犬に噛まれて死のうとは、あはは!……あ〜、そなたの人生は実に面白かったわい。」

 

 そう、この神様が言うように俺は犬に殺された。ったく失礼な女だな、俺が苦労してた姿を見てこいつは永遠と笑っていたわけか。なんて性悪なんだ。

 

「アンタは俺に文句を言いに来ただけ?俺の最期はせめて天国なんだろうな。」

「そうカリカリするでないぞ、哀れなそなたの為に慈悲深い妾が別の世界に転生させてやろう。少しの間楽しませてもらったお礼ぞ。」

「……おう、それはどんな世界だよ。」

「魔法のある世界じゃよ。その世界には一人一人に妾ら神からのギフトがあり、それに準じた職業というものが教会で振り当てられる。」

「職業……?で、そこに俺が行ったら俺はどんな職業になるんだ?」

「それは後の楽しみじゃよ。ちゃんと素晴らしい職業になるようにギフトを送るため、安心するが良い。どんな職業かは、転生してすぐに分かるじゃろう。」

 

 眩い光が俺の周りを包み、白い光を通り越して真っ暗になったその時、俺は目を覚ました。

 

 初めて見た景色は細かい彫刻が施された、実に美しい天井。俺はどこかの金持ちの家にうまれたらしい。

 生まれて直ぐに俺は鑑定をされた。司教らしき人間が急いで俺の元へきて、水晶をしばらく睨んでた。数分の静寂の後、その司教が口にしたのは、

 

「ス……、スライム使い?」

 

 という言葉だ。初めに口を開いたのは俺の兄らしき人だった。

 

「スライム使い?なんだその職業は。」

「す、すみません、私にも分かりかねます……。」

「名前からするにスライムを従えるようですが、あまり良さそうではありません。スライムごとき……。」

 

 そういう母の発言から、スライムというものは雑魚モンスターなんだろうとわかる。ってことは俺の職業って超ハズレじゃね!?

 つまりあの女ァ、俺を騙しやがったな!!何が素晴らしい職業だ、神は今頃は笑ってんだろな。クソッ。

 

「でも関係ありませんよ……。生きづらい人生かもしれませんが、私の愛する息子には違いありません。」


 か、母さん……。


「お母様はそう仰られますが、お父様がお許しになられるとは断じて思えませんよ。知りませんよ?その者を庇って、この屋敷から追い出されても。」

「……そうですね。」


 俺の母さんは俯いてしばらく考えた。


「この子は死産ということにしておきなさい。そしてすぐに、この子の親を探して。……愛しい我が子のためにも。」

「……お辛い判断を下してくださり、誠にありがとうございます。」

「ごめんなさい、名前も決めていたというのに……。ああ、母にはどうすることもできません。許してください、愛しい我が子。貴方を愛していることに変わりはありませんの、どうか、どうか……わかってください。」


 母親の目からは涙が流れてきた。

 俺の中には「親のくせに自分本位かよ、死ぬ気で我が子を守れよ。」という気持ちと、「……でも仕方ないよな。それにいちばん辛いのはこの人だ。」という気持ちのミルフィーユができている。あーあ、あの馬鹿女神……もっと幸せに愛される家庭にしよろ。てかまず、なんで俺はスライム使いなんて職業になっちまったんだよ。


 そこまでは良かった。その、俺の義両親って奴らが最悪だったんだ。


「おい、スライムの愚図。使いもんにならねぇお前を俺らが雑巾として利用してやってんだ。ありがたく思えよ。」

「なに、睨まないでちょうだい。けがわらしい。」

「……。」


 全部あの女神のせいだ。

 どうやらこの世界は職業絶対主義らしく、あの時俺を受け入れてくれた母は特に異様な存在なのだ。俺が平民ならまだここまで過激に蔑まれていない。俺が貴族の養子であるからいけないのだ。なぜ母は貴族に俺を引き渡したか、それは不可抗力だったのだ。曲がりなりにも俺は王族。さすがに平民に落とす訳にもいかなかったそうだ。裏事情はよく分からないが、母が悪い訳では無いということだ。


「はぁ〜あ、こんな役たたず早く捨てちまいたいのに、この愚図が厄介なばかりに。」

「ラフィーネ王妃はなぜ私たちみたいな高貴なる一族に……。あのうすらぼんやりの阿呆の子……、見た目だけで選ばれた無能が子を産んだからこうなったのよ。今の第一王子も愛人の子だなんて噂もあるのよ、あの王妃がいけないのよ。」

「全くその通りだ。今の王は末端の支族から王妃を選ぶなんて……阿呆らしい事を。王族の血が今期でどれほど汚されたことか。」


 俺が黙ってるからって好き放題言いやがって。今に見てよろ、いつか絶対お前ら締め上げるからな。……でも俺スライム使いなんだよなぁ〜!クソッ全部あの神が悪いってことじゃねぇか。これから俺はどうすりゃいいんだよ!

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