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つむぎのバナナ牛乳

作者: WAIai
掲載日:2026/03/09

「ーお母さん、お腹空いた」

つむぎは学校から帰ってくると、出迎えた母親の翔子に言った。

「そう。じゃあ何か作ろうかしら」

「あたしも手伝う!!」

つむぎが勢いよく手をあげると、翔子はくすりと笑う。

「じゃあ手を洗って、うがいをして…」

「うん!! ちょっと待っててね」

急いでランドセルをおろし、洗面台へ向かう。その間、翔子は冷凍庫を見、何を作ろうか考えているのだった。

「準備、できたよ!!」

エプロンを着用し、キッチンに姿を現すと、翔子が振り返る。

「じゃあ作りましょうか」

「うん!! 何を作るの?」

「バナナ牛乳」

「バナナ牛乳!! 食べたい!!」

つむぎははしゃぎ、手を振る。今は夏だから、冷たいものを欲していた。

「つむぎがバナナを切る!!」

「やってみて」

翔子が立ち位置を交換すると、つむぎはまな板の前に立つ。バナナの皮をむき、包丁を手に持つと、一口大に輪切りにしていく。

「その調子、その調子」

「あたし、上手?」

「上手、上手!! あ、全部、切ったわね」

最後まで切ったのを確認すると、翔子は冷凍庫から牛乳を取り出す。切ったバナナをボウルに入れると、牛乳をひたるまで注ぎ、最後に砂糖を加える。

「砂糖が溶けるまで混ぜてくれる?」

「うん!! …えっと何を使おうかな」

つむぎが悩んだ末に手に取ったのは、大きめのスプーンだった。それでバナナを崩さないように、くるくると混ぜていく。

「…こんな感じでいい、お母さん?」

「うん。大丈夫!! じゃあ、ラップをして冷凍庫に入れましょうか」

「ラップはと…あった!! ボウルを覆うように広げて…」

つむぎはラップすると、翔子がボウルを手にする。

「食べる直前まで、冷やしておきましょうか。それであとはー」

「あとほ? 何を作るの?」

「薄焼きでも作ろうかと思ったんだけど…」

「薄焼き!! 大好物!!」

はしゃぐつむぎに、翔子は優しく微笑む。

「じゃあ、材料を取り出して…」

「うん!! 冷凍庫から薄力粉と卵を出して…」

作業台に置くと、翔子が砂糖と水を用意する。

「まずは薄力粉からボウルに入れて…」

「こんな感じ?」

「…そうね。それから卵を割って入れて…。殻が入らないように気をつけて」

「…よし。綺麗に割れた!!」

「良かった。あとは砂糖はこのぐらいで、水を入れて…と」

分量は翔子に任せ、つむぎは泡だて器を用意する。

「はい。かき混ぜて。ゆっくりでいいわよ」

「はい!! ゆっくり、ゆっくりかき混ぜて…」

粉が綺麗に滑らかになるまで混ぜると、つむぎは翔子に見てもらう。

「こんな感じでいいの?」

「…大丈夫そうね。それじゃあ、フライパンにサラダ油を大さじ1から2注いで…」

つむぎは言われるまま、ガスコンロを点火し、温まるまで待つ。

「もういいかしら」

翔子がフライパンに手をかざし、熱を計る。つむぎはわくわくしながら、隣で様子を見ている。

「よし!! じゃあ生地を流して…」

「お玉でいいよね?」

「いいわよ。お玉いっぱい分、伸ばして…そう。その調子」 

生地を広げると、ジューッといい音がした。

「焦げないように中火にして…」

「中火、中火っと…。こんなくらい?」

「そうそう。表面がふつふつしてきたら、ひっくり返して」

「うーん、甘い香りがする」

キッチンの中は砂糖の焼ける匂いで、充満していた。

「よし!! ひっくり返して」

「フライ返しで、ひっくり返して…と。えい!!」

つむぎは慎重に生地を持ち上げると、ひっくり返すのに成功した。

「うわ、美味しそう!!」

「そうね。ホットケーキとはいわないけれど、そんな感じのものだしね。お母さんもお腹空いちゃった」

「一緒に食べよう!!」

「うん!! …あとは焼けるのを待って」

翔子がフライ返しを受け取り、焼き具合を確認する。

「あ!! もういいかもしれない。つむぎ、お皿をちょうだい」

「分かった!! お皿は…と。このくらいの大きさ?」

「それでいいわ。ありがとう」

翔子が皿に薄焼きをのせると、最後にマーガリンを置く。

「完成!! できた!!」

「できたわね。よく頑張りました」

「えへへ。お母さんに褒められると嬉しいな」

「そう? だったらいっぱい褒めてあげる」

「きゃー!! あはは」

2人はじゃれ合うと、残りの生地も焼いてしまう。

「よし!! じゃあバナナ牛乳を取り出して、お皿にもりましょう」

喉が渇いていたので、つむぎがごくりと唾を飲み込む。

「洗い物はあとでいいから、先に食べましょうか」

「うん!!」

つむぎは元気よく答えると、テーブルの椅子に腰かける。そして

「いただきます」

翔子と一緒に手を合わすと、バナナ牛乳を口にする。甘い冷たさが喉にしみ、とても滑らかだった。バナナを一口食べると、その熟した感じがとても美味しく感じられる。

「美味しーい!!」

つむぎは足をばたつかせると、一気に食べてしまった。翔子が

「ゆっくり食べればいいのに」

そう優しくさとすと、つむぎはちょっと照れくさそうに言う。

「あの、お腹空いてたから…。薄焼き、食べてもいい?」

「いいわよ。熱いうちに食べなさい」

「はーい!! フォークで一口大に切って…」

ぱくりと口に入れると、もちっとした食感がたまらない。マーガリンの塩味と生地の甘さがちょうど良く、つむぎはぱくぱく食べていく。翔子もそんなつむぎを愛おしそうに見、言葉をかける。

「また、一緒に何か作りましょうか」 

「うん!! 次も作る!!」

にこりと笑うつむぎは、薄焼きを口に放り、幸せそうな表情を浮かべたのだった。

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