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0 回想
クグルは幼い頃から夢の中でよく会話をしていた。
相手の姿が見えず、声だけしか聞こえなかったが、声の主である女性のどこか懐かしい雰囲気にいつも癒されていた。
彼女がこのティーダ王国を作った女神であるとわかったのは随分後のことだった。
それまで、何度聞いてもはぐらかされていた。
――貴方がもう少し大きくなったら、その時にね
彼女がそういうと光が向かって来て、小さいクグルの頭を撫でた。感触はわからないが、その優しく温かい光が大好きだった。
女神と会話できる力を持って産まれたのは、後の彼女の人生を考えると不運だったのかもしれない。
だが、クグルは後悔などしていない。ただの娘であったならば、あの人と会うことはなかったのだから。
三話同時投稿なのでそのまま次の話も読んでいただければと思います。