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第7話 終わりの星








 気まずい雰囲気の後、早めの晩御飯を食べてリビングで2人で集まっていた。ただ集まっているだけでなく、あぐらをかいている。何やら言い争っているようだ。



「じゃから!明日の朝ごはんの卵焼きは儂がつくる!そして、砂糖は入れない!入れない方がうまいんじゃ!!」


「いいや!明日は僕の番だ!だから、砂糖は入れさせて貰おうか!入れた方がうまい!!」


「なんじゃと〜!?」



 気まずい雰囲気は何処へやら。僕とじいちゃんは明日の卵焼きで争っていた。なんと、先ほど後の散歩中に大きな卵を見つけた僕は、それを抱えて持って帰ってきた。


 親が取りにくるとか思ったと思うじゃん、どうやら親は近くで死んでいるようだった(近くで死体を発見したからね)。


 つまり、食べても問題ないということだ。悪いな卵よ。ここは弱肉強食の世界なんだ。悪いとは一ミリ―いや、一ミクロも思っていないけど。



「ぐぬぬぬぬぬっ…はぁ、わかったのじゃ。明日はアルスに任せるのじゃ」


「やった〜!ふふふっ任せときな、この未来は三ツ星シェフに届くと言われた(大嘘)このぼく――」



 瞬間、世界が揺れた。少年と老人はひどく衝撃を受けている様子が見てとられる。アルスは思考をフル回転させて考える。


(なんだ!今の衝撃は!地震…はありえない!聞いた話のよると、ここら辺は地震がない!あったとして衝撃が違う!空間が割れるような感じだっ……《《割れる》》?――まさか!)



「アルス!逃げるんじゃ!」



 いつの間にか刀を取り出し、構えているじいちゃんが叫ぶ。思考が現実に引き戻される。老人の顔は緊張と困惑に支配されている。



「気づいたじゃろ!結界が破られた!早く秘密の通路から逃げるんじゃ!」


「…うん!」



 僕はすぐに返事をして急いで走り出す。躊躇っている時間はない。こんな魔物だらけの森で暮らしている以上、家は何度で襲われる。故に一流並みの魔法が使えるじいちゃんの結界がはってあった。その結界はこの森の魔物には破ることはできない。つまり、人間が破ったことになる。


 それが、破られるとすると魔法の腕は《《じいちゃんと同等、もしくは以上》》ということになる。


 じいちゃんは剣士だが、魔法もバケモンだ。これでわかったと思うが、僕ごときがいても何にもならない―いや、いては足手まといだ。



「はぁ…はぁ…」



 外に出て家を背後に走り続ける。どれだけ走っているのかは分からない。息切れが止まらない。頬に当たる雪が冷たい。しかし、止まるわけにもいかない。死んでしまうから。アルスは心で、じいちゃんの無事を願った。
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













 老人は上の空を見上げている。星は見えず、変わりに雪しか見ることができない。そして、不安げにつぶやく。



「アルス…、遠くまで逃げれたかの…?」


「な〜に、人の心配してんだ?まずは、自分の心配をすべきだろ?じいさん」


「孫の心配をせんでどうするんじゃ?」



 破られた結界の方から聞こえた軽そうな声に対し、返す。その声には怒りが込められていた。

 次々と姿を表す侵入者。その数は1人ではなく、大人数だった。そのリーダー格と思わしき大男は辺りを見回した後、口を開いた。



「一つ答えろ」


「何も話すことはない」


「黙って聞けって!殺すぞ!」



 答えろと言ったり、黙れと言ったりとすぐに矛盾する大男はいらだって話す。それに対し老人は落ちついている様子で刀を腰に構える。



「あのカギは何処いった!?」


「知らん。知ってても教えない」


「じじいが…、殺すっ」



 返答にさらに苛立ちを覚えた大男からどす黒く、ドブのような色に染まった魔力が立ち昇る。老人からは黄金の魔力が漂う。そして大男は叫ぶ。



「お前を殺すのはこの俺、カードルだ」


「威勢のいい若造じゃの、かかってこい」



 老人から途轍もない殺気があふれる。大男は生唾をのみ込む。額からは冷や汗が出ている。



「老いたとはいえ、さすがだな《《先々代剣聖流当主》》、《《マールド・キリュウ》》」


「ふっ」



 言われると微笑する。そして、お茶目のあるいたずら好きなウインクをしていう。



「アルスには内緒じゃそ」


「うぇっ、じじいのウインクはキモいな」



 2つの魔力は激突した。















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「はぁ…はぁ……っ、あった…」



 走り続けてしばらくすると目的地が見えてきた。そこは何の変哲もない木だった。木にもたれかかり、息を大きく吸う。そのまま根元の石をどかして辺りの土を手で払う。すると、鉄でできた扉がでてくる。これを開けた先に、内緒の通路があるのだ。開けようとかがみ込む。



「どこに行こうと言うのかね?」



 背後から声が聞こえる。アルスは急いで後ろを振り返る。そこには、複数人の人の姿があった。


(まずい!逃げないと!)


 この状況で、あの人たちが味方であると思えるほどアルスは楽観的にはなれなかった。急いで、下の扉を開けようとする。しかしそれは魔法によって妨害されてしまう。



「逃がすかよ!『守れ』【障壁シールド】」


「ちっ」


「舌打ちとは礼儀のないガキだ」


「敵と話すことはないだろ」


「降参すれば命は取らない。あのじじいもな」


「バカ言え、じいちゃんは殺す気だろ。そんな顔していて、バレないと思ってんのか?――目的は俺を人質にするためといった所かな?」


「ふっ、どうだろな」



 話しながら、足で下の結界を軽く蹴ってみる。しかし破れる気配はない。周りを見渡し確認してみるが、囲まれており逃げ道はない。


(逃げれないな…戦うしかないのか…?)


 【異空間】の魔法陣を発動し、刀を取り出し構える。アルスは考える。戦うということは、人を殺さねばならないかもしれない。…生きるためなら殺す。覚悟を決めろ!息を吸って吐くて【身体強化】を発動する。無色の魔力が体から漂う。襲撃者に向かって大きく叫ぶ。



「かかってこい!似非以下のム○カ大佐どもが!」


「む○か…?」



 気にすんな!





 まだ無色の魔力と、複数の魔力はぶつかった。





































この作品はこっからや!!

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