世話係
魔法はこの世の基本で、皆が常に無意識で使っている。例えば、この世の水道が魔法で動いているとか、魔法で機能する身分カードとかが色々ある。むろん、魔法を使う人がいて、二つの枠に分かれている。一つは呪文や魔導書によって、魔法の使い方を身につけ、杖で施す魔法使い。もう一つはただ想像で、魔法を振る。そういう人は魔女や魔術師と呼ばれる。想像力が強ければ、強いほど、より有力な魔法を使える。だから、そのような人はほとんど世界のトップで、手が届かない存在のはず。
はずだったが、今僕のベットで寝ている二人はその魔女たちなんだ。そう、罰としてこの二人は僕の部屋を使って、僕の窓際のベットを使うことになった。僕は留守中のルームメイトの壁に近いベットで寝た。まあ、大したことじゃないけど、金髪の子、名前はりり、リリカの子が僕の枕に一晩中涎をしていた。
「起きろ、あんたら」
そう、世話係だから、こいつらを起こすのも役目の一つ
「うう、柔らかい」
なにこれ、寝言。
「ほら、早く起きて」
「うう、もうちょっと」
じゃあ、カバーを外して、起こすしかない。まあ、待って、これちょっと、酷くないか、風邪を引いちゃうかもしれないし、カバー以外から、始めようか。こいつ、ナイトキャップの子から始めようか。僕は金髪の子頭に手を差し伸べて、ナイトキャップを掴まえられる前に、こいつ僕の腕を先に掴まえた。
「痛い痛い」
僕は左手で女の握りを解こうとする。すると、こいつ、ベットから飛び出して、僕を押し倒した。
「掴まえた。私を襲う気か。きっと、昨日のことが悔しかっただろう」
何、こいつ、僕と同じく体質なのに、こんなに力強いと思わなかった。こいつの膝も僕の足を釘付けたように抑えている。全く、対抗できない。
「りり、やめて、彼女が苦しんでいる」
「こいつ、襲う。。」
「じゃないでしょう。起こそうとしたよ」
「ほら、誤解だって、ほら、彼女を離して」
ユユ、ユスティナの弁解のおかげで、リリカは不満そうで、僕を解放した。
「えっと、ごめんねルリさん、りりはちょっと時々手加減のことを分からなくて、それで、今日の日程は」
こいつら、身分証を再発行してもらうためには、ギルトの身分窓口に行く必要があったが、今日は休みなので、財布も失って、宿代として、しばらく酒場で住み込むことになった。
「まずは朝ご飯をして、その後、制服に着替えて、フィオナ姉の指示に従う」
「わかったわ。その前に、 ヘアブラシをお借りしてよろしいでしょうか」
「 ヘアブラシ!僕は持っていないけど、メイ姉さんに聞けば」
「絶対、借りたくないだけでしょう貴様は」
「おっと、じゃあ、私とりりはちょっとメイさんの部屋に、お先に失礼しますわ」
ユスティナさんはリリカさんの口を塞ぎながら、僕の部屋を出た。
シャツとショートパンツだけの僕は一階に降りて、台所のところに行く
「おはよう、アンヌ先輩、朝ご飯は」
「あ、ルリちゃん、もうちょっとから、先に着替えてね」
それを聞いた僕は脱衣室に向かい、中に着替え中のエミリ先輩がいるんだ。
「ルリ、おはよう。」
「おはよう、エミリ先輩、えっと」
「女同士だから、早く来いよ」
女になっても、まだ他の女の子の裸を見るのはまだ抵抗心がある。どうして、この脱衣室にはドアがないの。自分のロッカーを開けて、中の制服をシャツに被って、下は同じショートパンツのまま。そう、僕の服はこのシャツと酒場の制服とショートパンツしか持っていない。
「ルリちゃん、動かないで」
そこが僕の後ろに当たっているエミリ先輩は急に僕の後ろにくついて、僕の髪を弄っている。ダメだ、そこを考えないで、先輩の手に集中。
「はい、できた」
僕が鏡に向くと、先輩は僕の頭に髪飾りを付けた。
「皆、朝ご飯だよ」
アンヌ先輩の声で、エミリ先輩と一緒に食卓に向かうと、そこに魔女の二人がいた。今日もシチューだね。相変わらずキノコがたっぷりだ。僕はキノコがあまり好きじゃないけど、まあ先輩の好意が勿体ないから、最後に一気に食べる。それで、僕はこっそりキノコを皿の端に集めている。
「キノコが嫌いですか」
あ、まずい、隣にユスティーナがいる。彼女は僕に傾いて、囁いてくれた。なんか、急に寄って来られて、そして恥ずかしく、僕は声を出せなかった。
「食べたくないなら、こっちにくれて」
え、ちょっと、こいつ、キノコを食べたいの。
「ほん、本当」
「そうだよ、キノコ美味しいもん。皆がいつもそれを端に寄せておいて、最後にも食べずに捨てて、勿体ないんだよ」
「あ、はい」
なんだ、こんなにキノコが好きな同年代っぽい人がいるとは思わなかった。こいつ、フォークでキノコを僕の皿から漁って、ついでに僕のソースもたっぷり濡れさせている。
「ほら、ユユ、いくら食べたいとしても、他人ソースまで奪うなんてやめて」
リリカさんはもう食べ終わっていて、皿をすすいで行く途中にユスティーナのみっともない行動を見かけて、指を指している。
「ええ、だって、こっちはソース足りないも、りりちゃんいつもよこしてくれないもん」
「えっと、ソースもあげるよ」
「本当、じゃあ、いただきます」
僕はソースしか残っていない皿を彼女にあげた。なんか、こいつの食べ方はちょっとだらしないな。待って、こいつが持っているスプーンは僕のじゃない。
「皆、そろそろ開店の時間よ」
まあ、そういうことを気にするんじゃないね。